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星屑の聖女  作者: 夜桜 メル
第一章
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第二十七話 少女の夢



 「リヴィリカ様!!お久しぶりでございます!!」

 「えっと、貴方は……??」


 沢山の花が入った籠を落とし、目線は私を見たまま固まっている男性は青い髪に薄い青色の瞳をした園芸用の道具がポケットから覗いているエプロンを付けていた。

 でも以前会ったことがある……気がする。



 「あの時は娘がお世話になりました!!それに魔王を倒し無事に生きて帰ってきたと聞いて安心しました」

 「えっと……」



 『娘が……、娘がいなくなってしまったのです!!この辺りは村の外にウルフの群れもいますし、もし、娘が襲われるなんてことがあったら……!!』

 『では、私達も一緒に探します!!リアム、クロアもいいよね??』

 『ああ、早く見つけてあげようぜ!!』



 「……娘さんがいなくなってしまってそれを私達が探しに行った??」

 「そうです!!思い出して頂けましたか!!そちらのクロア様にも大変お世話になりました」

 「そういえばそんな事もあったな」


 ステラエーンで戻った記憶を思い出してみると、まだぼんやりとだがこの村長さんの娘さんがいなくなってしまいみんなで探したことがあるのを思い出した。

 改めてお礼をしたいと村長さんに大きなレンガのお家のリビングへ通してもらった。



 「……そうでしたか。リヴィリカ様は記憶喪失になっていたのですね。」

 「はい。でも少しだけ思い出せたんです。だからこの村での出来事もまだぼんやりとですが思い出せました。あの娘さん……ノエルちゃんは元気ですか??」

 「ええ、元気ですよ。1年前には立派な錬金術師になりまして、今では錬金術を使いこなしお店を出せるほどに。つい先日に他の国へ仕入れに行っていて不在なのですが……」

 「そうだったんですね。会いたかったな」

 「ノエルもリヴィリカ様に会いたいと言っていました。”リヴィリカ様が約束を守ってくれたから、私も約束を果たせた”って……とても嬉しそうに言っていました」


 


 約束……そういえば私はノエルちゃんと約束したんだ。


 クロアとリアムと村の周辺を捜索している時、私が足を踏み外して崖から落ちちゃって……2人ともはぐれて私までもが迷子になった。

 とにかくノエルちゃんを見つけるために歩いていると、大きく開けた場所に沢山の花々が生えている花畑を見つけて……その中央に村長さんから聞いた特徴と全く同じ女の子がいた。



 『ノエルちゃん??やっと見つけた!!』

 『あなたは??』

 『ノエルちゃんのお父さんに言われてあなたを探しに来たの!!』

 『ふーん……それでどこを通って行けば村に帰れる??』

 『……えっと、実はね。』

 『もしかして、お姉さんも迷子なの??』

 『うぐっ!!ごめんね……私も迷子なの……。』

 『やっぱり……げんきだして。』


 ノエルちゃんを見つける事が出来て安心したけれど、どっちの方向に行けば村にたどり着くのか全く分からなくなっていた。

 私よりも年下の子に慰められた……情けない。


 『ノエルちゃん、怪我はしてない??途中で魔物に襲われなかった??』

 『大丈夫。それに魔物はここにはこれないよ。』

 『どうして??』

 『ここに生えてるお花達の香りが魔物の嗅覚にはすごい強く感じるらしくて近づいてこないの。』

 『私達にはそこまで強い香りじゃないけど、魔物にとっては近づけないほどなの??』

 『うん、だから下手に動かず安全なここでだれか来るのを待ってたの』


 この女の子はとても賢い子だ。……それにくらべて私は。

 すると、ノエルちゃんからくぅ、というお腹の音が聞こえた。


 『お腹空いてる??ならいいものがあるよ。ジャーン!!これはなんでしょう??』

 『小さなバッグでしょ??』

 『ふっふっふ。これはね魔法のバッグなの。』

 『水筒??それから……クッキー??』

 『そう!!非常食のクッキーと暖かい紅茶!!私の幼馴染が心配性でね、いつもお茶とお菓子を持たせてくれるの!!』

 『それってつまり、お姉さんは迷子の常習犯なんだね。』

 『……うん、そういうこと。』


 いつもクロアがバッグに勝手に入れてくれる紅茶とお菓子が役に立った……。

 小さなコップも持っているので2つ取り出し、そこに紅茶を注いで清潔なハンカチの上に缶からクッキーを取り出して乗せる。……ちょっとしたお茶会の始まりだ。


 『どう??おいしい??』

 『うん、ありがとう。』

 『ねぇ、どうしてノエルちゃんは村から出たの??村の外は魔物がいて危ないよって大人の人が言ってたでしょ??』

 『喧嘩したの、お父さんと。これから錬金術を覚えるなら魔物を倒す薬品を作ったほうがいいって言われて……でも私、そんな物作りたくないの。私が成りたいのは人を喜ばせることのできる錬金術師なの。』

 『人を喜ばせる??』

 『うん、このお花達を使って香水を作って魔物を寄せ付けない物を作ったり……、このお花達はいろんな可能性があるの。それをうまく使えばきっと誰かを守れる物が作れる……はず。』

 『そっか。とっても素敵だね。』

 『笑わないの??大人たちはみんな笑って私の話なんて聞いてくれなかった。』

 『でも、このお花達のお陰で私達は魔物に襲われてないでしょ??だから信じるよ』

 『ありがとう……でも、この花畑も少しずつ小さくなってきてるみたい。瘴気のせいで。』

 


 確かに花畑の外側を見ると、瘴気に充てられたのかカラカラに枯れてしまっている花達がいた。

 瘴気は少しずつこの花畑を枯らしていき、このままでは花達は全て枯れてしまうだろう……。




錬金術師に成りたい迷子のノエルを発見しました。

毎日、水筒のお茶を入れなおし、ちょっとした保存食を忍ばせてくれるお母さんクロアです。

いつもありがとう。

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