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星屑の聖女  作者: 夜桜 メル
第一章
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第二十一話 大切な約束



 「どう??よくなってきた??」

 「ああ、幾分マシになってきた……すまない」


 クロアが船酔いのダメージから解放されたのは30分ほど経ってからだった。

 とりあえずその場で横になりたいと言ったので、操舵室に一枚布を敷いてもらいそこに横たわってもらった。

 枕になりそうなものがなかったので私の膝で我慢してもらう。


 「だが、もう少し……。頭痛がまだ……」

 「頭痛もするの??」

 

 私がクロアの頭をゆっくりと撫でながら回復魔法を使う。これでよくなるかな??

 すると、それを見ていたラン様がクロアの頭を軽く叩いた。


 「……なにするんです??こちらは病人ですよ。」

 「本当の病人ならともかく仮病をしている人に言われたくありません」

 「チッ。……リヴィのお陰でよくなった。感謝する」

 「うん、どういたしまして……」


 ゆっくりと立ち上がろうとするクロアを支えながら一緒に立つ。

 だよね、私ちゃんと回復魔法使ってたし、もうとっくに回復してるはずだよね。


 「さ、神殿に入りますよ」

 「はい、ラン様。……記憶の手がかりあるといいな」

 


 孤島に下りてすぐ、大きな青い門が存在していた。

 大きさからして大人数名で押しても開くことは不可能だろう。


 「では門を開きますよ。下がっていてくださいね」


 ラン様が門に軽く両手を当てると、門が重たい音をしながら開いていく。

 門の奥の空間が見えると、通路の両端から水が流れ始める。

 両端の水路にはキラキラと光る石が敷き詰められていて道を淡く照らしている。



 「女神様が祀られている礼拝堂はこの奥です。行きましょうか」

 「リヴィ、どうだ??なにか思い出せそうか??」

 「どうだろう……でも何だか懐かしい気持ちがする」

 


 魔物の気配はないようなので、ラン様を先頭に私とクロア、マーレの順で歩いていく。

 この光景を見たことがあるようなないような……不思議な気持ちになりながらクロアに問いかける。


 「ねぇ、クロア。”帰りも行きと同じ海流を渡るんだよね??大丈夫??”」

 「……”ああ、多分な。”」


 ”おい、リヴィ。それ心配しながら追い打ちかけてるぞ……見ろ、クロアの顔色がまた悪くなったぜ。”


 「??」


 今言った言葉も、クロアの言葉も、前にも聞いたことがある気がする。

 それからラン様でもマーレでもない声が聞こえたような……幻聴かな……。


 「さぁ、着きましたよ。ここでリヴィは最初の女神の加護を受けた場所です。」

 「わぁ……綺麗なところですね。」


 大きく開けた場所に出ると、そこには白と青を基調とした円形の部屋があった。

 奥には女神様の像とその周りには小さな泉のようなものから絶えず清らかな水が湧き出ている。

 女神像の両脇には階段が緩いカーブを描き、その階段の先にはステンドガラスの大きな扉があって、その光が女神像を神々しく照らしていた。



 「呼びかけても前回のように女神様は来てくださらないんですよね??」

 「ええ、残念ながら」


 今までは聖女に力を授ける為にいらっしゃったけど、魔王も倒したしもう私達のような聖女はやってこないだろうから……。

 私は女神像の前でちょこんと座り、手を組んで女神像を見上げる。





 すると目の前が真っ暗になり、頭の中で映像が流れ始める。

 私の記憶……なのだろうか??


 『”今回の聖女は素晴らしい魔力をお持ちですね……わたくしの差し上げた力を存分に使い、世界を平和へと導いてください。……この始まりの女神ウォルベルが貴方方の旅立ちを大いに祝福します”』

 『はい。女神ウォルベル様。この力、大切に使わせていただきます。』


 輝く黄金の髪をなびかせ、優しい緑の眼差しの女神様はとても慈愛に満ち溢れていた。

 私を見下ろし、目が合うと優しく微笑みかけ女神様は消えていった。


 ……なんとか最初の神託を頂き、聖なる力を授かることが出来た。

 よかった……と胸を撫で下ろし、跪いた態勢から立ち上がる。

 すると後ろから思いっきり肩を抱かれた。


 

 『ちゃんと聖女として認められたな!!だから言っただろ??お前ならきっと大丈夫だって!!』

 『ありがとう。リアムが勇気付けてくれたお陰だよ。』

 『おう。この調子でどんどん行こうぜ!!』

 『おい、リヴィ大丈夫か??顔色があまり良くない……早く戻って休もう。』

 『……さっきまで船酔いで無様な姿を晒してたやつより顔色良さそうだぜ??』

 『”なんだと!?』


 2人はいつも喧嘩ばっかり……でもなんだかんだで魔物との戦闘では息ぴったりなんだから不思議だ。

 私は少しの疲労感を感じつつ、赤茶色の長い髪を一つに結び赤い瞳をした青年”リアム”とクロアの口喧嘩を少し笑いながら見守った。


 『ん??おいリヴィ見て見ろよ。女神像の上。あのステンドグラス開けられそうじゃないか??ちょっと、開けて外見て見ようぜ!!次の目的地の大陸が見えるかもしれないぞ。』

 『あ、そっか。次の目的地はティオ大陸だよね。……見えるかな??』

 『リヴィ、身体は本当に何ともないか??ほら、掴まれ。』


 3人で階段を上がってステンドグラスの前に行ってみると、扉に取っ手があったのでそれをリアムがゆっくりと開ける。

 外にちょっとしたバルコニーがあるのでそこからティオ大陸のある方向を見た。


 『真っ暗で何も見えないな、』

 『……そうだね。陸地っぽいものも見えないね。』

 『ちょっと期待したんだけどなー!!これもクロアのせいだな!!こいつが船酔いでなかなか動けないせいで夕暮れ前には女神像に着いてるはずがこんな……ざーんねん!!』

 『おい、リアム。しつこいぞ、いい加減に……!!』

 『で、でも!!星が凄い綺麗だよ!!空一面に星が沢山出てる!!』


 2人が私を挟んでまた口喧嘩しそうになったので星が綺麗な事を伝える。

 すると2人とも静かになって一緒に空を見上げた。


 『確かに……寒くて空が澄んでるから聖都では見られない星空だ。』

 『あ、リヴィ!!流れ星だぞ!!』

 『え!!本当だ!!……なんだっけ、流れている間に3回願い事を言うんだっけ??』

 『3回でいいのか。楽勝だろ……きた!!いぶっ……!!』

 『リアム……今の何??』

 『二文字目で噛んだ……。』

 『噛むの早すぎだよ……。ふふっ。』


 そう言って3人でもう一度星空を見上げていた。

 するとリアムがボソッと言った。


 『次来る時はさ、昼間に来ようぜ。そしたら大陸が見えるかもしれねぇし。』

 『その時にはすでにティオ大陸に上陸してるだろ。だったら別に意味ないんじゃないのか??』

 『でも、昼間の海と青空を見たいじゃん!!……だろ??リヴィ。』

 『それは気になるなかも……きっとこの景色と同じくらい綺麗なんだろうね。』

 『じゃあ決まり!!魔王を倒して、今ここにいないこれから仲間になる勇者も連れて来ようぜ!!』

 『またあの海流を通らないといけないのか。……まぁ、付き合ってやる。』

 『素直じゃねぇなクロア!!リヴィ、絶対だぞ??約束だからな!!』

 『うん、わかったよ。またみんなでここに来よう!!約束!!』


 あの流れ星の時、リアムはなんてお願いしようとしたの??

 後で聞いたらはぐらかされて教えてくれなかったけど……。

 その願い事は叶えられた??……でも、3回言えなかったから駄目だった??

 いつか教えてやるって言ったのに結局最後まで教えてくれなかった……。

 

 魔王を倒したらまた5人で来よう、その約束まだ覚えてる??

 私はね、今やっと思い出したよ。

 一足先に2人で来ちゃった……でも次はきっと5人で来れるよね??

 




 「リヴィ??リヴィどうしたんだ……」

 「え……??なんで泣いてるんだろう。」


 クロアが私の肩を軽く揺さぶって、名前を呼び続けていたらしい。

 あの綺麗な星空から、白と青の部屋になって景色が涙で歪んでいた。


 クロアが私の顔を両手で包んで溢れてくる涙を親指で拭ってくれたけど、どんどん涙が溢れて止まらなかった。

 その様子を見て、ラン様も心配した様子で白いハンカチを差し出してくれた。


 「なにか……思い出せましたか??」

 「……はい、ラン様。大切な約束を思い出しました。……リアムとクロアと、他の2人とみんなで……5人でまたここに来ようねって……でも。」

 


 私はクロアに抱き締めてもらいながら、ラン様にハンカチで涙を拭いてもらい、マーレは背中を優しくさすってくれた。

 もう絶対に忘れない。そう思ってクロアの服を力強く握った。

 

 

少し長めになってしまいました。

この時はまだ勇者を集める最中でしたので3人だけです。

ステラエーンで過ごすのもあとわずかとなります。長かった・・・

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