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星屑の聖女  作者: 夜桜 メル
第二章
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番外編 悪魔に魂を売った海賊 1

こんなタイミングですが、リヴィリカと大海賊マーレの出会い編です。



 「ああ、リヴィ。よく来てくださいました。寒かったでしょう??早く中へ入ってください。」

 「お久しぶりです。ラン様!!」


 フランジェ王国との平和条約を結ぶため、平和の使者として選ばれた私とクロアは以前来た時よりもより雪が降るステラエーンに到着し、神殿に入るとラン様が入り口で出迎えてくれた。

 輝く金色の髪に青い瞳、私と同じくらいの身長の美少年は真っ白な毛皮が使われている暖かそうなケープとベレー帽を身に付け、相変わらず天使のように可愛らしい姿だった。



 「おやおや、手がこんなにも冷えて……温めてあげますよ」

 「ありがとうございます。ラン様の手、とても温かいです」


 ラン様に手を取られ軽く握られると、私のあまりの手の冷たさに驚いたのか両手で私の手を包み込んでくれた……ラン様の手の温もりが私のかじかんだ手を温めてくれる。

 するとクロアが私とラン様の繋いでいる手を引き離そうとした。


 「クロア??私はリヴィの手を温めてあげているだけです。邪魔しないでください」

 「その役目は俺がするので問題なく」

 「はぁ……。ではクロアの手も一緒に温めてあげましょう、リヴィ」

 「はい!!クロアも寒かったよね。温めてあげる!!」


 ラン様に目くばせをされて、ゆっくり手を解いてもらったので私がクロアの両手を包み込む……クロアも手袋をしていたがかなり指先まで冷え切っていたようだ。

 そしてクロアの手を包み込んだ私の手の上に再びラン様の両手のぬくもりが包み込む。

 それを見たクロアは複雑そうな顔をしていたので私とラン様はその様子が面白くてニコニコしてしまった。


 「おーい、お三方。なにしてるんだい??楽しそうだ、俺も混ぜてくれ」

 「マーレ!!この前はどうして見送りに来てくれなかったの??こうしてすぐ会えたからよかったけど」

 「ああ、すまん。……この神官長殿が夜中にまた変なのが流れ着いたので見に行ってください、って叩き出されてな」

 「私はただステラエーンの民が安心して暮らせるようにしたいのでお願いしただけですよ??……前回の海賊船騒動は私達が解決したんですから、ちゃんと仕事をしてもらわないと困ります」


 そういえば、どうして神官長であるラン様と海賊のマーレが繋がっているんだろう??

 恐らく私はそのことを知っているはず……だが、忘れてしまっている。


 「お嬢。船の準備は出来ているからいつでも出発できるぜ」

 「うん、ありがとう!!」

 「お待ちなさい。リヴィ達は寒い中来たんですよ??もう少し温まってからでもいいでしょう」


 さ、私の書斎に行きましょうね。とラン様が私とクロアの手を引いて書斎へと案内してくれる。

 ネイサンさんに暖かいお茶を入れてもらい、ようやく体が温まって来た。



 「そういえば、マーレと出会った時の事まだ思い出せないんだよね……」

 「ああ、そのことでしたら……マーレがいきなりステラエーンに攻めてきてリヴィを人質にしたんです。」

 「え??」


 思った以上に物騒な事を言われて私は思わずマーレを見る。

 マーレは少しばつが悪そうな顔で私から顔をそらした。


 「やっぱりマーレは悪い海賊だったの??」

 「まさか!!女神様を信仰し、神官長ランフェル様に真意に仕える良い海賊さ。……今は」

 「本当に困った子だったんですよ。リヴィに銃口を向けて……」

 「……そろそろ出発の準備をしてこよう!!2人とも先に船で待ってるぜ!!」


 マーレは慌てたようにソファから立ち上がり、そそくさと書斎から出て行った。

 ラン様はマーレが出て行ったドアを見て、口元に手を当てて上品に笑った。


 「おやおや、少しからかいすぎました。まぁ、今ではステラエーンの民からも慕われるいい海賊ですので。よかったら、マーレの事を思い出してあげてください。少し意地悪な言い方をしましたが最後には貴女を守ってくれましたし」

 「守って??わかりました、マーレに聞いてみます」

 「それからリヴィ、”赤い天使”についてですが……。そこの教団の教皇ベネディッタと私は旧友の仲なのです」

 「え??お知り合いなんですか??」

 「ええ、昔はお互い魔物が多く出現した危険な場所などの情報交換をしていました。ですが、魔王も倒され魔物も少なくなりましたので最近は手紙のやり取りもしなくなりました……まさか、教皇の暗殺に関わっていたとは」


 赤い天使、と言われる教団の教皇様の名前はベネディッタ様というらしい。

 ラン様は立ち上がると、書斎机に置いてあった手紙を持ち上げた。


 「ベネディッタに教皇暗殺について知る為に手紙を送っているのですが返事はなく……。リヴィにはこの前にも言いましたが、けして油断はしない様に」

 「はい、気を付けます。心配してくださりありがとうございます」

 「問題ありません。俺がいますので」

 


 そのあと、ラン様に見送られながら船に乗ってティト大陸へと出発した。

 相変わらずクロアは例の海流で船酔いを発症し、ベッドの上で唸りながら眠っているのを確認して私はマーレのいる操縦室へと向かった。

 ドアをノックすると中からマーレの声がしたので少しだけドアを開けて中をのぞく。


 「マーレ、今いい??」

 「ん、お嬢か。まぁ、入れよ」

 「うん、ありがとう」


 マーレが笑って手招きしてきたので、中に入ると椅子に座るように指差した。

 その隣の椅子にマーレが座って、テーブルに頬杖を付きながら私を見る。


 「それで??どうしたんだ??」

 「さっき言ってたマーレと出会った時の事話したくて…」

 「あー、あの時の事な。あまりいい出会いとは言えないから思い出してほしくないんだけどな」

 「でも、ラン様が言ってたよ。最後は私の事守ってくれたって……失くした私の記憶、全て取り戻したいの。だから……」

 「……わかったよ。お嬢にそんな上目遣いで言われちゃあ敵わん」

 「ありがとう!!」


 そしてマーレと話しながら、失った記憶を少しずつ紐解いていった……。

 


しばらくマーレ編が続きます。

今後のストーリにも関係してくる人物も出てくるのでしばしお付き合いください。

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