第六十一話 独り立ちの時
2章、完結です。
ステラエーンに着くと、ラン様が出迎えてくれた。
ラン様に早速、先日ミグレムから貰った招待状について説明した。
「そうですか。死者からの招待状を貰ったんですね。」
「ラン様は何かご存じですか??」
「ええ。ファンタスマゴリアは未練を残した死者の魂を浄化するためのお祭りです。……魔王のせいでここ数年は開催されなかったんですよ。」
「じゃあ、そのお祭りに参加すれば教皇様に会えるんですね。」
「恐らく。これほどのチャンスはありません。なんせ本人から直接聞けるのですから。」
ラン様とマーレにも招待状を渡し、私達は封筒を開封した。
中には一通の便箋と十字架のネックレスが入ってる。
「”今まで話せなかった全てを君に話そう。君の人生を狂わせてしまった事を懺悔するために”」
「その罪の意識から彼の魂は浄化されなかったのですね。」
「そうみたいです……。マーレはなんて書いてあったの??」
「”親友を裏切ったことを後悔している。最後にお前に謝りたい”、だそうだ。」
イザックは悪魔に魂を売ったマーレの親友だ。
今まで行方不明だったが、彼はついに肉体を失くし魂だけになっていたようだ。
「彼に関しては少し信用できませんよ。マーレ、行くのでしたら警戒した方がいいと思います。」
「ああ、そうだな。だが、会えるチャンスなんだろ??俺も行くさ。」
「そうですか。では、祭りの開催は2か月後……ですね。マーレ、私とリヴィをちゃんと守ってくださいね。」
「へいへい。任せてくださいよ。」
「それから、招待されていない人間は死者の国には入れませんからね。……わかりましたか、クロア??」
「……は??」
恐らくいつものように私に着いて来ようとしていたクロアだがラン様に釘を刺される。
クロアはすごく不満そうな顔になった。
「駄目ですよ??招待されない人間は死者の国には入れませんからね。もし、無理矢理入ろうとすれば消されますよ??」
「だが、リヴィを1人で行かせるわけには……。」
「何言ってるんです。私とマーレがいるじゃないですか。」
「そうだぜ、クロア。今回お前はお留守番だな。」
クロアは納得できない、という表情になった。
その様子を見て、ラン様とマーレが私の両脇に立つと肩を寄せ合うようにして2人が私にくっついた。
「というわけで、私とマーレがしっかりとリヴィを守るのでどうぞ安心してくださいね。」
「安心できません。リヴィの世話は俺がやらないといけないんです。」
「いや、自分の事ぐらい自分で出来るから大丈夫だよ。」
「クロア、君もそろそろリヴィリカ離れしたほうがいいんじゃないか??それに、騎士団だってこれ以上離れるわけにはいかないだろう。」
クロアは騎士団の任務もあるし、これ以上はクロアの代理をしているマークスさんも大変だろうし……。
私はクロアに安心させるように言った。
「クロア、私なら大丈夫。ラン様もマーレも一緒にいてくれるから心強いし。」
「……リヴィは俺がいなくても平気なのか??」
「もちろん、クロアが一緒にいてくれるのは私も安心する。だけど、そのせいでクロアに甘えてばかりいる気がするの。きっとこのままじゃいけないと思うから……。」
「リヴィ……。」
私だっていつまでもクロアに頼っては迷惑だろうし、これはいい機会だ。
クロアにそういうと珍しく悲しそうに目を伏せた。
「リヴィがそういうなら……。ランフェル殿、ついでにマーレ、リヴィをよろしく頼む。」
「ええ、任せなさい。」
「……だが、リヴィになにかあったら2人を一生呪い続ける。」
「おい、物騒な事言うのやめろって。」
私達はステラエーンで少し休憩させてもらってから聖都へ帰ることになった。
その間、私はラン様にフランジェ国であったことを伝えた。
フランジェの双子の王女の事、その2人が入れ替わっていた事、それから初めて参加した舞踏会の事も話した。
「では、教皇に言われていた姉ではなく妹の王女を仲間にしたのですね。」
「はい。ですが、予言書通りだったとしても戦いになれていない姉のルフェリアを勇者に選ぶなんておかしいと思ってたんです。」
「そうですね……。聖都の前国王が教皇にそうするように命令した可能性も十分にありますね。あの前国王ならやりそうなことです。」
ラン様は呆れたようにため息をついて、少し冷めてしまった紅茶を飲んだ。
そして話は舞踏会の話になった。
「舞踏会は楽しめましたか??初めて参加したのでしょう??」
「はい!!それに私のお友達が作ってくれたドレスがとっても素敵だったんですよ!!」
「リヴィのドレス姿を私も見たかったです。聖都で開催される年末の大きな舞踏会には私も参加しますので、その時は楽しみにしていますよ。」
「ラン様も参加されるんですね!!私、聖都の大きなお祭り初めてなので楽しみなんです。」
聖都で行われる大きな舞踏会は、新しい年が来る事とリデルの誕生日があるので街全体で大規模なお祭りが開催されるようだ。
その頃には私は死者の国で教皇様から全てを聞き出しているだろう……私はその時どんな気持ちで舞踏会に参加しているだろうか……私は少しだけ不安な気持ちになった。
2章、フランジェ国編終わりです。
そしてついに3章の死者の国ではクロアと別行動です。どうなっちゃうんでしょうね。
また、しばしの日常に戻ってから死者の国編になります。




