まるで山中にいるよ。
掲載日:2026/11/01
歩いても歩いても霧の中を
白い化身に巻かれながら歩いて
歌う言葉も何処かにゆくけれど
時折晴れた空に浮ぶ鱗雲の骨組みに沿って
君は光る鱗を束ねるように
結晶化した雫を全身に纏いながら泳いでいたんだね
やがて日が落ちるとき仄かな濃紺に染まって
山肌に降りてくる
削られてゆく山の傾斜
墨色の濃淡の山影
まるでつま先立ちの山頂から滑り落ちてゆくように
スキーに連れて行ってくれるみたいだって夢みてた
本当は滑ることの出来ない私は
山小屋でソルベを作っていた
ソルベを掬うスプーンがあの遠い峰を映しながら
喉の中を滑り落ちていったの
肺にまで広がるみたいに美味しかったよ
私は濃霧に包まれているのだった。




