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星屑の聖女  作者: 夜桜 メル
第一章
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第四話 記憶を取り戻すために



 険悪なままクロアと別れてしまったが、パーティーは無事終えることが出来た。

 自分の部屋に戻り、大きな鏡のあるドレッサーに腰かけて頭のヴェールもアクセサリーも取らずにさっきクロアに言われたことを考えていた。



 どうしてあそこまで他の3人を探すことを反対したんだろう……あんまり仲が良くなかったのかな?

 それとも他になにかあったのかな……。

 どんなに考えてもみんなの事なにも覚えてないから答えなんて出てこなかった。



 「ううん、しっかりしなきゃ。大切なのはこれからどうするか。」

 鏡に映る自分に言い聞かせるように言って頬を軽くパシパシと叩く。




 それからはまず基本的な知識を学んでいった。

 世界地図を見て地理を覚えていったり、今の世界の状態……魔物の出現も少なく比較的平和のようだ。

 でも、人の犯罪などは前より少し増えてきているらしい。

 

 そして私が今いるこの王国は、15代目の国王であるリデルが納める聖都ガルンハルト。

 とても大きな聖都で城下町には他の国から貿易も盛んで賑わっている。

 

 何度か城下町にも行ってみたのだが広すぎてまだ半分も行っていないところがあるぐらいだ。

 その度にリデルが一緒に案内をしてくれるのだが(国王なのに普通に城の外に出ていいの……?)その時にリデルは沢山の国民に声をかけられていた。

 それを見るとリデルはとても国民に慕われているらしい。それがちょっと嬉しくなった。





 私が目覚めてから1か月が経とうとしている。

 とりあえず基本的な知識は取り戻したはず……あとは私の記憶だ。

 リデルに私が旅した場所を行ってみたいと相談したのだがなかなか首を縦に振ってくれなかった。



 「記憶を取り戻したいリヴィリカの気持ちはわかるが……いくら魔物が少なくなったといっても他にも危険な事があるかもしれないからな。」

 「私は回復と補助魔法しか使えないし……今から剣の特訓でもしようかな」

 「それはやめとけ。昔に剣の稽古を始めて数分で怪我してクロアに怒られてたぞ。」



 午後になるとリデルの息抜きに付き合う。

 紅茶を飲みながらチェスをしたり、他愛もない話をするこの時間が私は結構お気に入りだ。

 するとノックが聞こえ返事をするとメイドのソラが部屋に入室してきた。


 「失礼いたします。リヴィリカ様にお手紙でございます。」

 「手紙??私に??」


 少し複雑な顔をしているソラから手紙を受け取る。

 封筒の表には私の名前、そして裏を見るとそこにはクロアの名前が書かれていた。


 「クロアからだ……」

 「あいつから??なんて書いてあるんだ?」


 前回気まずい別れ方をしてしまったのでクロアの事は気になっていたがあの日以降なにも連絡も取っていなかった。

 恐る恐る、封筒を開けて三つ折りになっている便箋を開く。


 「”この前は記憶がないお前に混乱させるようなことを言ってしまい悪かった。

 改めてリヴィとゆっくり話がしたい、5日後隣国の警備が終わって聖都に帰るからその時に話せないだろうか??詳しくは部下を通してまた連絡する。”……だって」

 「あー。そろそろ警備隊が交代する時期だからな。しばらくクロアは聖都の警備担当になるんだ。」

 「そうなんだ……もし、この前みたいに気まずい関係のままだったらどうしよう。」

 「まぁ、前回のはリヴィリカに会えて嬉しすぎて暴走しただけだろう。大丈夫さ、多分。それに……」

 「それに??」

 「記憶を失ってもお前はお前だ。だから普通に接してやってくれ。」


 リデルは片手で頬杖をつきながらにっこり笑った。

 ぶっちゃけ私の中でクロアはまだ怖い人物だ。

 でも、私を撫でてくれたあの時の目はとても優しかったからちゃんと話せばいい人……のはず。


 「もしかしたら今のリヴィリカよりもリヴィリカの事を知ってるのはクロアかもしれないぞ??」

 「どうして??」

 「だって幼少期からリヴィリカとクロアは一緒に過ごしていたし。同じ孤児院で育ったと聞いているぞ。」



 私は昔の戦争で孤児となり教会の孤児院で育てられた、というのは教えてもらっていたがクロアも一緒の孤児院だったことは初耳だ。

 確かに私の事を私より知っているのは今の所クロアしかいないかもしれない。


 「だったらちゃんと会わないとね。もっとクロアとはお話ししたい。」

 「だな。クロアと会う時は俺も同席しよう。」

 「いや、また前回みたいにケンカになりそうだからリデルは来ちゃだめだよ。」


 そういうと少し不満げな表情をしたが、前回と同じようなことになれば話なんて落ち着いてできないし……。

 



 ”隣国での警備お疲れ様です。前回はちゃんとお話できなくて私ももう一度会いたいと思っていたところです。

 クロアに会えるのを楽しみにしてます。”


 「こんなもんかな?」

 手紙をもらったその日の夜、クロアに返事の手紙を書いた。

 まずはちゃんと自分の事を知らなきゃ……それからクロアの事も。

 そしてあっという間にクロアが帰還する日がやってきた。



今日はお休みだったので続けて更新しました。

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