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星屑の聖女  作者: 夜桜 メル
第三章
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第七十五話 かつての敵と



 聞き覚えのある声の方向を振り向くと、部屋の入り口には顔を赤いフードを被った男が立っていた。

 フードと同じくらい赤い色をした髪は、隈が濃くでている片目を隠している。



 「探したぞ。久しぶりだな、マーレ。」

 「お前に招待されたからな、わざわざ来てやったぜ。……だが、感動の再会にそのナイフはいらないと思うが。」


 マーレはそんなイザックの様子を見て私を背中の後ろへと庇う。

 イザックの手には血がこびりついたナイフがしっかりと握られている……あのナイフは以前にも見たことがある。



 「感動の再会にするにはまず、すべきことがあるんだ。そこの聖女をこちらに渡してもらおう。」

 「それはできないな。お前じゃお嬢をエスコートするには役不足だ。」

 「いいや、何が何でも貰うぞ。……”女教皇”の魂をな!!」


 そういうとイザックは一瞬で私達へと距離を詰めた。

 マーレは銃を出してナイフを受け止める……もう片方の手でもう一丁の銃を取り出すとイザックにすかさず発砲した。

 その弾丸はイザックをすり抜け、後ろの壁に埋め込んだ。



 「俺はもう肉体の滅んだ魂だけの存在……。お前の銃は俺には効かない。」

 「くそっ!!」


 不意を突かれて、ナイフがマーレの頬をかすった。

 私は急いで補助魔法を唱えようとするが、それを見たイザックがマーレを強く後ろへと吹っ飛ばし、私は詠唱が中断されて後ろにあった絵画に思いっきり激突する……余りの痛さに座り込んでしまう。



 「お嬢!!悪い、大丈夫か!?」

 「な、なんとか……」

 「これで抵抗しても無駄な事がわかっただろう??マーレ、お前では俺を倒せない。」


 頭を少し打ってしまって、私は少し意識が朦朧としていた。

 イザックはマーレを横に蹴とばすと、私の前に立った……ようやく、目の前がくっきりとしてきたときには私に向かって大きくナイフを振り上げていた。


 「これで……ようやく、俺は魔王になることができる……!!」

 「や、やめろ!!お嬢逃げろ!!」

 「……ぐえっ。」


 見上げたナイフから目が離せなくなって、振り下ろされたと思った次の瞬間、後ろから服の襟を思いっきり掴んだ何かがすごい力で私を絵画の中へと引き込んだ。

 マーレに手を伸ばしたが届かず、私だけが絵画の中へと吸い込まれていく。



 「っ!!ここはどこ……!?」

 「ここは城の裏にある中庭だ!!おっと、鏡を割らないとな。」


 風景がいきなり室内から、庭園のような場所になっている。

 驚いて混乱していると、赤い丸っとしたものが目の前にあった大きな鏡を小さな体で体当たりをして割っていた。

 一瞬、鏡の向こうに室内にいるイザックとマーレが見えて、イザックがこちらに手を伸ばそうとしたのが見えたが、鏡が割れると私と赤い何かを映していた。



 「危ない所だったな!!助けてやった俺様に感謝しろ!!」

 「……あなたってたしかイザックと一緒にいた悪魔よね??そんなに可愛い姿してたっけ??」

 「か、可愛い!?失礼な奴め、誰のせいでこんな姿になったと思っているんだ!!」

 「ごめん??でもどうして私を助けてくれたの??イザックと共謀して私の魂を回収しようとしてるんじゃ??」

 「それが……あいつ、裏切って俺様のタロットカードを奪いやがったんだ!!」


 私はとりあえず、かつてイザックが魂を売った赤いフードの悪魔……ロイップの話を聞くことにした。

 

 イザックとロイップは以前、マーレとステラエーンに襲撃した際ラン様の魂を回収しようとしたが失敗。

 あの激流の海に落ちたが、なんとか命は助かったらしい。

 その後、ラン様以外で”教皇”の魂を回収後、残りは”女教皇”の魂だけになったのだが、それにふさわしい魂が見つからず、長い間旅を続けていたようだ。



 「だけど、そんなある時イザックが俺のタロットを盗み、俺様に用済みと言ってどこかへ行ってしまったんだ。タロットの魔力を追いかけて来たら死者の国にたどり着いて今に至るってわけだ!!」

 「じゃあ、今ロイップはイザックの仲間じゃないの??」

 「もちろんだ!!あんな裏切り者!!」


 ロイップはタロットを持っていることで魔力を生み出すことができるようだが、タロットを奪われた事で魔力が減る一方になりこんな姿になってしまったみたい。

 確かに、以前のような邪悪な魔力も何も感じない……赤いフードの闇に黄色く光る丸い目、ギザギザの口元が見えるが、全体的に小さくて丸い姿はぬいぐるみのような可愛らしさだった。

 私は瞳が潤んでいるように見えるロイップを持ち上げて目線を合わせる。


 「あなたはどうしたいの??」

 「もちろん、タロットを奪い返す!!だから手伝ってくれ!!」

 「取り返したらまた悪さをするんじゃない??」

 「そんなのんきな事をを言ってていいのか!?あいつはお前の魂を回収したら魔王になってしまうぞ!!俺様の夢だったのに……あいつなんかに横取りされるぐらいならタロットを燃やしてやる!!」

 「……いいわ。今のあなたのポンコツ魔力じゃ私に危害は加えられないだろうし。」


 私はロイップを強く抱きしめ立ち上がる。

 早く、マーレを助けに行かなければ……でも、どうやって??


 「ねぇ、イザックを倒すにはどうすればいいの??マーレの銃も効かなかったよ。」

 「一番は聖属性の退魔魔法で攻撃するのが効果的だぞ。」

 「じゃあ、まずラン様と合流しよう。私、退魔魔法使えないから。」

 「なんだと!?……聖女、お前も俺様と同じポンコツってことだな。」

 「……ごめん、ポンコツ同士頑張ろう。イザックと鉢合わせしない様に気を付けないと。」

 「俺様がタロットの魔力を感知してやる。だから、俺様の言うとおりに道を進め。」


 私は頷いてお城の方へ少し早歩きで向かった。

 その時、城内で騒ぎが起きているという事にはこの時まだ気づくことができなかった……。



 

番外編で出てきた1人と一匹?が登場です。

こわ可愛いぬいぐるみになってしまったフードの悪魔とポンコツ同士で頑張ります。

次回、ちょっぴりだけあの人の登場です。

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