表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星屑の聖女  作者: 夜桜 メル
第二章
32/95

第三十話 消えた一冊の本



 聖都へ帰還して翌日。

 すぐにでも教皇様の家を調べようとしたが、クロアに「旅の疲れもあるだろうし少し休め」と言われ今日だけは1人でお留守番だ。

 クロアは遠征の報告書の作成があるって言って朝から騎士団の業務に行ってしまった。


 「別にそこまで疲れてないし……、出掛けてもすぐ戻れば大丈夫かな??」


 私はラン様に頂いた、聖魔法の本を読みながら窓の外を見る。

 ぽかぽか陽気のいい天気でお出掛け日和だ……よし、ちょっとだけ近くを散歩しに行こう。

 ふんわりとした黒いワンピースの上に、袖に黒いリボンが編み込まれたボルドー色のカーディガンを羽織り、そっと玄関のドアを少しだけ開ける……よし、誰もいない。

 素早くドアを開けて鍵を閉めると、ドアに写っていた私の影が誰かの大きな影と重なった。


 「リヴィリカ、何こそこそしてるんだい??」

 「わっ!!……なんだリデルか、びっくりさせないでよ!!」

 「ごめんごめん。まるで脱獄犯みたいな動きだったぞ??」


 いきなり声をかけられて、一瞬クロアかと思ったらそこにはリデルが立っていた。

 私はホッとして彼を見るといつもの国王としての服装ではなくラフな格好で……まさか。


 「ま、またお城から抜け出してきたの!?」

 「安心しろ。ちゃんと仕事はこなしてきた。……午前中の分は」

 

 なんか、最後らへんが小声だったんだけど……午後の分はまだ仕事があるのね。

 私がそれを聞いてリデルにお城に戻るように言おうとすると、目の前にリデルが何か出してきた。


 「それは??」

 「鍵だ。リヴィリカが調べたいって言ってた教皇の家の」

 「ということはリデルが一緒に来てくれるの??」

 「ああ。1人で行かない様にって言ったのは俺だし。これから行ってみないかい??」

 「うん!!行ってみたい!!」



 今頃カミールさんがリデルを血眼で探しているはずだ……だが、教皇様の家の鍵を見た瞬間カミールさんへの申し訳なさはきれいさっぱり消え去った。

 リデルに案内してもらい、城内の端っこにある教会の近くの教皇様の家へと向かう。

 しばらく人が通ることがなかったからか、道らしきものは草が生い茂っていて、木々の葉っぱが太陽の光を遮断してまだ日中なのに気味が悪いほどの薄暗さだった。

 

 


 「こんなところに教会なんてあったんだ」

 「教皇が生きていたころは信者がよく祈りに来てたんだが、今では誰も管理してないし寂れてしまって来ないって感じだな」

 

 城の端っこにある教会はこじんまりとしていた。

 草など荒れ放題だったが、建物自体は綺麗なままの状態だった。

 そしてその隣には小さな家があった……あそこが教皇様が住んでいた家らしい。



 「それじゃあ、入ってみようか」

 「うん……こんなに明るいうちからお化けは出ないよね??」

 「それはどうだろうね??」


 昨日リデルが言ってたことを思い出して少し不安になる。

 リデルは鍵を開けて、ゆっくりと玄関のドアをを開けた。


 家の中はとてもシンプルだった。

 1人用のテーブルとイス、小さなキッチンとお皿数枚とコップ2個ぐらいしか置けなさそうな食器棚がある。


 「たしか奥に書斎があったはずだ。そこになにかあるかもしれない」

 「うん。……てっきり教皇様っていうぐらいだからもっとすごいお家に住んでるのかと思った」

 「あの人は欲がなさすぎるんだよ。自分より困った人を優先に助けようとしていたからね」


 リデルの後に続いて奥の書斎へ向かう。

 ドアを開けるとそこには……荒らされた書斎があった。

 するとリデルはびっくりして部屋を見渡した。


 「なんだこれは……!?以前来た時は荒らされていなかったぞ!!」

 「え!?そうなの??」


 本棚からは本が全て床に落ちていて、書斎机も引き出しが開けられていて誰かが何かを探していたようだ。

 しゃがみ込んで床に落ちている本を何気なく取って見たがただの歴史書のようだ。



 「リヴィリカ、俺の後ろに。魔法で時を戻してみよう」

 「そんな事が出来るの??」

 「ああ、なにか手がかりがあればいいが……」



 リデルが手を伸ばして深呼吸する音が聞こえると、床に落ちた本、書斎机に入っていたはずの書類も元の場所へと戻っていく。

 そしてあっという間に荒らされた部屋は整理整頓された部屋になった。


 「見て、ここだけ不自然に隙間があるよ」

 「本当だな。だとすると盗まれたのはここにあった本ってことか」



 本棚にはびっしりと本が置いてある……だが、不自然に一冊だけ抜き取られたような隙間があった。

 その空間の両隣の本のタイトルは……。


 「”太古の時代の聖魔法”、”女神の子孫ディアグリア家”??」

 「ああ、それなら知ってる。数十年前に大昔の遺跡が発見されたんだ。そこにはかつての王族の遺体や遺品が掘り起こされて結構話題になったんだよ。……女神の子孫と言われていて当時は絶大な権力をもっていたらしい」

 「女神様の子孫……一体ここにあった本はなんだったんだろう??」


 無くなった一冊の本、ここに予言書があったのだろうか。

 いったい誰が何の為に……今の私達ではそれを解明することができなかった。

 


遺跡が発見された・・・は番外編前半でラン様が言ってた大昔の貴族のなんちゃらと一緒のものです。

リヴィリカもこっそり散歩に行こうとしてるってリデルとやってること一緒じゃ・・・ごほん。

手掛かりが見つかりそうで見つからなかった、そう簡単には教えてくれないみたいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ