第二十八話 果たされた約束
これにて第一章は完結です。
俯いたノエルちゃんに私はある提案をした。
『ねぇ、ノエルちゃん。私達は魔王を倒すために旅をしているの。魔王を倒せば瘴気は無くなって、魔物も少なくなる。そうすればノエルちゃんはなにかを傷つける錬金術じゃなくて、誰かを喜ばせる錬金術を使えるでしょ??……だから約束する。私達が魔王を倒して世界を平和にしてみせるから、ノエルちゃんは私達を信じてノエルちゃんが目指す錬金術師になるといいよ!!』
『おねえさん、魔王倒せるの??倒せなかったら??』
『大丈夫!!絶対倒して見せるから!!』
『……私よりおねえさんなのに迷子になってる人の事信じていいのかな』
『だ、大丈夫だよ??迷子以外はちゃんとしてるから……たぶん』
『はは……変なの。じゃあ指切りしてくれる??』
『もちろん!!ゆーびきーりげんまん』
『……嘘ついたら、激マズノエルスペシャルのーます。指切った』
『指切った!!……激マズノエルスペシャルってなに??』
『この前それを間違えて飲んだお父さんが10分ぐらい痙攣して意識なくしちゃった栄養ドリンク』
『人を喜ばせる錬金術師になりたいんだよね??それ殺人兵器じゃない??』
なんだかすごい指切りをしてしまったが、ノエルちゃんは先ほどの暗い顔ではなく笑顔になった。
頑張らなきゃ、この子や世界中の誰かの為にも平和な世界を作り出さなければ。
すると、クロアとリアムの声が聞こえて私達は無事合流することが出来て、ノエルちゃんをお家へ返すことが出来た。
「そっか、約束。私、ノエルちゃんと約束したんだった」
「ええ……私も最初は娘の望む将来に反対していました。ですがそれでも自分の信念を貫き、立派な”人を喜ばせる錬金術師”に成ることができました。ノエルは私たち夫婦の誇りです」
「よかった。約束守れて……激マズノエルスペシャル飲まずに済んだよ……」
「激マズ……??リヴィ、なんだそれは」
「ううん、何でもないの」
その後も村長さんの話を聞きたかったが、そろそろ出発の時間のようだ。
アトリエの店員さんから、綺麗に包まれた品物を受け取り、私達は村長さんの家をあとにすることにした。
「リヴィリカ様、本日は本当にこの村へ来ていただきありがとうございました」
「こちらこそ。とても素敵な時間を過ごさせていただきました」
「次回の仕入れ先は聖都でしたので、その時ノエルに会ったらどうか話を聞いてやってください」
「もちろんです!!ノエルちゃんに会えるのを楽しみにしてます!!」
村長さんはずっと私達を見送ってくれた。
私はなんだかふわふわした気持ちになって、嬉しくてたまらなかった。
「よし、出発だ!!魔物もいるはずだ、油断はしない様に」
「……たぶん大丈夫だと思うよ。”道にお花が沢山咲いてるから”」
「そうなのか??」
村の出口から聖都へと続く道の端には、ノエルちゃんと約束をしたときの花畑の花々がどこまでも続いていたから、きっとこの道は安全だ。
「聖都が見えてきたね。……こう見ると本当に大きな都市だよね」
「そうだな。一応、世界で一番大きな都市とされているからな」
クロアと話しながら歩いていたらあっという間に聖都の入り口の門の前までたどり着いた。
すると門番と話をしている、見慣れた姿があった……赤茶色の髪の毛をリボンで緩く結んで、いつもの城内の服装ではなく、城下をお忍びで出かけた時に着ている軽装姿の人物がいた。
「ねぇ、クロア。なんだかリデルっぽいのが見えるんだけど」
「ああ、俺にも見えるぞ。サボり王の姿がな」
そう言っていると、門番に話しかけていたリデルはこちらに気づいて手を振ってくれた。
……やっぱりリデルだった。
「やぁ、リヴィリカ。クロアに第一部隊のみんなもお帰り。いろいろと大変だったみたいだね」
「ただいま、リデル。どうしてこんなところにいるの??……まさか、城を抜け出してきたんじゃないよね??」
「いや、こいつのことだ。どうせ誰にも告げず城を抜け出してきたんだろう」
ニコニコしているリデル、ああ、これは宰相さんすごい怒ってるだろうな……。
私達の冷ややかな目をものともせず、リデルは私とクロアの背中を優しく押して門の前へと移動させる。
「さぁ、みんなお待ちかねだぞ。すまない、門を開いてくれ」
「はっ!!かしこまりました」
リデルが門番さんに言うと門が開かれる。
門の向こうには沢山の人々と、綺麗な花吹雪が待っていた。
いろんな人達から声を掛けてもらい、私達は賑やかな街中を歩いていく。
「あ、あの!!リヴィリカさま!!」
「どうしたの??」
小さな女の子が隣にいる母親のスカートを握りしめながら私に声を掛けてきた。
その子の前でしゃがみ込んで首をかしげると、女の子はもじもじしながら俯いている。
「ほら、渡したいものがあるんでしょ??」
「うん……これ、リヴィリカさまに差し上げます。がんばって作ったの」
「わぁ、花冠??とっても上手だね。貰っていいの??」
母親に言われ、その子は後ろに隠していた小さな花が沢山編み込まれた花冠を差し出してくれた。
私はヴェールを取って、女の子に花冠を頭に乗せてもらう……お花のいい香りがする。
「素敵な花冠をありがとう。嬉しいよ。」
「どういたしまして!!おかえりなさい、リヴィリカさま!!」
女の子とその母親にもう一度お礼を言って、リデルとクロアの隣にもどる。
とても嬉しかった……この花冠も枯れる前に押し花にしよう。
きっと押し花にすればこれを見るたびに思い出すだろう……暖かな人々の笑顔やさっきの女の子の事も。
大切な思い出をもう二度と忘れない為に……。
無事帰ってこれましたのでステラエーン編完結となります。
出来たら、ラン様の過去のお話を書いてから2章へ入りたいと思っています。
第一章を最後まで呼んでくれたみなさまありがとうございました。




