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星屑の聖女  作者: 夜桜 メル
第一章
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第二十三話 女神の目的



 いつかクロアが旅の事もみんなのことも教えてくれると思っていたが、まさか話そうとしても話せないなんて……。

 だけど、それならそれでしょうがない。……クロアの首が飛ぶなんて聞いたらもう聞けなかった。



 「魔王を倒し、世界は平和になった。……ですがおかしな点が多いですね」

 「私の記憶が全て戻った時、その謎が解き明かされるということでしょうか……??」

 「そうかもしれませんね。ですが女神様が旅の事も勇者達の事も公にしたくないとは……ここまでくると不自然すぎます」


 

 女神様がここまでする意味がわからない……。

 だけど取り戻さないといけないんだ、私やリアム達の為にも……記憶は私の一部なのだから。

 


 ”私から全て狂ったのだから。ならば私がみんなを導かなければ。”




 「……??あれ、私が狂わせた……??なんでそんなこと思ったんだろう……」

 「リヴィ??」

 「ううん、何でもない。……女神様が何を思って私の記憶を失くしたり、クロアに話せない様にしたのかわからないけど……私はやっぱり思い出したい。それにリアム達を見つける手掛かりにもなるかもしれない」

 「そうか……俺はお前にどこまでも付き合う」

 「ありがとう、クロア」


 それにクロアだけに背負わせたくない。

 私だって世界を救った勇者の1人なのだから。


 「ですが、次の神託の場所は少し厄介な場所にありますね。リデル陛下も簡単には行くことを許可してくれないかもしれません」

 「次の神託の場所ですか??……クロアどこだっけ??」

 「ティト大陸のフランジェ国にある。……つまり敵国だ」

 「敵国……」


 

 魔王がまだ生きていた時は、魔物が多すぎて戦争どころではないとお互い休戦するということにしたようだ。

 だけど魔王消え、魔物もそれほど脅威ではなくなった……いつまた戦争が始まってもおかしくないだろう。



 「リヴィ、焦ってもしかたありませんよ。それに海賊船の件や今回の事で疲れたでしょう??こんな時はゆっくり休む事も大事ですよ」

 「ランフェル殿の言うとおりだ。少し休んでから後の事を考えればいい。巡礼地は逃げないさ」

 「うん。わかった……」

 


 ラン様とクロアに言われ、私は今すぐにでもティト大陸に行きたい気持ちを抑えた。

 するとマーレがいきなり私を持ち上げた。


 「そんな暗い顔するなよ!!もしもティト大陸に行くとわかったら俺に教えろ。また俺の船に乗せてってやるから!!」

 「ちょっとマーレ!!」

 「おい、リヴィを離せ」

 「ふふふ、さて。ではそろそろステラエーンに帰りましょうか」



 ラン様にそう言われてもう一度、女神像とその後ろのステンドグラスを見る。

 リアム、約束守るからね……そう思っていたらマーレが私を持ち上げると腕に座らせるようにして片方の腕で私をしっかり固定すると走り出した。


 「よっしゃ、じゃあ船まで競争な!!飛ばすぜお嬢!!」

 「マーレ!!貴様!!」

 「やれやれ、元気ですねぇ……」


 私を抱きかかえているマーレは全速力で来た道を走っていく。

 その後ろから鬼の形相のクロア、ゆっくりと歩いて後を追うラン様。


 私は少しずつ遠ざかるステンドグラスの光に照らされた女神像をもう一度見る。

 まだ記憶は一部しか戻っていないがリアムを思い出せたことが何よりも嬉しい……早くあと2人の事も思い出したいな……。



 そしてクロアは帰りの船で再び船酔いになり、次の日の朝まで魘されて起きなかった。




 ステラエーンの滞在も残り1日となった。

 最初の巡礼地から戻ってきて、ラン様に聖魔法を教わったり、クロアと一緒に街のお店を見に行ったり、マーレに船の中を案内してもらったり……とても有意義な時間を過ごすことが出来た。


 そして今日もいつものように1日に1回、礼拝堂でお祈りをする。

 豪華な祭壇には鏡に宿った神様、スフカ様が祀られている。

 スフカ様はお祈りをする人々をなんだか楽しそうに見つめていた。


 「スフカ様、なんだか楽しそうですね。」

 「”こんなに人の子を見たのは久々だ。以前の教会はあまり訪れる者がいなかったからな……人間観察が出来てなかなか楽しいぞ”」

 「ふふふ。喜んで頂いてなによりです。」


 スフカ様は相変わらず、私には赤茶色の髪を一つに結んだ青年……リアムの姿をしている。

 礼拝堂の正面にある祭壇の所にスフカ様は腰かけて、こちらを見下ろしていらっしゃるのだが、スフカ様の姿を見られるのは私含めラン様だけで、他の人達には見えないらしい。


 「スフカ様、今までお世話になりました。私、明日ここを立ちますのでお別れの挨拶をしに参りました」

 「”そうか……お主にも世話になった。達者でな。……ところで”」

 「なんでしょうか??」

 「”人は誰しも愛するものは居る。だがお主には愛する者がいなかった。だから一番会いたい人物を我は映し出しているのだが”」

 「そうだったんですね。確かにスフカ様が映している人は私がとても会いたいと思っている人達のうちの1人です。……だからたとえスフカ様が見せる幻影でもとても嬉しいです。」

 「”そうか……その者達に会えるといいな”」

 「はいっ」



 スフカ様にお別れの挨拶をして礼拝堂をラン様と共に出る。

 記憶を失くして、聖都のお城で過ごした時間と同じくらいステラエーンで過ごした。

 ここが第二の故郷、ぐらい思い入れがあるから明日ここを立つのは寂しい。




 そして、聖都へ帰還する朝がやってきた……。




なにがなんでも秘密にしたい女神様。


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