第五十二話 ルカはいいこ
誰かが私を殺害しようとしている可能性がある、と分かってからクロアが今まで以上に警戒して、私から片時も離れなくなった。
今も、ルフェリアに呼ばれて彼女の新しい部屋へお邪魔しようとしたのだが、クロアも一緒に行く、と言って3人でテーブルを囲んでいる。
「リヴィリカ、毒を盛られそうになったって本当なの??大丈夫だったわけ??」
「私じゃなくてリデルが先に飲んじゃって、リデルの方が危なかったよ。」
「それで、この騎士はどこまでもアンタの傍を離れないって訳ね。」
ルフェリアがポットからお茶を入れると、クロアの表情が少し険しくなる。
その様子をみたルフェリアがため息をついてクロアに言った。
「このお茶に毒なんて入ってないわよ。ちゃんと確認させたんだから。」
「どうやって確認したの??まさか、誰か毒見をしたの……??」
「リデル王が飲んだ毒は即効性のある猛毒でしょ??そんなの誰も毒見なんてしてくれないわ。ルカに嗅がせて毒が入ってないか調べたのよ。」
「ルカは毒が入ってるかわかるの??」
ルカとあまり仲良くなかったルフェリアだったが、少しずつ仲良くなってきているようだ。
その証拠に、部屋の暖炉の前にはルカが身体を丸めて眠っている。
「ルカの嗅覚は鋭いから少しでも毒が入っていたらわかるのよ。だから、ルカに確認してもらいなさい。」
「うん、ありがとう。……でもよかった。ルフェリア、ルカと仲良くなれたんだね。」
「昔、ルカと喧嘩したから、そのことを謝ったのよ。……ルカのおやつを奪って食べたのを根に持ってたのよ、この子」
「おやつを奪った……??そんなことがあったの!?」
詳しく聞くと、ルカの2歳の誕生日の時にレチェリアが手作りのケーキをルカに作ったらしい。
もちろんルカにも食べられる食材を使い豪華に作ったのだが、見た目は人間が食べられるケーキと似ていたので、間違えてルフェリアがルカの前で食べてしまったらしい。
それを、見たルカが激怒してそれ以降ルフェリアには懐いてくれなかったようだ。
「だから、ジェイミと一緒にレチェリアがあの時作ったケーキを思い出しながら作ってルカにあげたの。そしたら、最近は撫でさせてもらえるようになったの!!」
「食べ物の恨みは恐ろしいからね……。でも、ちゃんと仲直り出来てよかった!!」
ルフェリアはルカが懐いてくれたことが嬉しかったらしく、少し興奮気味に話してくれた。
その様子がとても可愛くって私は思わず笑ってしまった。
しばらくおしゃべりを楽しんでから、ルフェリアの部屋を後にした。
ルフェリアからルカを自室に連れていき、早速ディナーのお料理の匂いを嗅いでもらい毒が入っているのかを確認してもらう。
「ルカ、どう??なにか入ってそう……??」
「わんっ!!」
「このスープは大丈夫なのね……こっちは??」
「グルルル……。」
「サラダは毒入りなのね……。ちゃんと嗅ぎ分けられて偉いわ、ルカ!!」
撫でて褒めてあげると、ルカは嬉しそうな表情をした。
他の人を巻き込まない様に私とクロアの分のディナーを部屋に運んでもらったのだが、やはり毒は盛られていたようだ……。
「また毒入りか……しばらくは俺が厨房を借りて食事を作るよう。」
「それなら私も一緒に作るよ。クロア、迷惑かけてごめんね。」
「そのぐらいなんてことない。だが、早めに犯人をどうにかしなければ……。」
「明日から同盟国の地主の方やその使用人も来るから余計犯人を見つけるのが大変になりそうだしね。」
その次の日から、お城の厨房を借りてクロアと一緒に食事を作って、お行儀が悪いがその場で食べるようにした。
こうすれば、他の誰かが毒を入れる隙がないため安心して食べられる。
「昨日のディナーにも毒が入っていたんだな??」
「うん。だから、これからはクロアと一緒に厨房を借りて自分たちで作るようにしてるの。」
「そうすれば誰も毒を入れることは出来ないからな。」
「なんか楽しそうだな。俺もお前達と料理したい!!」
「リデルは王様でしょ。ダメ。」
今日は晴れてほんの少しだけ寒さが和らいだので、リデルも誘って3人で大きな庭園を歩いていた。
一面真っ白な景色と、沢山生えている木々は葉っぱが付いていない代わりに、枝に纏わせた雪が花を咲かせているように見えてとても綺麗だ。
「そういえば舞踏会のパートナーについてフランジェ国王から相談されたんだが……。」
「パートナー??」
「ああ。リヴィリカが俺とクロアのどちらと「リヴィ!!」……は??」
リデルと話していると、いきなり隣にいたクロアが私を引き寄せる。
すると私が立っていた場所には割れた鉢植えが割れていた。
「えっと……クロア、何が起こったの??」
「上からその植木鉢が落ちてきた。」
上を見ると、丁度私達の頭上にある建物の窓は開いていて、カーテンがひらひらと風になびいていた。
「毒殺が上手くいかないからって物理的に殺そうとしてきてるな。」
「リデル、リヴィを部屋へ。俺はあの場所を調べてくる。」
「ああ、リヴィリカの事は任せてくれ……ってもう行ってしまったな。よし、部屋に戻るぞ。」
「うん……。」
クロアはあっという間に走って城内へ入って行った……早い。
私とリデルは少し早歩きで、周りを警戒しながら城内へと入って行った。
2章の終わりに、クロアとリヴィリカの孤児院時代の話を投稿したい・・・




