第四十九話 調印まであと3日
双子の王女が入れ替わっているという事実をルフェリアに確認した後、彼女は早速塔の自室から出て両親である国王と王妃に真実をはなしたようだ。
2人は驚いたようだったが、ルフェリアが今後もレチェリアとして過ごすことに賛成してくれたらしい。
今では、ルフェリアもお城を自由に歩き、かつて姉がやっていた国王の手助けをするために勉強する妹、を演じているようだ。
「聖都の国王が明日にはフランジェに到着するみたいよ」
「そしたらようやく平和条約が結ばれるね」
「長い戦争がやっと終わるわ。休戦中も聖都の国王がちょっかいだしてくるんじゃないかってずっと心配だったんだから……」
レチェリア……ではなく、ルフェリアとはよく一緒にお話をするようになった。
ルフェリアは聖都との戦を書き綴ってある書物をパラパラとめくりながら言う。
「それで、聖都の今の国王のリデル様はどんな人なの??聞いた話だと18歳で国王になったのでしょう??」
「うん。……いい王様だよ。気さくな人柄で国民からも慕われているし」
「そして、サボり魔だ。よく業務から逃げている」
「それって大丈夫なの??」
「た、多分……」
なんて言おうか迷っているとクロアが付け足してくれた……私もサボり癖があることは言うか言わないか迷ってたのに。
私達はリデルの行いを思い返して言うと、ルフェリアにそのことを言うと信じられない、という顔になった。
次の日になると、護衛を大勢引き連れたリデルがやって来た。
フランジェ国王と謁見して、部屋へと通されたというのでリデルの部屋に案内してもらう。
「リデル!!」
「リヴィリカとクロア!!2人とも何か変わったことはなかったかい??」
「うん、大丈夫だよ。リデルも道中大丈夫だった??雪が凄かったでしょ」
「ああ、予想以上で参ったよ。――だが、素晴らしい雪景色だった」
リデルは暖炉の前で手を暖めながら言った。
メイドさんが用意してくれた紅茶を3人で飲みながらリデルから今後の日程を聞いた。
「3日後の午後には調印の儀、夜には同盟国の地主たちを招いての舞踏会が開催される。……お前達にも調印の儀には出席してもらう事になっているから頼むぞ」
「……やっぱり出席しないとだよね」
3日後、と聞いて改めて実感がわいてくる……でも、沢山準備もしたしちゃんと成功させないと。
紅茶を飲んで一息ついたリデルは、図書室に行きたいというので一緒についていくことにした。
「うわああああ……。こ、ここは天国か!?」
「え、リデルが興奮してる??何かいい本があるの??」
「これっ!!これはだな、聖都にも魔法学校にもなかった氷の上級魔法の書物なんだ!!」
リデルは本棚にずらりと並んでいる背表紙を楽しそうに見ながら小走りで図書室を見て回る。
その様子を私とクロアは、部屋の中央にある椅子に座ってその様子を見ていた。
そして古くて分厚い本を3冊ほど抱えて、リデルは私の隣の椅子に座って早速本を読み始めた。
「リデル王、こちらにいらっしゃいましたか。どうかな、我が国の自慢の書物は」
「見たことのない書物ばかりでとても興味深いです」
「それは良かった。……ところで、すでにステラエーン付近の海流に掛けられた魔法を解いてくれたようだね」
「ええ、我が国の同盟国の者達も安心して海を渡ってこれるでしょう」
「あれは、聖都の前国王が施した魔法でしたよね。それを解くとは貴殿はとても優秀な魔術師なのだな。」
「……聖都の王になるからには、優秀な魔術師になれと父にずっと言われていたので」
どうやらリデルはステラエーンにある荒れた海流を魔法で解除したようだ。
……あの海流は前国王によって施された魔法だったんだ。
「では、ゆっくり過ごして欲しい。リデル王、もしよければ我が娘とも会って話をしてやってくれ。彼女もいずれこの国の王になる可能性はある、これからも仲良くしてほしい」
「ええ、もちろんです」
そう言ってフランジェ王は図書室から出て行った。
「あの海流ってリデルのお父様の仕業だったの??」
「ああ、休戦を制定したが父はフランジェ国を信用しなくて魔法でステラエーンから攻めてこないようにしたんだ」
「そうだったんだ。これで誰でも安心して海を渡る事が出来るね。クロアもよかったね」
「ああ……!!」
クロアはそっけなく言ったけれど、毎回船酔いで苦しんでたしすごい嬉しそうだ……。
私はフランジェ国の歴史の本、クロアはフランジェ国の童話、リデルは氷魔法の魔術書を読みながら、ページをめくる音だけが聞こえる図書室で読書を楽しんだ。
意外と童話好きのクロア、リデルは魔法オタク。
次回もやっぱり事件発生の予感。




