第三十四話 騎士団の業務
「リヴィ……おはよう、朝だ。そろそろ起きろ」
「ううっ……おはよう」
優しく頭を撫でるような感覚がして、クロアの声で起きる。
なかなか起きない私を見たクロアは、部屋の窓を全開に開ける……すると眩しい朝日と、ひんやりとした風が入ってきて私はやっと起き上がった。
「リヴィ、今日は一緒に騎士団に行って訓練をしてから街の巡回だ。朝食はもう用意してあるから早く食べてくれ」
「はい……がんばります……」
クロアに今日の予定を言われて、寝ぼけながら返事をする……そっか今日は騎士団に看護係としてお手伝いに行く日だ。
手を引かれて1階の洗面所に連れていかれ、顔を洗ってからリビングのテーブルの席に座る。
その頃にはようやく眠気は覚めて、おいしそうな朝ごはんが目の前にあった。
お祈りをしてから、温かい紅茶を一口飲む。
「騎士団って基本的になにをしてるの??」
「大体は戦闘の訓練だな。あとは武器の手入れや備品の確認……それ以外は街の巡回を手分けしてやる。」
「おお……騎士っぽい」
「騎士だからな」
そんなやり取りをしながら食事を終えて、身支度をする。
いつも髪の毛はクロアに梳かしてもらっている……自分でやるとなぜかボサボサになるのはどうしてだろう??
編み込んでハーフアップにした髪は黒いリボンで結ばれている。
「今日も完璧だね。いつもありがとう。」
「どういたしまして。食器を片してくる。その間に着替えをしておいて出掛ける準備をしておいてくれ」
「うん、わかった」
クロアが部屋から出ていくのを確認して、クローゼットから服を選ぶ。
……一応、仕事だしちゃんとした服の方がいいかな??
といっても、遠征で着た黒いワンピースとヴェールしかないから一択だけど。
身支度を終えて再び1階に下りると、すでに準備が出来ているクロアが玄関に立っていた。
「ごめん、お待たせ」
「いや……リヴィ後ろを向け。リボンが曲がっている。」
クロアに言われて後ろを向くと、腰辺りに巻かれているリボンを結び直してくれた。
完成の合図に背中を軽く叩かれた……先ほどよりも程よい力加減で結ばれていていつも通り、しっくりくる。
「よし、行くぞ」
「はーい」
私達は家を出て城にある騎士団へと向かう。
騎士団は城の入り口に近いところにあって、大きなレンガの建物が目印だ。
入り口には鎧を着た2人の騎士が門番をしていた。
こちらに気づくと、ギョッとした顔になって慌てて姿勢を正した。
「お、おはようございます!!」
「ああ、お勤めご苦労」
「おはようございます」
クロアは門番を労い、通り過ぎる。
私は、朝早いのに大変だ。と思い、2人に軽く会釈をしながら通り過ぎていく。
その後も騎士団を歩いていると、周りにいた騎士達に凝視された。
騎士団の建物は円形になっていて、中央には中庭がありそこで剣の稽古をしたりすることもあるらしい。
ひたすらか緩いカーブの廊下を進んでいき、一番奥が第一部隊の部屋のようだ。
「着いたぞ。ここが第一部隊の部屋だ」
「わぁ……結構広いね」
扉を開けると大きな広間のような空間があり、すでに来ていた騎士達が談笑している様子があった。
ドアも沢山あったので、奥には何個も部屋があるらしい。
「おお~。昨日隊長が言ってたことは本当だったんですね!!ようこそ、リヴィリカ様!!」
「マークスさん!!おはようございます。これからお世話になります」
クリーム色のくせ毛にグリーンの瞳をしたマークスさんは人懐っこい笑顔で私を歓迎してくれた。
ちょっと前まで一緒に遠征に行っていたので沢山の見知った顔が沢山いる。
数日前に会ったのに何故か少し懐かしく感じてしまった。
「では、朝のミーティングをするぞ。この後は模擬戦をして、午後は城下の見回りだ。武器の手入れなども時間が空いてるときに済ませるように。夜勤当番の者は第三部隊と連携して行う事。以上だ。」
「「「はい!!」」
するとみんな、部屋の外に出ていく。
どうやら模擬戦を中庭でやるようだ……クロアに案内され中庭に出ると、第一部隊がほとんどいるのにそれでも広いと感じる大きな中庭があった。
「結構広いんだね。まだ、人が増えても余裕ありそう」
「ああ、ここは戦闘訓練用に作られているから派手に剣を振ってもいいように通常より広めに造られているんだ」
「そうそう。魔法もぶっ放すやつがいますからね~。あんまり近いと流れ弾がくるんですよ」
……結構危ない事をマークスさんはサラっと言っていて背筋か凍りそうになる。でもそれが訓練になるのかな??
するとマークスさんがある提案をしてきた。
「リヴィリカ様もいるし、折角なんで前衛と後衛での模擬戦にしませんか??」
「前衛と後衛の……ですか??」
「ええ、前衛と後衛の2人ペアを作って、それで2対2で戦うんです。支援魔法ありの戦闘を練習してみたいんですよね~」
「ほお……面白いな。マークス、お前をズタズタにしてやればいいんだな??」
「ズタズタって物騒だよ、クロア」
マークスさんの提案に悪い顔で賛成するクロア。
するとマークスさんは1人の看護係の女性を呼んだ。
「改めてよろしくお願いします、リヴィリカ様。私のような一介の聖職者が貴女様にお近づきになれるなんて光栄ですわ。」
「そんな……私にそこまで畏まる必要ないですよ。またよろしくお願いしますね、ヘーゼルさん。」
アーモンド色の髪にブラウン色の瞳をした、修道女のヘーゼルさん。
スリットの入った修道着がとっても似合う女性で、同性の私でも見惚れてしまう美人さんだ。
「よし!!じゃあ始めましょうか。」
「ペアはどう決めるんだ??俺とリヴィのペアか??」
「やだな、隊長。そんな無敵ペアじゃあすぐ勝負がついちゃうますよ」
「じゃあ……」
「ええ、クロア隊長とヘーゼル、俺とリヴィリカ様のペアで戦いましょう」
こうして、模擬戦だがクロアと敵同士で戦うことになってしまった……。
次回戦闘シーンになります。




