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星屑の聖女  作者: 夜桜 メル
第三章
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第七十四話 死者の国ニブルヘイム



 私達は3番目の巡礼地がある場所に着いた。

 そして、その近くにある大きな滝の上に私達は立っていた……下を見ると大量の水が勢いよく滝つぼに流れ落ちている。

 視線を滝つぼから上に移すと、絶壁の山の上に街のようなものが見えたが、霧のようなものに包まれていてここからではよく見えない。

 恐らく、あそこに死者の国ニブルヘイムがあるのだろう。


 「見事に周りは絶壁……自力で上って行こうとすると骨が折れそうだな。」

 「無理矢理死者の国に入ろうとすれば、幻術を見せられて違う街まで連れて行かれるようですよ。」

 「なにがなんでも余所者を入れたくないって感じか。」


 2人の会話を聞きながらもう一度、滝の下を覗く……ゴツゴツとした岩も所々にあって、当たりどころが悪ければ確実に命を落とすだろう。

 私は思わずラン様の服の袖を掴んでしまった。



 「大丈夫ですよ。ベネディッタは私達を客人として招待してくれているのですから。2人とも、ちゃんと同封されたアイテムは持っていますね??」

 「はい、それは大丈夫ですが……。本当にこの滝に飛び込むんですか??」

 「不安なら、私と一緒に手を繋いで飛び込みましょうね。さぁ、行きますよ。マーレもちゃんと着いてきてくださいね。」

 「ま、待ってください!!まだ、心の準備が……っ!!」


 ラン様に手を握られると、そのまま滝へと落ちた。

 死を覚悟するような浮遊感に思わず目を強く瞑る。

 しばらくすると、浮遊感は無くなりふわふわと浮いているような感覚になると足が地面に着くような感覚がした。


 「おやおや、怖かったですね。もう大丈夫ですよ??目を開けてごらんなさい。」

 「……あれ、水の中じゃない……??」

 「無事に死者の国に着いたようです。よく頑張りましたね、リヴィ。」

 「本当に街に転送されたんですね。よかった……。」

 「ステラエーンの海流を思い出すぐらいのスリルだったな。」

 「確かに……、同じくらい怖かったよ。」


 目を開けると、先ほどまでは昼だったのに真っ暗な夜空が広がっていて、オレンジ色の街灯が怪しく街全体を照らしている。

 無事にマーレも街に転送されたようだ……3人で並び、死者の国の入り口を見ていると続々と人や透明なゴーストのようなものが街へと入っていく。


 「では街に入りましょうか。」

 「……はい。」


 私達は人の顔のような模様が浮かび上がっている不気味な木が並ぶ道を通って、死者の国ニブルヘイムへと入った。

 するとすぐ、仮面をつけた黒いローブの男が近づいてきた。


 「ようこそ、死者の国ニブルヘイムへ。招待状を見せていただけますか??」

 「ええ、構いませんよ。」


 私達は招待状をローブの男に渡して見せた。

 確認し終わったのか、招待状を返してくれた。


 「ありがとうございます。貴方様がランフェル様ですね。ベネディッタ様より城にすぐご案内するよう言われております。」

 「そうですか。この2人も一緒でいいでしょうか??」

 「もちろんです。お連れ様も案内するように言われていますので。」

 「では、よろしくお願いします。」


 ローブの男に案内され、街の中央にある大きなお城へと案内される。

 お城の中は白を基調としたデザインで所々に赤い家具やアンティークが置かれていた。


 「まず、ランフェル様を応接間に通すように言われております。お連れ様はこちらの客室でお待ちください。」

 「わかりました。では、先にベネディッタと話し合ってきます。リヴィの事も話しておきますので。」

 「はい……よろしくおねがいします。」

 「上の階は立ち入り禁止ですが、一階や庭園は自由に歩いてくださっても構いませんので。」


 

 ベネディッタ様はフランジェで私を暗殺するように命令した人だ……。

 いきなり会うのは怖かったので、申し訳ないけれどまずラン様に私の事を話しておいてもらったほうがよさそうだ。


 どれほど時間が経っただろうか……。私は緊張してしまい落ち着かず部屋の中を歩き回っていた。

 その様子に見かねたマーレは私に声を掛けてくれた。


 「お嬢、少し外の空気を吸いに行くか??付き合うぜ。」

 「いいの??……ありがとう、マーレ。同じ建物にベネディッタ様がいると思ったら緊張しちゃって……。」

 「もちろんだ。ほら、行こうぜ。」


 マーレは私の肩を抱いて、部屋のドアを開けてエスコートしてくれた。

 お城の玄関からはいろんな人が自由に出入りをしていた……奥には礼拝堂や沢山の絵画が並べられた部屋があるようだ。

 どんどん奥の部屋に行くと、変わった絵画が並ぶ部屋に着いた。

 気づけば、部屋には私達以外には誰もいなくなっていた。


 「なんだか少し不気味な部屋だね。静かだからそう思うのかな??」

 「いや、そういう訳ではないらしい。見ろ、この絵動いてるぜ。」

 「えっ!?……本当だ、絵の中の木の枝が動いてる。」


 マーレに言われて、絵をじっとみていると、絵の中の青々とした葉っぱが風になびいているように揺れていた。

 他の絵を見て見ると、鳥かごの中に入っている小鳥からは鳴き声が聞こえ、ギロチンの絵には首を置くところが丸く抜き取られていてこの穴に首を置いたら今にもギロチンが落ちてきそうだ……。

 私は大きな姿鏡が描かれた絵の前に立つと、絵の中の鏡に自分の姿が映った。


 「すごい……どういう仕組みになってるのかな。」

 「このギロチンの絵もリアルだな。この穴に首を置いたらギロチンが落ちてくる……なんてないよな??」

 「ここにいたのか。探したぞ。」

 「え……??」


 私とマーレ以外の声が部屋の入り口のほうから聞こえてきた。

 聞き覚えのある声の主はマーレを死者の国に招待したイザックだった。



 


 

紐なしバンジーで入国です。

到着したばかりですが厄介ごとの予感。


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