第四十二話 平和への旅立ち
しばらくして聖都にも冬がやって来た。
積もるほどではないが雪が降り、凍えるような寒さになった。
「また雪が降り始めたな……。リヴィ、寒くはないか??」
「なんとか大丈夫。暖かい室内で見る分なら雪が降ってるのも綺麗だなって思うんだけどね」
今日は騎士団でクロアのお手伝いに来ている。
午前中にいつも通り訓練をして、その後は武器の手入れをしたり、他の部隊の人と手合わせをしたり……各々自由行動となった。
私はクロアの書類整理のお手伝いをしていると、窓の外の風景が白くなってきたことに気づく。
すると、部屋のドアがノックされ、1人の兵士が入って来た。
「失礼いたします。リデル陛下がお二人をお呼びです。至急、執務室に来て欲しいとのことです」
「リデルが??わかりました」
敬礼をして兵士が部屋から出ると、私とクロアは目を合わせた。
なるべく急ぎでリデルのいる執務室へ向かった。
「2人ともいきなり呼び出してしまってすまない。つい先ほどフランジェ国王から手紙が届いてね」
「それじゃあ……」
「ああ、以前も言った通り、先にリヴィリカとクロアには文書を持ってフランジェ国王に渡して欲しい。……改めて、よろしく頼むぞ??」
「うん!!まかせて!!」
ついに平和条約を結ぶことが出来るんだ、と思うと少し緊張してきた……。
「出発は2日後となる。それまで準備をしておいてくれ」
「フランジェ国は豪雪地となっておりますのできちんと防寒の備えもお忘れなく」
「わかりました。ちゃんと準備しておきます」
聖都の寒さで十分寒いと感じているのに耐えられるだろうか……。
下がっていいぞ、とリデルに言われて2人で再び騎士団へと歩いていく。
「2日後までにいろいろと準備しないとね。」
「ああ。……以前フランジェ国に行った時もリヴィは厚手のコートにマフラーぐるぐる巻きの恰好でも寒いと言っていたな。だが雪だるまみたいにもこもこしていて可愛かったぞ」
「……雪だるまみたいにはちょっとなりたくないな」
騎士団に戻ってから残った仕事を片付けていると、隊長室にマークスさんや他の隊員が大勢流れ込むように入って来るとあっという間にクロアを囲んだ。
「隊長!!フランジェ国に行っちゃうんですか!?なのにどうして、俺達は連れてってくれないんですか!?」
「俺達は平和の使者としてフランジェ国に行くんだ。部隊を引き連れて行ったら警戒されるだろうが」
「だからって、隊長とリヴィリカ様だけなんて危ないです!!」
「~~!!ああ、もううっとおしい!!出ていけ!!」
隊員達に四方八方から詰め寄られ、耐えられずクロアは大声を出した。
するとみんなしぶしぶ部屋から出て行ったが、マークスさんだけがケラケラ笑っている。
「俺達は純粋にお二人を心配していただけですよ??怒鳴るなんてひどいなぁ」
「まったく……、俺がいない間はマークス、お前があいつらの世話をするんだからな。……頼んだぞ」
「りょーかい。リヴィリカ様もお気をつけて!!お土産楽しみにしてますね」
「はい!!任せてください!!」
そして2人は仕事の引継ぎの話をし始めた。
マークスさん達とも少しの間お別れ……少し寂しいな。
次の日、私とクロアは旅立ちの準備の為に街へと買い出しに出掛けた。
フェアリーエデンにも寄って、明日聖都を旅立つことをノエルちゃんに伝える。
「そんなにすぐに出発しちゃうんですか!?」
「うん。なるべく早く行かないと2週間以内にフランジェ国にたどり着けないから」
「私もそろそろ他の街へ仕入れに行かないとだし……しばらく会えなくなっちゃいますね」
「そうだね。でもお手紙書くよ!!だからノエルちゃんもお手紙送ってね」
「それはもちろんです!!あと、ドレスが完成しましたよ!!」
可愛らしく頬を膨らませるノエルちゃんの頭を撫でながら手紙の話題を振ると少しだけ機嫌がよくなった。
ノエルちゃんからは奥の部屋からドレスの入った綺麗な箱を5個ほど持ってきた。
「ありがとう!!それで結局どこを付け加えたの??」
「ふっふっふ……それは着る当日までのお楽しみです!!絶対にそれまで見ちゃだめですからね!!」
「だめなの??……派手派手にしてないよね??」
「ご安心ください、以前のデザインに少しだけ加えただけなので」
あとでお城の方に取りに来るように言っておきますね、と言いノエルちゃんは上機嫌で笑った。
派手派手のデザインではないと聞いて一安心だ……。
明日の見送りにはお店の準備で来れないと言われたので、ノエルちゃんを思いっきり抱き締めてまた会う約束をした。
「以前、そのドレスを試着したそうだな??メイド達がリヴィのドレス姿を見てとても素晴らしかったと言っていたぞ??」
「そうなの、ヴィオラさんが作ってくれたドレスもノエルちゃんが作ってくれたアクセサリーもとっても素敵でね、私が私じゃないみたいになってすごかったんだから」
「俺も見たかった。パーティーに興味はないがリヴィのドレス姿は楽しみだな」
そう言って私だけに見せる優しい表情で優しく笑いかけながらクロアは私の頭を撫でる。
クロアは私の手を繋ぎ、ゆっくりとした速さで家路へとついた。
そして翌日、私はリデルから平和条約の文書を受け取り、フランジェ国へ向かうため雪が舞い散る聖都をあとにしてクロアと共にステラエーンへと出発した。
日常編を書きすぎた・・・けど私は満足です。




