第五十八話 夢のような夜の終わり
私はクロアに肩を抱かれ、お城の中に入って行った。
レチェリアの姿を見て、そのままのドレス姿で外に走って行ったのですごく寒かった……。
そして、ジュノが牢屋からいなくなったことはすでにフランジェ国王の耳にも入っているようだ。
部屋に集まって、私は先ほどあった事を話した。
「ジュノを逃がしたのは、そのミグレムという男か……、警備兵もいたというのにいとも簡単に脱獄させるとは。」
「私もレチェリアの姿を見かけて追いかけたら男の姿になったので……幻術を使ったのかもしれません。」
牢屋の近くにいた兵士の話によると、一瞬意識が遠のいたと思ったらいつの間にか牢屋の中にジュノはいなかったようだ。
「もしも、客人に混じっていたらどうしようかと思ったが、その心配はないようだな。」
「そうですわね。お客様に危険が及ばすよかったですわ。」
フランジェ国王と王妃はひとまずは一安心したようだ。
「リヴィリカにも怪我がなくてよかった。……だがせめて、クロアと一緒に行動してくれ。」
「ごめん。思わず走り出しちゃって。」
「しかも、そんな肩丸出しのドレスで外に出るなんて……真冬のフランジェの夜を舐めてるの??風邪を引きたいわけ??」
「はい……ごめんなさい。」
私はリデルとルフェリアに挟まれ、お説教が始まった……。
すると、クロアが着ていたマントを私の肩に掛けてくれる。
「あとは俺がリヴィにしっかり言っておこう。それより、もう俺達は部屋に戻ってもいいだろうか??このままではリヴィが本当に風邪を引きそうだ。」
「そうだな、しっかり言っておいてくれ。くわしいことは明日聞くことにしよう。」
「ちゃんとお風呂に浸かって温まるのよ??ドレスも!!適当に脱ぎっぱなしにしないでメイドに渡して雪のシミが残らないようにね!!」
「はい……。」
まだまだ何か言われそうだったが、クロアのお陰でお説教は終わった……多分その続きを明日言われそうだけど。
自室に戻り、メイドさんに手伝ってもらってドレスを脱いで湯舟に浸かる。
「では、リヴィリカ様、おやすみなさいませ。ドレスは明日中には綺麗にしてお返しいたしますね。」
「お願いします。おやすみなさい。」
そう言って私のドレスを持ってメイドさんは部屋から出て行った。
すると、クローゼットが開いて秘密の扉からクロアが入ってくる……クロアもお風呂に入ったのか正装服からズボンとシャツにカーディガンを羽織った姿になっていた。
「ちゃんと肩まで湯に浸かったか??」
「もう、寒くないから大丈夫!!じゃあ、疲れたからもう寝るね。」
「待て、寝るのは説教が終わってからだ。」
「やっぱりお説教されるのね……。」
そそくさとベッドに潜り込もうとしたのが、その前にクロアに両脇に手を入れられ持ち上げられるとソファに座らされた。
私の隣に座ると、クロアは私の頬を自分の両手で包み込むようにして目線が合うように固定される。
「さて、しっかり反省するまで寝かせないからな。」
「夢で魘されない程度にお願い……。」
お説教の内容は先ほどの1人での行動、危機感が足りない、そして昔の事も掘り返されて2時間も静かに怒られた。
言わずもがな、夢でもクロアに小言をひたすら言われる、という内容だった……。
「随分こってり説教させられたみたいだな……。」
「わかる??2時間もだよ??」
「リヴィリカのその顔を見ればわかるさ。これに懲りたらもう少し考えて行動するように。」
「はい……。」
次の朝、私の暗い顔を見て察したリデルは気の毒そうに私の頭を撫でてきた。
私は気を取り直して、テーブルの上に置いたままの豪華な箱をもう一度開ける。
「これ、本当に教皇様からの招待状なのかな??……まさか死者から貰えるとは思わなかったよ。」
「”ファンタスマゴリア”という祭りの事も聞いたことがないな。」
「ああ……もしかしたらランフェル殿の方が詳しい事を知っているかもしれん。赤い天使の教団の教皇とも旧友と言っていたし。……リヴィ、封筒の封を開けるのはランフェル殿に話を聞いてからにしろ。」
封筒の中身を見たくて、封を開けようとしたのだがクロアに言われしぶしぶ封筒を箱の中にしまった。
「そういえば2番目の巡礼地にはもう行ったのかい??」
「それが、雪崩が起きて入り口が塞がれちゃったみたいで入れないの。」
「ふむ……もしかしたら俺の火の魔法で溶かせるかもしれないから一度行ってみないか??」
「そっか、リデルの魔法なら!!お願いしてもいい??」
「もちろん。時間もないし、これから向かおうか。」
リデルは明日、聖都へ戻るというので私達も一緒に帰ることになっている。
時間はあまりないので私達はフランジェ国王に巡礼地の場所を詳しく聞き、2番目巡礼地へと向かったのであった。
いろんな人に怒られたリヴィリカ。
なんだかんだでみんな過保護です。




