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星屑の聖女  作者: 夜桜 メル
第三章
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第六十三話 それはまるでお伽噺のような 2



 フランジェ国との平和条約を無事結び、聖都へと帰ってきていた。

 2か月後に行われる死者のお祭りまで、私達は再び平和な日常を送っている。

 私も以前のようにリデルとクロアの仕事を手伝っている……今日はお城の執務室でリデルの仕事のお手伝いに来ていた。



 「ふぅ、書類がやっと片付いたな。まさか、帰ってきたら書類があんなに溜まってるとは思わなかったぞ。」

 「だね。まさか、この部屋の床にまで書類が山積みになってたからびっくりしちゃった。」

 「カミール。徹夜でやって終わらせたんだから、今日はもう休んでもいいだろう??」

 「ええ、もちろんですよ。予定より早く終わりましたので今日はここまでにしましょう。」


 カミールさんも満足そうに頷いていた……だが、若干目の下にはクマが出来ている。

 では、失礼します。とカミールさんは出来上がった書類を持って退室していく。

 私は紅茶を入れてリデルと休憩しながら、この後なにをするのかを話した。


 「仕事も片付いたし、一緒に城下町にでも行かないか??」

 「うん、いいよ。ちょっと遅くなっちゃったけどお昼ご飯でも食べに行こうか。」

 「決まりだな。服を着替えてくるよ。……うん??誰かこっちに向かってきてるな。」


 リデルが椅子から立ち上がると、廊下から誰かが走っているような音がこちらに近づいてくる。

 執務室のドアがノックされたので、私はドアを開けた。


 「はい……あれ、マークスさんじゃないですか。どうしたんです??」

 「リヴィリカ様……!!それにリデル陛下も!!大変なんです!!」

 「どうしたんだ、そんなに慌てて……。何があったんだ??」


 マークスさんは少しだけ息を切らしていたが、すぐに呼吸を整えて背筋を伸ばして真剣そうな顔になった。

 只ならぬ様子に私もリデルも緊張が走った。



 「隊長が……!!クロア隊長が、セクシーなお姉さんと仲良く並んで城下町でデートしてるのを見たんです!!」

 「「な、なんだってーー!!!!」」


 私とリデルは思わず大きな声で叫んでしまった。




 「それで??詳しく聞かせてくれないか。」

 「俺は今日非番で、街をぶらついてたんですけど……そしたら見ちゃったんです。隊長がセクシーな女性と並んで歩いてるところを!!」

 「その2人はなにをしてたんです??」

 「いろんなお店を見て回ってました。服屋、アクセサリー、菓子屋、花屋……しかも、女性は隊長と腕組んで歩いてたんですよ??しかも隊長も嫌そうな感じじゃなかったし。」

 「あのクロアが……!?」


 クロアはなんだかんだで女性にモテる。

 漆黒の髪の毛に切れ目の瞳でとても端正な顔立ちをしている。

 一見、目付きも悪く無愛想な性格だが、勇者ということと何より騎士として街の人々に慕われている……そして、たまに見せる笑顔と優しさがいい!!、とこの前お菓子屋の看板娘さんがうっとりしながら言っていた。



 「あいつが誰と付き合おうと構わないが……。まさかセクシー系が好みだったとは。」

 「……どうして私を見ながら言うの??」

 「いや、クロアのリヴィリカ大好きっぷりを見ていると、あいつのタイプは可愛い系だと思ってたんだが……。」

 「私のせいで、クロアの性癖がそうなってると……??」


 私は思わずリデルを睨みつけた。

 ……悪かったな、化粧っけがない童顔で。


 「それでどうしますか??俺はこの命に代えてもあの2人を尾行しますよ。」

 「マークスさん、落ち着いて。そんなことで命掛けないで。」

 「だが、確かに気になるな。よし、リヴィリカとマークス!!一緒にその2人を尾行しに行くぞ!!」

 「ほ、本当に尾行するの??見つかったら怒られるよ。」

 「大丈夫!!尾行がバレなければいいのさ。」

 


 こうして、私達3人は、クロアとセクシーお姉さんを尾行することになったのだった……。

 まず、服装が目立つということで私達は街の人達に溶け込めるような服に着替える。

 それからリデルの魔法で私達の髪色をブラウンに変えてくれた。


 私は長い髪の毛を三つ編みにしてもらい、鏡で自分の姿を見る……これならパッと見たぐらいでは私だとわからないだろう。

 リデルも変装のために眼鏡を掛けて、顔を少し隠すようにマフラーを巻いている。


 「なんだか、こうして並ぶと俺達兄妹みたいですね。」

 「言われてみればそうだな。よし、今日だけリヴィリカは俺の妹だ!!」

 「別にそこまで設定にこだわらなくてもいいんじゃない??……それにマークスさんは分かるけど同い年のリデルがお兄さんなの??」

 「いいじゃないか。ほら、兄さんって呼んでごらん??お兄様でもいいぞ。」


 キラキラとした笑顔でリデルが迫ってきた。

 私はあまりのしつこさにリデルにデコピンを食らわせてやった。


 「お二人とも、じゃれてないでそろそろ行きますよー。」

 「「はーい。」」


 前髪をかき上げて帽子を被ったマークスさんに言われて私達はお城から出る。

 そして、マークスさんが最後に2人を見たという城下町の商店街へとやって来た。


 「確かこの辺で……。あ、あそこです!!」

 「ホントにセクシーなお姉さんだ……。」

 「今も腕組んでるな。クロアも嫌そうな顔はしていない。」


 私達は胸元の開いたセクシーなドレスを着こなしている女性がクロアと腕を組んで歩いている所を見つけた。

 笑顔で話しかけるセクシーさんにクロアは嫌そうな顔はせず、何かを話しかけていた。


 「あのレストランに入るみたいだな。よし、行くぞ!!」

 「はい!!なんだかわくわくしてきましたね!!」

 「2人とも!!そんなにはしゃいでたらバレちゃうよ!!」


 私はリデルに手を引かれ、楽しそうに顔を輝かせているマークスさんのあとをついていき、クロア達が入って行ったレストランに入店するのだった。


 

クロアとセクシーなお姉さんを尾行する3人です。


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