第五十六話 練習の成果
「それで、パートナーの組み合わせは決まったのかい??」
「それがまだなんです、お父様。」
「では、今ここで決めてしまいなさい。」
先ほどパートナーについて話そうとしたのに、ノエルちゃんのお店の事で話がそれてしまっていた。
私達は4人で円になり、相談し始めた。
「それで??リヴィリカはどっちとパートナーになりたいわけ??」
「えっ……でも、ルフェリアはこの国の王女様だし、先に選んでいいよ。」
「いや、どっちでもいいからアンタの意見も聞こうとしてるんだけど……。」
「うーん、私もどっちでも大丈夫だよ??」
「なんか、すごい複雑だ……。2人とも悪気はないのはわかっているが、どっちでもいい、を連呼するのはやめてくれ。なんかへこむ。」
「リヴィ、俺を選んでおけば間違いないぞ。」
私とルフェリアは互いに譲り合いが発生し、なかなか決められない状態になっていた。
すると、リデルが手を挙げた。
「どうしたの、リデル??」
「リヴィリカ、お前は忘れたのか??俺に賭けで負けただろう??」
「そういえば、そんな事もあったね……。」
リデルは少しニヤリと笑うと、私の隣に並び肩に手を置いてきた。
「というわけで、クロア。リヴィリカは俺とパートナーになるからな!!」
「……なんだと??」
先ほどの穏やかな表情はなくなり、クロアは怖い顔になった。
ついでに、ルフェリアの表情も少し歪んだ。
「どっちでもいいって言ったけど、こんな不機嫌状態のクロアとパートナーになるのは嫌なんだけど。」
「ルフェリア、ごめんね。クロアこれはしょうがないのよ。全部リデルが悪いの。勝手に賭け事を始めたリデルが。」
「リヴィリカ、やめろ。2人もだ、今にも俺を締め上げそうな顔をするな。」
一発即発な空気になり始めたところで、フランジェ王と王妃がニコニコしながら2人を止めた。
「まぁまぁ、パートナーと言っても最初だけだ。最初の入場とダンスをある程度やったら交換すればいいじゃないか。」
「そうよ。だからケンカしないで仲良くね。」
「……お父様とお母様がそういうのでしたら。」
「ふん、すぐにリヴィのパートナーになってやる。」
「助かった……。」
「そろそろ、時間だ。皆が待っているぞ。」
お二人に宥められ、ルフェリアとクロアはしぶしぶ納得したようだ。
フランジェ王に言われ、私達はようやくダンスホールへと移動する。
「改めて、本日はフランジェ王国とガランハルト王国の平和条約を無事結ぶことが出来た事、嬉しく思う。今宵の宴はぜひ楽しんでいっていただきたい。」
フランジェ国王の挨拶が終わり、舞踏会が始まった。
私とリデルは思い思いに舞踏会を楽しむ人達を眺めていた。
「本当にもう戦争をしなくていいんだね。」
「ああ。リヴィリカやクロア、他の勇者達のおかげだ。君達には感謝してもしきれないくらいさ。」
笑顔で舞踏会を楽しんでいる人々を眺め、リデルは嬉しそうに微笑んでいる。
すると、リデルは私の前に膝まづいて、手を差し出してきた。
「リヴィリカ、私と踊ってくれますか??」
「……はい、よろこんで。」
私はリデルの手に自分の手を重ねると、リデルはゆっくり立ち上がりもう片方の手を私の背中に添えるとゆっくりとしたステップで踊り始めた。
「おや??上手に踊れてるじゃないか。」
「こう見えて、本番には強いんだよ。知らなかったの??」
「そうだったのか。リヴィリカの新しい一面を知ることが出来たな。」
前回はリデルの足を踏んでしまったが、周りの人の目もあるし目の前にいる国王の為にも完璧に踊らなければ……。
私は慎重にステップを踏んでいると、周りの視線がこちらに注目されていることに気づく。
「……なんだか、すごい注目されてる気がするんだけど。」
「リヴィリカの美しい姿に皆見とれているのさ。」
「それからリデルもね。ご令嬢やご婦人の視線がすごいよ。」
ダンスをしていることで私のドレスの裾がふんわりと舞って注目を浴びているようだ。
リデルに関しては、19歳の若き王に大勢の女性は興味を持っているようだ。
「うーん……、この前はリヴィリカに他の男性とダンスをするようにと言ったが……なんか、いやだ。」
「え??」
「よし!!リヴィリカ、ケーキを食べに行こう!!甘い物好きだろう??」
「好きだけど……。わっ!!引っ張らないでよ!!」
音楽が終わり、次の曲が流れようとした時にリデルに手を引かれ、ダンスホールから離れていき隣の大きな部屋へ移動する。
隣の大きな部屋には沢山の料理がテーブルに並んでいてビュッフェスタイルで取っていくようだ。
「リヴィリカの好きな物、嫌いな物、もっと教えてほしいんだ。」
「好きな物と嫌いな物??そうだなぁ……。」
私とリデルは赤い上品なソファに並んで座ると、繊細に作られたお菓子を食べながら他愛もない話をする。
リデルがどんどん質問をしてくるので、それに私は答えていく。
私の事ばかりで、面白くないんじゃ……??と思ったがリデルは終始楽しそうに笑いながら私の答えに耳を傾けてくれた。




