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星屑の聖女  作者: 夜桜 メル
第三章
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第七十話 それはまるでお伽噺のような 9



 何か温かいものに包まれている……寝返りをしようとしたら何かが背中を押さえつけてて身動きができなかった。

 私は眠くて思うように開かない目を何とか開いて周りを見渡そうとした。


 「……クロア??」

 「すぅ……すぅ……。」


 私はクロアの腕に頭を乗せた状態で眠っていたらしく、すぐ近くに綺麗なお顔があった。

 もう片方の腕は私の背中へとまわっていて、離れようとすると何故か力が入れられよりクロアと密着してしまった。

 そしてようやく目が覚めてきて自分がどういう状況なのかを理解する。


 「え!?なんで……??」



 昨日は確か、クリスお姉ちゃんにベッドに押し込められて少し話をしてそれ以降の事が思い出せないからあっという間に寝てしまったんだろう……でも、どうしてクロアがこんなに近くで寝てるの!?

 私はどうにかしてクロアから離れる事に成功した……安心したのも束の間、後ろに付いた手はベッドの端を滑り、私はベッドから落ちて床に頭をぶつけた。




 「……リヴィ??大丈夫か??」

 「ぐぬぬうっ……大丈夫、だよ。おはよう、クロア。」

 「ああ……おはよう。」


 ベッドから落ちた音と唸り声でクロアが起きてしまったらしい。

 床に座り込み痛む頭を押さえていると、クロアが私を持ち上げてベッドの端に座ると私を片膝に座らせた。

 まだ痛む頭を押さえていた私の手をどかして、ゆっくりと優しく頭に触れてくる。


 「まだ痛むか??血は出ていないようだが。」

 「しばらくしたら治るから平気。……それより、どうしてこんなにも近くで寝てたの??ベッドこんなに広いのに。」

 「リヴィが俺をベッドに引き込んだんだ。それから俺の服を強く掴んで離さなかった。」

 「ええええ、私そんなことしたの!?寝ぼけてたのかな、全然覚えてない……ごめんなさい。」

 「いや、構わない。リヴィの体温が暖かくてよく眠れた、感謝する。」


 お互いの顔が近い……そんな状態で優しく微笑み、こちらを愛おしそうに見つめてくる。

 そしてクロアがもっと顔を近づけてくる……思わず目を瞑るとおでこがくっついた。

 恐る恐る目を開けると、先ほどの笑顔は消えクロアは真剣な顔になっていた。


 「リヴィ、俺はお前の事が……。」

 「おっはよー!!そろそろ朝ごはんの時間よ!!起きなさー……どうしたの??」

 「な、何でもないよ!!」


 クロアが何かを言おうとした瞬間、後ろからクリスお姉ちゃんの元気な声と共にドアが開けられる。

 私はクロアの膝から思いっきり立ち上がりその勢いで前の方にあったカーテンを開ける動作をした。

 クロアはというと、なぜかうなだれるように顔を前にたらしていた。




 「おはよう、2人とも。朝食の準備もう出来てるぞ……どうかしたのか??」

 「ううん、何でもないよ。おはよう。」

 「……。」


 クリスお姉ちゃん達が泊っている部屋に、私達の分の朝食も並べられていた。

 少し疲れたような私達の顔色を見てケイレブお兄ちゃんは心配そうに声を掛けてくれる。

 そしてなぜかクリスお姉ちゃんも落ち込んでいるような顔をしていた。



 「それじゃあ、2人とも今日には聖都を出発しちゃうのね……。折角会えたのに。」

 「ああ、また急いで戻らないといけないんだ。私達も寂しいよ。」

 「今度はこっちに遊びに来て頂戴よ。私達が住んでいた孤児院は老朽化で取り壊されてしまったけど、近くにみんな住んでるから会えるわよ。」

 「本当!?皆にも会いたいから今度遊びに行くね。」


 私は孤児院で一緒に暮らしていた面々の顔を思い浮かべた……よく一緒に遊んだグロリアもキリエも元気にしているだろうか??



 「お見送りしてくれてありがとね。リヴィ、クロア、元気でね。」

 「またすぐに会えるのを心待ちにしているよ。式の準備が出来たらすぐに手紙を出すからね。」

 「うん!!楽しみに待ってる!!2人も健康に気を付けてね。」 

 「次来るときはケイレブを荷物持ちにしてくれ。……剣の鍛錬ぐらいキツかったからな。」

 「あの程度でそう思うなんて鍛錬が足りないんじゃなくて??」

 「クロアがそういうなら何もしてない私はどうなってしまうんだろうね……。」


 私はそんなやり取りを見てクスクス笑ってしまった……とても懐かしい光景だ。

 そして、2人は交互に私達をぎゅっと抱き締めた。


 「あ、そうだ。クロア、ちゃんとあれをリヴィに渡すのよ??折角私が一緒に選んであげたんだから。」

 「……わかっている。」

 「あれ??」

 「それじゃあね!!」


 私が何のことか聞こうとしたが、クリスお姉ちゃんは早々と馬車に乗って出発してしまった。

 私達は馬車が見えなくなるまで見送ると、クロアが手を引いて自宅の方へ歩き始める。


 そして、その途中にある花が沢山咲いている公園のベンチに座るように言ってきた。

 私は素直に座ると、クロアは近くで膝をつくと私の手を取った。



 「リヴィは俺から離れて死者の国に行くだろう??危険が無いとは言い切れないし、俺の代わりにこれを身に付けて行って欲しい。」

 「え……これって結構高価な指輪じゃない??私がもらっていいの??」

 「もちろんだ。この指輪には守りのまじないがされている……きっとリヴィを守ってくれるはずだ。」


 クロアはそう言って、小さな箱に入った指輪を取り出すと私の左の薬指にはめた。

 私は手を空にかざして指輪を見つめた……シンプルなプラチナの指輪は邪魔にならないし着け心地もいい。


 「ねぇ、この指じゃないと駄目なの??」

 「……ああ、その指は”命に一番近い指”だ。だから、その指のほうがまじないが効きやすいんだ。」

 「へぇ、そうなんだ。……ありがとう、大事にするね。」

 「今回はその指輪に託すが……リヴィ、俺にお前をずっと守らせてほしい。どんなことからもお前を守ると誓おう。」


 なんだかすごく恥ずかしい事を言われている気がするはずなのに、それよりも嬉しいと思ってしまうのはどうしてなんだろう??

 私は差し出された手の指先に自分の指先をそっと乗せた……なんだか、夢みたいな光景だ。


 「うんっ!!……あれ??もしかして前にもそれ言わなかった??すごくあやふやなんだけど言われたような記憶が。」

 「……さあな。」


 私はそのあやふやな記憶を探すように昔の事を思い出そうとした。

 思い出せなくてモヤモヤしていると、隣に座ったクロアが満足そうに笑いながら私にそっと身を寄せてきた。


それはまるで……シリーズはこれで終わりです。

クロアがちょっとヒヨったんでそれっぽい理由で左手の薬指につけさせました、リヴィも納得しちゃった。

そろそろ死者の国・・・かな??

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