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星屑の聖女  作者: 夜桜 メル
第三章
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第八十話 たとえ偽物でも



 孤児院で厄介になってから数日たった頃、馬車が襲われた事を知った聖都から迎えの馬車が来た。

 私はその数日で少しずつリヴィリカに聖魔法を教えている……まだ初歩的な魔法しか使えず、上達するには時間が掛かりそうだ。


 シスターに話を聞いたところ、私が目的にしていた”二人目の勇者”の青年は隣町に村の大人達と出かけているようだ。

 彼の事は後ほど迎えに行くことになり、私とリヴィリカは一足先に聖都へ向かう事になった。



 聖都へ戻り、ずっと顔を俯かせているリヴィリカを客室で待つように言って、私は国王陛下に謁見しに行く。

 王座に座る国王陛下は鋭い眼光でこちらを見下ろしてくる……その威圧感に今にも押し潰されそうだ。


 「馬車が魔物に襲われたようだが……あの聖女は本物か??フィカートよ、神に誓っていえるか??」

 「……申し訳ありません。本来の聖女は道中で魔物に襲われ亡くなりました。なので聖女と特徴が似ている少女を連れてきたのです。」

 「ならば、3人目の勇者はリデルではなくリアムに行かせる。大事な王位継承者を、失敗すると決まった魔王討伐には行かせられん。幸いリアムも一応は私の王の血を引いているから問題はあるまい。」



 3人目の勇者は”赤茶色の髪の王族の血を引く者”……つまり、国王の一人息子であるリデル殿下の事だ。

 だが、聖女が別人になってしまった事で国王はリアム様をリデル殿下の代わりにするという。



 リアム様はリデル殿下より5歳年上の騎士団第一部隊の隊長を任されている。

 国王が王妃と結婚する前に使用人のメイドとの間に授かったのがリアム様のようだ。

 聖都の王族の家系は魔術師が多いが、リアム様は魔術よりも剣術の才能がある……魔王討伐の戦力としては十分な人材だ。



 「4人目の勇者はフランジェ王国の王女だったな??ならばあちらは王位後継者候補を勇者に選ぶようにしろ。フランジェの姉王女は戦闘経験もないと聞く、その者を選ばれた勇者ということにしろ。いいな??」

 「……かしこまりました。」


 私は国王に反論することもできなかった。

 このお方は時に魔王と同じように恐ろしい……。

 もし、魔王が倒れてもこの王が次の魔王のような存在になってしまうのではないかと思ってしまうほどだ。




 しばらくして、リヴィリカのいた孤児院に例の青年を迎えに行った。

 シスターから事情を知らされていた青年は、いきなり聖都へリヴィリカを連れて行ったことが相当気に食わなかったのか私を始終睨みつけてきた。


 だが、リヴィリカが魔王退治の旅に行くなら自分も行く、と即答で答えてくれた。

 私はすぐに彼を連れて聖都へと向かう。



 「リヴィ!!大丈夫か!?」

 「クロア……!!」


 クロアはリヴィリカに駆け寄り、抱き締め合っていた。

 リヴィリカもずっと慣れない環境にいた為、ずっと共に過ごしていた人物が来て安心したのだろ……彼を見た瞬間安心したのかぽろぽろと涙を流している。


 だが、クロアが聖都に来てくれたお陰でリヴィリカも心身ともに明るく元気になり、聖魔法の特訓にも前向きに取り組むようになった。

 リアム様にはクロアに剣の稽古をつけてくれるようお願いした。

 クロアはなかなかいい剣筋をしていると、リアム様も楽しそうに稽古をつけてくれている。



 そして、ついに旅立つ時が来た。

 リヴィリカはある程度の聖魔法は習得したが、まだまだ覚えることは山ほどある……。

 最初の巡礼地があるステラエーンには、かつて魔王退治の旅をしていたランフェル様もいるので、彼から聖魔法を教わるようリヴィリカに伝えた。


 そして、彼らにこれから仲間にする2人の特徴と、旅の順路についても教えた。

 彼らが旅立ってしばらくすると、彼らが無事に巡礼地を巡っているという噂を聞いて私は少しだけ安心していた。

 ……だが、上手くいくとは限らない。

 私は彼らを死へと旅路へ送り出してしまった罪にずっと悩んでいる。





 「本当なのですか!?魔王を倒すことができたというのは!?」

 「ああ、魔王城に一番近い街タバリエルダから知らせが届いた。だが、城が崩れてしまい2人はすぐ見つかったが他の3人はまだ見つからないようだ。」

 「見つかった2人とは……??」

 「リヴィリカとクロアだそうだ。特にクロアは重傷を負っているらしい。」


 なんと、その勇者達が魔王を倒して平和が訪れ、今まで何百年も続いた闘いが終わったのだ。

 だが、帰って来たのは起きない聖女と、重症の精霊の末裔の剣士だけだった。

 私は彼らに謝ろうと思っていた……今更懺悔してなんになるというのか。

 だがそれが私の罰なのだから償わなければ。


 だが、そんな矢先、私は殺された。

 先日現れた、赤い天使の教団の者が来て、予言書を見せろと言ってきた。

 そして予言書と違う勇者をあてがったことを女神信仰を大切にしている彼らからしたら許せなかったのだろう。


 無事に魔王は倒せた……だが、私はまだ聖女、リヴィリカに懺悔をしていない。

 この魂は無念が残り、今でも彷徨っている。

 そしてついに懺悔するチャンスが来た。”浄化されない死者の魂が集まる祭り”ファンタスマゴリアが……私は彼女をお祭りに招待した。

 リヴィリカは私を赦してくれるだろうか……。


 

たとえ予言で選ばれていなかったとしても、彼らは成し遂げたんだ。

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