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星屑の聖女  作者: 夜桜 メル
第三章
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第七十七話 秘めた殺意



 暖炉の近くにはイザックが落としていったタロットカードが散らばっていた。

 ロイップがそれに気が付き、急いで駆け寄ろうとしていたがそれよりも先にタロットカードを拾った人物がいた。

 赤いメッシュの入った灰色の髪に、モノクルを付けた男性……フランジェ国で私に招待状を渡したミグレムだった。



 「どうやらこのタロットカードに多くの魂が封じられているようですよ。いかがなさいますか??」

 「もちろん……今すぐ魂の解放をして……」

 「かしこまりました。」


 鈍器を持った少女が頷くと、ミグレムは手に持っていたタロットカードに魔力を込める。

 タロットから煙のようなものが出ると、その煙から青い魂のようなものが四方へと飛び散って行った……これで、先ほど倒れていた人たちも目を覚ますだろう。



 「マーレ!!マーレ、聞こえる??」

 「……。」

 「今すぐ、回復魔法を……!!」


 私は呼びかけても目を覚まさないマーレに回復魔法を施した……が、まだ私の魔力は回復していないようで何も魔法が発動しなかった。

 見た限り、先ほどナイフで受けた一撃しか外傷はないようだし、呼吸も少しずつだが落ち着いてきている。



 「マーレ……無事でよかった。」

 「おや、貴女様でしたか。ベネディッタ様、この方が聖女リヴィリカ様ですよ。」

 「ああ……この子がそうなんだ……。初めまして、僕はベネディッタ……。」

 「あ、あなたがベネディッタ様??」


 私はすぐ傍まで近づいてきたベネディッタ様を見上げる。

 ベネディッタ様は無表情で私を見下ろすと、手に持った鈍器を振り上げた。


 「会えて嬉しかったです。――さようなら。」

 「え……??……っ!?」


 頬に風を感じ、左手につけていた指輪が熱くなったのを感じると、私が座っていているすぐ横の地面から凄まじい音がした。

 何が起こったのか、頭で理解している間にベネディッタ様は地面にめり込んだ鈍器を軽々と持ち上げる。

 細くて華奢な腕から想像もできないほどの力を目の当たりにして、一気に血の気が引いた。


 「だめ……変に抵抗されちゃうと一撃で殺せない……痛みを感じないまま殺してあげるから抵抗しないで……」

 「ほ、本当に私を殺そうと……??」

 「君もフィカートと同罪……死んでくれる??」


 ベネディッタ様はそう言ってまた鈍器を大きく振りかぶった。

 マーレが寄り掛かるような体勢になっているので、私はすぐに動くことができない。

 私はマーレの頭を抱きかかえて守るようにして衝撃に備えた……。

 そんな時、安心する声と少し痛そうな音が聞こえた。


 「何やってるんです??ベネディッタ。」

 「……痛いよ、ランちゃん……。」

 「リヴィ、大丈夫ですか??ああ、こんなに震えて……怖かったですね。」


 そこには分厚い本を持っているラン様がいた……先ほどの音は、ラン様が分厚い本でベネディッタ様を叩いた音だったらしい。

 ラン様は私に駆け寄ると、頭を撫でて軽く抱きしめてくれる。

 両手で私の顔を包み込むと、親指でいつの間にか流れていた涙をぬぐってくれた。


 「ランちゃん、邪魔しないで……。」

 「ベネディッタ、あなたが先ほどフィカートを裁判にかけてからリヴィの事は考えると言ったでしょう??裁判が始まる前から殺してどうするんです、それでも教皇ですか??」

 「ごめん……リヴィリカちゃん見つけたら思わず体が動いちゃった……。」


 ラン様に手を借りて私はなんとか立ち上がることができた。

 ベネディッタ様はようやく、手に持っていた鈍器を下ろしてくれた。


 「リヴィ、ベネディッタは貴女もフィカートと同罪だと言っています。でも貴女は記憶がありません。よって、まずはフィカートを裁判にかけることになったんです。」

 「裁判……ですか??」

 「ええ、フィカートの人生を辿りながら貴女に罪の有無を決めることになったのです。」



 ラン様によると、ベネディッタ様に私の事の無実を話したが、納得してくれなかったようだ。

 よって、死者の人生を映し出す特殊な鏡を使ってフィカート様の人生を巡り、それを観らんしながら裁判をする事でベネディッタ様は納得してくれたらしい。

 

 

 「裁判は明日……。ちゃんと参加してね……。」

 「明日、時間になりましたら部屋までお迎えに参りますので。それと、この使い魔はこちらでいったん預かります。……問題なければすぐにお返ししますね。」

 「だ、誰が使い魔だ!!はなせー!!」


 ベネディッタ様はそう言うと赤いフリルの裾を翻し、部屋から出て行ってしまった。

 その後ろをロイップを片手で摘まんで運ぶミグレムが続いていった。

 

 

 その後、使用人がマーレを担いでくれて私達を客室へと案内してくれた。



 「裁判なんて初めて……どうすればいいんだろう」

 「そこまで堅苦しいものではないので安心してください。そこまで緊張しなくていいんですよ。」

 「でも、もし私にも罪があったら……」

 「私が傍にいますよ。リヴィ、貴女の無実は私が必ず証明してみせます。」

 「……ラン様、ありがとうございます。」


 客室のベッドで寝ているマーレを見る……ようやく魔力が回復したので回復魔法を施し、顔色はよくなったが、まだ目を覚まさない。

 私はなんとか笑顔を作ってラン様に笑いかけるが、内心はとてつもなく不安だ。

 無意識にクロアから貰った指輪を指でなぞると、違和感を感じて慌てて指輪を見る。


 「え??大変……!!クロアに貰った指輪にひびが入ってる!?」

 「あのベネディッタの一撃から守ってくれたのですね。……全く、あの脳筋教皇には困ったものです。」

 

 その指輪を見て、ベネディッタ様の攻撃の凄まじさを思い出し再び恐怖した。

 明日の裁判……どうなってしまうのだろうか。

 私の不安な気持ちから解放されず、その日の夜は震えながら眠った……。



 

可愛らしい容姿ですが、とんでもない馬鹿力のベネディッタ様です。ギャップ萌えだね(??)

クロアに貰った指輪がひび割れました・・・でもお陰で、リヴィの頭がかち割りになる事は回避できました、ありがとう、クロア。

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