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星屑の聖女  作者: 夜桜 メル
第二章
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第四十三話 白銀の狼



 ティト大陸はステラエーンより北に位置する大陸だ。

 四季はあるが一年を通して冬の時期が長い……そして今は丁度冬真っ盛りで吹雪になる事もあるらしい。


 私達はマーレの船に乗せてもらい、海流を抜けしばらくして見えてきた小さな港町に上陸した。

 その港町で、フランジェ国からの迎えがあるようなのでこじんまりとした宿屋で待たせてもらう事にした。


 「リヴィ、毛布を借りてきた。これで暖まるだろう」

 「ありがとう。……ふぅ、暖かい」


 2人分包み込めそうな大きな毛布にクロアと一緒に入り、暖炉の近くに座り込む。 

 毛布の中で肩を抱かれ引き寄せられると、クロアの体温も感じて大分暖かくなった。

 窓から外をちらりと見ると、先ほどよりも大粒の雪が降り始めている。

 しばらくすると宿屋のドアが開き、1人の男性が周りを見渡して私達を見つけると近づいてきた。



 「リヴィリカ様とクロア様ですね??お待たせいたしました、フランジェ国王陛下の命でお迎えに上がりました。さぁ、馬車を用意してありますのでこちらへ」

 「わかりました。よろしくお願いします」

 

 宿屋の人にお礼を言って毛布を返し、外に出ると馬車が用意されていた。

 先頭にいる馬は寒い地域にいる特性なのか普通の馬よりもふもふとした毛で覆われている。

 その近くには、全長が2メートル以上はありそうな白銀の毛並みの2匹の狼が座っていた。


 「狼??可愛いですね!!」

 「”フローズンウルフ”です。とても優れた嗅覚を持っているんですよ。この地域は大雪で視界が悪く遭難する危険があるので彼らの嗅覚がとても役に立つんです」


 そう言って、男性はフローズンウルフを撫でた。

 それに野生の魔物を寄せ付けないようにしてくれるとてもいい子だ……あれ??なんでそんなこと知ってるんだっけ……。

 私は懐かしいような不思議な感覚になりながらウルフをもう一度見つめる。


 「あの、私も撫でてみていいですか??」

 「もちろんですよ、どうぞ」

 「では……、っ~~!!」


 私が断りを入れてからウルフの頭を恐る恐る撫でようとすると、私の手は狼に噛まれた。

 はむっ、という軽い噛みつきだったが、その時にちらりと鋭い牙が見えた……もし、全力で噛みつかれたら、私は自分の手とおさらばだろう。


 「あ、駄目ですよ。この子達は人の気持ちに敏感なんです。恐怖心を持ったまま触ろうとすればそれがうつってしまいますよ。……大丈夫、この子は貴女に危害を加えません」


 『あーあー、駄目だよ。そんな恐る恐る触ろうとしちゃ。この子だって怖がっちゃうよ??大丈夫、この子は貴女に危害を加えないから』

 

 「”えっと、こんな感じ……??”」

 

 昔にも同じことを言われたことがある気がする……??

 男性が私の手を離すようにウルフを撫でて落ち着かせると噛むのをやめてくれた。

 そして男性が撫でている反対側の頭を撫でると、ウルフは気持ちよさそうに私の手の平に顔を押し付けて甘えてきた。


 「可愛い!!」

 「ね??いい子でしょう??」


 あまりの愛くるしさにウルフの頭をわしゃわしゃと撫でると気持ちよさそうに目を細めている。

 するともう一匹のウルフも私にすり寄ってきて、とても幸せな気持ちになった。



 「リヴィ、そろそろ馬車に乗るぞ。」

 「っ!!はい!!」


 もふもふな毛並みを堪能していると、名前を呼ばれ我に返る。

 クロアが馬車の扉を開けてこちらを見ていたので急いで乗り込む。

 しばらくして馬車が動き始める……小さな窓から外を見ると周りはひたすら雪原が広がっていた。

 同じ景色をずっと見つめているうちに私はいつの間にか眠ってしまった……。




 『それにしてもすごい雪だな。聖都やステラエーンでは比べ物にならないぐらい積もってるじゃん』

 『そうだね。こんなに大雪を見たのは初めて』

 『俺達は雪原での戦闘には慣れていないし、ここで襲われたらたまったもんじゃないな』

 『だな。魔物と遭遇しなければいいが……』


 馬車に揺られ、外の大雪を見ながら話しているといきなり馬車が止まった。

 馬車の運転手が慌てたように私達を呼ぶ。

 

 『恐れてた事になっちまったかー。どうすっかな』

 『熊の魔物か……少し厄介だな』


 外には大きな熊の魔物が2匹立っていた……全長は2メートルはあるだろう。

 大きな図体なので、動きは少し鈍いはず……だが、この積もった雪のせいで私達も足が埋もれ思うように動けない。


 『やっべ、足が動かねぇ!!』

 『リアム!!待ってて、今行くから……っキャ』

 『リヴィ!!大丈夫か!?』


 馴れない雪に足を取られ身動きが出来なくなったリアムを助けようとしたが、私も思うように足が動かなくて雪に倒れ込む。

 そして、リアムに大きな熊が襲い掛かろうと太い腕を振り下ろした。

 だが、熊は腕を上げた状態で動かなくなった……頭の部分には矢が刺さっていてそのまま後ろへドスンっ、と倒れた。


 『ふぅ……、間に合ったかな??』

 『王女様!?どうしてこちらに!?』

 『その話はあとで!!もう一匹も倒しちゃうね』


 大きな白い毛並みのウルフに乗った女性は、もう一匹の熊の背後を取ると弓を構え矢を放つ。

 その矢はまたしても熊の頭に命中させた。


 『大丈夫??怪我してない??』

 『ありがとうございます。お陰で助かりました』


 私の近くに来るとウルフから下りて、倒れ込んだままの私に手を差し出してくれた。

 顔を上げると、そこには雪のような白銀の長い髪に赤い瞳、先ほどまで使っていた弓矢を背負った華奢な女性がいた……。


 

寒くなってきましたね・・・。

もふもふなわんちゃんを撫でたいです。

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