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星屑の聖女  作者: 夜桜 メル
第二章
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番外編 悪魔に魂を売った海賊 2



 私はクロアとリアムと共に最初の巡礼地があるステラエーンに滞在している。

 ステラエーンの神官長ランフェル様に聖魔法を教わる為、今日も書物と睨めっこをしながら勉強に励んでいた。



 「リヴィリカ、今日も前回の復習をしてから次の聖魔法を学んでいきましょう。」

 「はい!!今日もよろしくお願いします。」


 ランフェル様は今日も天使のような可愛らしい笑顔で優しく私に言った。

 私は意識を集中させて基本の回復魔法を発動させようとした……すると、爆発音と共に建物全体が大きく揺れた。


 「わっ!!な、何が起こったんですか!?」

 「わかりません。確認しに行きましょう。リヴィリカ、私から離れないでくださいね」


 廊下に出て窓を覗くと神殿の所々から煙が立ち上がっている。

 すると1人の聖職者の方が走って私達に近づいてきた。


 「ランフェル様、大変です!!北の巡礼地の海流を抜けて海賊船のようなものが神殿の裏側に!!」

 「何ですって??あの海流を抜けてくるなんて……。リヴィリカ、とりあえず貴女はクロア達と一緒にいたほうが良さそうです。早く2人と合流しましょう」


 ランフェル様は聖職者に指示を出すと、私と共にクロア達のいる部屋へと向かった。

 長い廊下を走っている最中も時々、大砲による衝撃が建物を揺らす。


 「……!!わっ!!」

 「リヴィリカ!?……この騒ぎはあなたの仕業ですか??」

 「ほぉ、噂には聞いていたがあんたが神官長様か??随分お若いお姿で。」


 走っていたら、いきなりドアが開きそこから刺青が沢山入った腕が伸びてきて私は腕の持ち主に捕らえられてしまった。

 私の首に回されたがっしりとした腕に、頭にはひんやりとしたものを当てられた……それは微かに火薬の臭いがした。


 「悪いが、この嬢ちゃんは預からせてもらうぜ。なぁに、殺しはしない。こちらの要望を素直に聞いてくれればな。」

 「私に喧嘩を売るつもりですか??いい度胸ですね」

 「おお、怖い。天使の顔が悪魔のような顔になってるぜ、神官長様」


 海賊の男とランフェル様が睨み合う……すると、すぐ近くで再び衝撃音が響き渡る。

 隙をついて、男が私を肩に背負いランフェル様に向かって銃を発砲すると、近くの窓をけ破り外に出ると屋根の上をすごい速さで走り出した。


 「巻き込んで悪いな嬢ちゃん。だが、さっき言った通り大人しくしてれば殺しはしない」

 「海賊の言うことは信用できません」

 「ははっ!!確かにな!!……だが、本当の事だ」


 こんなに、派手に騒動を起こしておいて何を言っているのだろうか……。

 海に面している神殿の裏側に着くとそこにはフックと頑丈そうな縄があった。


 「さ、この下に俺の船がある。しっかり掴まってろよ??」

 「……この高さから下りるの??」

 「ああ。だからしっかり掴まってないと、嬢ちゃんは海に叩きつけられて死ぬぜ。行くぞ!!」

 「え、ちょ……キャアアアアァァァァ!!」


 男は片手で縄を掴み、もう片方の腕で私を腕一本で抱きかかえる……そして私の心の準備が出来ていないまま一気に落ちた。

 内臓が浮くような感覚に思わず、男の首元に思いっきり抱き着いて、落下する恐怖を感じた……だが、あっという間にその浮遊感は無くなり男が地面に着地したのがわかった。


 「船長、おかえりなさい!!うまくいきましたね!!」

 「ああ、神殿のお宝ならいいもん貰えるだろう。このお嬢さんを大事にもてなせよ。」

 「はい、任せてください!!」


 私はずっとつぶっていた目を開けると思った以上に陽気な海賊達がいた。

 男に肩を軽く叩かれ、私はようやく我に返り慌てて首に回していた腕を緩めて離れる。

 改めて私を攫った男を見上げると、銀色の髪を雑にハーフアップにした大柄の男だった……こちらの目線に気づいたのか、白い歯を見せてニカッと笑った。


 「改めて俺はマーレ。心優しい大海賊マーレ様だ。よろしく頼むぜ」

 「……私はリヴィリカ」

 「仲良くはしてくれない、か。残念だ……カルバ!!この嬢ちゃんを部屋に案内してやってくれ!!」


 男……マーレは自己紹介と共に握手の手を差し出してきたが、私は名前だけ言ってその手を少し見てそっぽを向いた。

 マーレはわざとらしくガッカリしたように肩を落とすが、すぐに気を取り直すと近くにいたバンダナを巻いた青年に言った。



 「しばらくはこの部屋で大人しくしててくれ。あ、腹空いてないか??何か飲むか??寒いようなら毛布を持ってくるが??」

 「だ、大丈夫です。なにもいりませんから」

 「そうか。なにかあれば言ってくれ」

 「貴方も海賊なんですか??というか他の人達もちょっと海賊っぽくないような」


 私を部屋に案内してくれた青年はカルバさんというらしい。

 てっきり牢屋のような場所に案内されると思ったが、普通の綺麗な部屋に通された……それにすごく親切にされて少しびっくりした。

 私の少し失礼な質問も笑いながら答えてくれた。



 「もちろん、俺達は人を殺さないし乱暴な事をしない上品な海賊だからな」

 「ちょっと乱暴に連れ去られたし、神殿にも沢山大砲撃ってるけど。……それで私を人質にしてどうするんです??」

 「そりゃ、お前と引き換えにお宝を頂くのさ」


 そう言ってカルバさんはニヤリと笑った……まぁ、海賊だしそうだよね。

 カルバさんは私が退屈しない様に気を使ってくれているのか、一方的に話しかけてくるカンバさんに軽く相槌を打っていると、しばらくして外が騒がしくなってきた。



カルバさんの名前の由来は、リンゴのお酒カルヴァドスから。

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