第八十三話 教皇ベネディッタ
死者の国ではずっと夜だ……朝になったのか昼なのかも時計を見なければわからない。
だが、時計を見てもそれが真昼なのか真夜中なのかもだんだんわからなくなってくるので不思議な感覚だ。
今は恐らく夜……のはず。
私は、昼にベネディッタ様に案内してもらった大浴場に行くことにした。
すると、廊下の向こうから赤いフリルが見えてくる。
「ベネディッタ様も温泉にいくんですか??よろしければ一緒にいきましょう。」
「え……僕は構わないけど……いいの??」
「はい!!今日はワイン風呂なんですよね??楽しみです!!」
「うん……いい匂いがしてお肌も綺麗になるよ……。」
大浴場に向かっている途中で入浴セットを持ったベネディッタ様とバッタリ出くわした。
私はベネディッタ様と他愛のない話をしながら大浴場の脱衣所へと入った。
「先、入ってて……風邪ひいちゃうよ……。」
「わかりました。お先に入ってますね!!」
私はワンピースを脱いでバスタオルを体に巻いて準備万端で、隣のベネディッタ様に目を向けた。
ようやく、頭のボンネットを外して何個も結ばれている服のリボンを解くのに時間が掛かっているようだ……。
私はお言葉に甘えて先に浴場へと入ると、ワインのいい香りに包まれた。
「わぁ……予想以上にすごい。」
私はルンルン気分でまず髪の毛や体を洗ってから長い髪の毛がお風呂に入らない様に結い上げてから血のように真っ赤な色のワイン風呂へと入る。
すると、背後でベネディッタ様が入ってきてシャワーを浴びている音がする。
なんとなくその姿を見たら失礼だと思って後ろは見れなかった
「どう……??気持ちいいでしょ……??」
「はい、とっても!!それに外の眺めもすごいですね。街の様子がよく見えます。」
髪の毛をシニョンキャップでまとめたベネディッタ様がバスタオル姿でお風呂に入る。
私は一面ガラス張りになっている大きな窓に近づいて外の景色を見ていた。
空には星空と不気味なほど大きな月、下の方を見ると様々な人たちが楽しそうにしている様子がわかる。
私は窓辺に手を置いて街全体を見ていると、肩甲骨の間らへんをつん、と指で押された。
「……ねぇ、この印、いつからあるの??」
「え??印……ですか??」
「知らないの……??……こんな感じの印があるよ。」
「自分の背中見たことが無いのでわからないです。……えっと、指でなぞられてもどんなのかわかりません。」
ベネディッタ様は私の肩甲骨の間にある印を指でなぞった・・・だがイマイチどんな印なのかわからない。
自分でも見たことはないし、誰かに言われたこともないので
「これって創造神の女神の……。」
「どうしました??」
「ううん……なんでもない。そろそろ出たほうがいいかも……この温泉ちょっと温度高めだから慣れない子が入るとあっという間にのぼせちゃうよ……。」
「……ちょっとのぼせてきたかも。先に出てますね。」
「僕ももう少ししたら出るから……そしたらリヴィちゃんの髪の毛かわかしてあげる。待ってて……。」
「わかりました。」
ベネディッタ様がなにか言ったような気がしたが、のぼせて頭がふらふらしてきたので先に上がらせてもらった。
体を拭いて服を着てからドレッサーの前に座って長い髪の毛の水気をタオルで拭いてベネディッタ様を待つ。
しばらくして、可愛いフリルとレースのパジャマを着たベネディッタ様が私の髪の毛に丁寧にブラシを通し、愛用しているといういい匂いのヘアオイルを塗って乾かしてくれた。
「ふふふ……完璧。髪の毛、触ってみて……。」
「す、すごい……こんなにサラサラになるなんて!!ありがとうございます。」
髪の毛はかつてないほどサラサラで艶やかになっている……。
鏡越しに見えるベネディッタ様もちょっと満足げな表情だ。
そのあとは場所を交換して私がベネディッタ様の髪の毛を乾かして差し上げた。
話しながら脱衣所から出ると、こちらを見て表情が固まっているラン様と目が合う。
「……??ラン様、どうかしましたか??」
「ど、どうして、リヴィがベネディッタと大浴場から出てくるんです……??」
「え??たまたまお会いしたので一緒に入浴したんですが……。」
「……リヴィ、落ち着いて聞いてください。――ベネディッタは男性です。」
「…………えっ??」
私はゆっくりと隣に立っているベネディッタ様へと顔を向ける。
ベネディッタ様は相変わらずの無表情で首をかしげて言った。
「今がお風呂に入りたいタイミングだったから……ま、いいかなーって。」
「いいわけないでしょう!!嫁入り前の大事な肌を見たんですか!?私だって見たことないのに!!」
「……僕は気にしないよ??」
「貴方の事は心配していません!!ほら、リヴィにいう事があるでしょう!?」
「リヴィちゃんって……結構着やせするタイプなんだね……。」
「そういうことを言えっていってるんじゃないんですよ!!謝りなさい!!」
私はそんな2人のやり取りをぼんやりとしながら聞いていた。
放心状態になっている私に気づいたラン様が慰めるように肩に手を置いた。
「そんなまさか……」
「ああ、リヴィ、可哀そうに。こんな不本意に男性に素肌を見せてしまうなんて……。」
「私はとんだ勘違いを……そうだ、教皇は男の人ことだ……考えればわかることなのに……。すみませんでした、ベネディッタ様。」
「いいよぉ……気にしないで……。」
「……リヴィ、貴女はなにも悪くありませんよ。……はぁ、この無防備っぷりもどうにかしないとですね。」
こうして私とベネディッタ様はその場で正座するようにと言われラン様にお説教されたのだった……。
男の娘キャラ好きなのでベネディッタ様もお気に入りキャラです。
むしろリヴィより女子力が高い。
このために教皇と女教皇の名称を分けて使っていました。気づきましたでしょうか?




