第二十四話 謎多き教皇
今日はいつもより早く目が覚めてしまった。
ベッドからゆっくりと降りて出窓に座り、カーテンを開ける。
すると丁度日の出の時間だった。
ステラエーンの日の出はとても美しい……藍色の夜空と星達、青白い空のグラデーションが神秘的でつい見惚れてしまう。
徐々に太陽が昇ってきて、うっすらと雪が積もるステラエーンの街を照らしていく。
私はこの景色を忘れない様にしっかりと目に焼き付けていると、扉をノックする音がした。
「失礼します。……あら、お早いお目覚めですね。おはようございます、リヴィリカ様。」
「おはようございます、リーシェさん」
「今日でステラエーンを去ってしまうのですね……少し寂しくなります」
「私もです。今までお世話になりました」
「ふふふ、こちらこそ。聖女リヴィリカ様のお世話が出来て私も光栄でした」
リーシェさんは少しラン様に似た穏やかさがあって親しみやすかった。
いつも通りの服に着替えてヴェールを被る。
「リヴィリカ様、どうかお元気で。またお会いできるのを楽しみにしております」
「はい!!リーシェさんもお元気で!!」
リーシェさんとお別れの挨拶をして、ラン様のい書斎へと向かう。
書斎のドアにノックすると、すぐに「どうぞ」、とラン様の声が聞こえたのでドアノブを捻る。
そこにはラン様とクロアがいた。
「お二人ともおはようございます」
「おはよう」
「おはようございます、リヴィ。よく寝れましたか??」
「はい、とても」
ソファに座っていたクロアが無言で隣の空いている所を指差すので、クロアの隣に腰かける。
私が来る前になにか話していたのだろうか??
「リヴィ、私も魔王討伐の勇者達について調べてみたのですが、それと同時に不自然な死をした教皇の事について調べてみたのです。」
「教皇様の……??何かわかりましたか??」
「いいえ……ですが思い出したんです。教皇が無数の切り傷だらけの無残な姿で見つかり、その後の彼の葬儀に参列した時に亡くなった教皇の聞こえたんですよ。”女神様からの予言を蔑ろにした罰なのか”、”成功したのになぜ私は殺されたんだ”と彼の声が。」
「……??どういう意味なのでしょうか??」
それ以来、ラン様は教皇様の声が聞こえることは無くなったらしい。
クロアはそれを聞いて口を開いた。
「”女神様の予言”……その予言でリヴィは聖女に選ばれたのか??以前のリヴィは何か知っていたようだが」
「そういえば、ラン様はどうして魔王を倒す勇者として選ばれたんですか??」
「私の場合は、昔住んでいた村に聖都の使者が来たのです。私は小さい頃から聖魔法が使えたのでその腕を買われて。……女神様の予言で選ばれた、とは言われていませんでしたね」
ラン様は小さな村で育ち、教わらなくても聖魔法を使うことができ魔物を退治することもしていたようだ。
その聖魔法を使える凄腕の少年の噂を聞いた聖都の教皇がラン様を魔王討伐の勇者一行の1人に選んだらしい。
「教皇の件も調べたほうが良さそうですね……教皇は聖都を拠点にしていましたし、何か手がかりがあるといいのですが」
「わかりました。聖都に戻ったら教皇様の事をリデルに聞いてみます」
聖都に戻ってもやることは沢山あるらしい。
とりあえず、ティト大陸に行けるまで出来ることをやろう……。
「……ところで、リヴィ。海賊船で私を庇った時の傷はどうなっていますか??」
「もう完全に治りましたよ!!」
「傷の後は残っていますか??女性の体に傷が残ってしまっては大変ですので」
「確かに少し残っていますが、それほど目立つものじゃないのでラン様がそれほど気にするようなものでは……」
するとラン様はソファから立ち上がり、私の前まで来ると真剣な眼差しで私を見つめ、私の両手をすくい上げるとラン様の両手に包まれる。
私はその真剣な眼差しから目を離せなくなった。
「いいえ、気にします。……だからリヴィがよろしければ私の妻になりませんか??」
「…………はい??」
私はいきなり言われた単語を必死に理解しようと頭の中をフル回転させた。
ツマ??つま……妻!?結婚してあの??妻???
意味を理解して、ラン様を見るが冗談を言っているような雰囲気じゃない。
すると、クロアもようやく状況を把握したのかソファから勢いよく立ち上がり、私とラン様を引き離そうとする……が、そのまえにラン様に抱き締められクロアの妨害を避けるようにくるり、と回ってクロアから距離をとる。
「ランフェル殿……。どういう事だ??」
「私は責任を取ろうとしているのです。……こんなに可愛らしいリヴィが私のせいで傷を残してしまったのですから」
「え、い、いや、責任なんてそんな気にしなくていいんですよラン様!!こんなのかすり傷です!!」
「おや、リヴィは私の事がキライですか??」
「そんな、キライだなんて……」
いまだに抱き締められたまま、ラン様と身長が同じくらいだから綺麗なお顔が近くにあって思わず顔が熱くなるのを感じる。
目が合うとラン様は天使のような可愛らしいお顔で微笑み掛けてくるので、私はなにも考えられなくなった。
「貴女とこれからずっと、このステラエーンで過ごせたらきっと毎日楽しいでしょうね……どうですか、リヴィ??」
「ランフェル殿!!いい加減に……いや、待てよ。これを逆手にとってリヴィを神官長にしてランフェル殿を暗殺してしまえば、リヴィと俺でステラエーンの権力者となり誰にも邪魔されずに暮らせるのでは……??」
「……ラン様。クロアが暗殺計画立て始めそうなのでこれぐらいにしませんか??」
「まったく……では、保留にしておきましょう」
「保留??完全になかった事に、ではなく??」
「ふふふ、そう”保留”です。……私はあきらめませんからね。覚悟しておいてください」
クロアはブツブツと物騒な事を呟いていて、ラン様はとても楽しそうに笑うと私の頬にキスをした。
謎は解明せず、増えるばかり・・・。
そしてラン様に求婚される、やっと恋愛物語っぽくなってきたぞ!!
新章に行く前にサブストーリーを書きたいなと思っております、おそらくたぶん




