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セバスティアンから読者への手紙

 前略。お久しぶりでございます。

 私の名はセバスティアン・ベン・マルティーニ。サルヴァドール筆頭伯爵家に仕える筆頭家老にして、マルティーニ領を統治する大騎士です。

 この度は最後までお読みいただき誠に有難うございます。


 本作は、いつまでたってもひっ付かないバカップルであるドミニク様とパトリシア様の恋愛が成就した、ここで終了でございます。しかし、読者様におかれましてはまだまだ知りたいことがございますでしょうから、ここに物語の後日談をお伝えすることで本当の最終話といたしたいと思います。


 先ずは私の娘。マリアについて。

 マリアはサンチェス伯爵の下に嫁いでからしばらくして、性別が確定しました。

 それは大変残念ながら男性として確定してしまったのでございます。

 マリアにとってそれは大変ショックなことでありましたが、しかし、さほど不幸な目に合ったわけではありません。サンチェス伯爵は約束した言葉通り、男性になったあともマリアを変わらず愛してくださいました。

 そして、マリアの素性を女性のままに伝え、周囲には本当の性別をひた隠しになされマリアを守って下さいました。その上、結局、生涯の正室はマリアと定め、また、誰も側室として迎え入れませんでした。

 二人は死ぬまで夫婦として暮らしたのです。

 しかし、サンチェス伯爵家にはお世継ぎが必要でした。そして、それは私の元から養子縁組致したのです。


 それはどういうことかと申しますと。・・・・要するに私、再婚いたしまして・・・それが、その・・・・パトリシア様のご友人でもあるアマンダでございます。

 アマンダと私はパトリシア様の仲介で知り合いました。

 パトリシア様の勧めで知り合った私達でしたが、体の相性が完璧で・・・いえ、もちろん、アマンダがいくらプロとはいえ、百戦錬磨の私にとっては赤子の手をひねる様なもの。しかし、その愛らしい声に私は一撃で惚れてしまい。とうとう5人の子供に恵まれたのでした。勿論、結婚の際には戸籍のレンダリングなど面倒な手続きがございましたが、ドミニク様のお力添えもあり、(つつが)なく結婚できたのです。

 そうして、生まれた5人の内の2人をマリアの下へ養子として送り出したのです。マリアにとっては、息子であり、弟でもあるわけですが、血縁関係のある養子として書類上では何一つ問題点がない子達でしたので、見事に養子縁組が国王から認められ、成人の折には無事に爵位を継承しお家の廃絶を止めたのでした。


 これが私の一族の物語でございます。

 続きましては、ドミニク様とパトリシア様のご友人関係のその後について語りたいと思います。

 

 先ずはダンジョン内の冒険者の説得をしてくれたレオナルド・ベン・ルチアーノ。

 彼はパトリシア様への忠誠を誓った騎士として、最終的にはパトリシア様に従ってサルヴァドール筆頭伯爵家に仕える騎士として迎え入れられました。その際に勝手に名乗っていた貴族姓「ベン」は失われてしまったのですが、それでも貴族の血を引くものとしての誇りは忘れず、立派に職務を全うしました。

 また、レオナルドに口説かれていたパトリシアのパーティメンバーであるイザベラ嬢は結局、レオナルドと結婚し、家に入りました。パトリシア様とは主従の関係になってしまいましたが、アマンダ同様、パトリシア様とは良き友人関係が続いております。


 パトリシア様のパーティメンバーの最後の一人、ロドリゴについてですが、これが大変申し上げにくいのですが、彼はどうやら自分の住む長屋の男子全員をたらし込み、関係を持っていたことが暴露され、王都を追放になったそうです。その後の詳細は定かではありませんが、風の噂によりますと田舎町で男娼宿を営んでいるそうです。


 水道業者のペドロですが、その後はパトリシア様との約束を守り、民衆に尽くす商人としての人生を全うしました。困った者からの支払いは後回しにし、常に誠実な仕事をしたそうです。

 また、町で災害が起こった際には多額の復興資金を寄付するなどして、大変、民衆から尊敬する人物として名を残しました。

 ちなみに彼をはめようとしたアロンソですが、彼は自分の実家の貴族が王都に送り込んだ先兵でした。

 貴族が民間の業者の仕事を影から奪い、自分の一族の財産にしようと企み、このようなことになったそうです。しかし、喧嘩に巻き込む相手を間違えましたな。私が育てたドミニク様の手は長い。(※手とはスパイの行動範囲の事。)

 あっという間に悪だくみは露見し、ドミニク様を利用したことで怒りを買ってしまったことが貴族中に知れ渡ってしまい、アロンソの実家は貴族社会から村八分となり、かなり困窮(こんきゅう)した生活を送っております。


 そして、最後に。やはり話しておかねばならないことは我が主・ドミニク様とパトリシア様の後日譚でございます。

 幼いころからの因縁もついに終わり、結ばれたお二人ですが、御結婚後は意外なほど、パトリシア様は妻として立派にドミニク様を影からサポートする役に徹しられました。わがままも結ばれる前の3分の1にまで下がりました。

 って、今でもそんなにわがまま言ってドミニクを困らせているのかよっ! と、お思いの御方も大勢おられますでしょうが、幼いころからお二人を見てきた私に言わせればこれは奇跡。パトリシア様の性格を思えば、むしろ完璧に自制しておられると言っても過言ではないのです。

 しかもドミニク様もパトリシア様にわがままを言ってもらえないのは愛が足りないと感じて寂しがってしまうほどですから、お二人にはほどほどな量でパトリシア様のわがままが必要なようでございます。


 しかし、長年の想いが実ったお二人。その思いの深さは止めようもなくご結婚は朝に昼にズコバコと・・・・もとい、大変に愛し合い、子供8人も生まれるほど幸せな夫婦生活を送られています。

 パトリシア様もドミニク様から深い愛情を注がれたおかげか、一向に体形に変化なく、奇跡の美魔女と貴族の女性から羨望(せんぼう)の眼差しを向けられるほどいつまでもお美しくあらせられました。


 そして、パトリシア様と言えば、初の女性用トイレを設置した偉業について語ることは避けられません。

 御結婚後のパトリシア様はその後も当初の計画通り、更なる最深部にも女性用トイレの設置を実現なされ、それはもう多くの女性冒険者から感謝されました。

 また、ドミニク様の御理解もあり、計画した全てのトイレ設置が完了したあかつきには、公共のトイレとするべく、国王に献上。国王はこれを深く感動なされ、無償でトイレを使用できるように開放なさいました。


 そして、国王はその事の記念として、女性でありながらこのような偉業を成し遂げたパトリシア様を讃えるべく、トイレ施設の入り口にパトリシア様の彫像を設置なさったのです。多くの女性冒険者は、その彫像を見るたびに、その偉業に感謝して手を合わせる習慣がいつの間にか根付いていきました。


 時は流れ・・・。数百年、数1,000年と時が経ち、数々の文明が生まれ、衰退しました。当然、数々の王国が生まれ、消えていったという意味です。

 その頃になると、当時の文献などは残されておらず、もう誰もパトリシア様の事を知るすべを失いました。

 しかし、トイレの前に置かれた彫像と彫像に向かって手を合わせる風習だけは残り続け、いつしか、その彫像はトイレの女神像だと言われるようになったのです。そしてその彫像のレプリカが大量につくられ、トイレに飾られるようになり、民衆の信仰として、いつまでもいつまでも残ったというそうです。


 それがこの物語。これにて行き遅れの女騎士がトイレの神様になったお話は落着なのです。

 それでは最後の最後までお付き合いいただいた皆様。ごきげんよう、さようなら。



 

~Fin~

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