第十八話 代償
海賊船の件が無事解決し、左腕の傷は傷薬を塗って大分よくなった。
そして今日はラン様が確かめたいことがあるらしいので、身支度を終えてから自分の部屋から出る。
するとすぐそばの壁に寄り掛かるクロアがいた。
「おはよう、クロア。迎えに来てくれたの??」
「ああ……俺も一緒に来るようにとランフェル殿に言われたからな。言われなくてもそうするけどな」
「だよね。さぁ、ラン様の所へ行こうか」
「ああ。リヴィ、手を」
海賊船でラン様とずっと手を繋いでいたことを根に持っているのか、クロアはよく私と手を繋ぐようになった。
長身で一歩が大きいクロアだが、私の小さな歩幅に合わせて歩いてくれる。
「左腕もう大丈夫なのか??」
「うん、もう平気。よかった利き腕のほうじゃなくて」
「利き腕を怪我したとしても俺が全て世話してやるから安心しろ」
「……本当によかった、利き腕じゃなくて」
ラン様のいる書斎を訪れノックをすると「どうぞ」と言われドアを開けて中に入る。
室内にはラン様と、車椅子に座る1人の知らない男性がいた。
「ああ、リヴィ来ましたね。紹介します。こちらにいる方はセオさんです。」
「初めましてリヴィリカ様、クロア様。まさか死ぬ前に貴方方にお会いできるなんてとても光栄です。」
「死ぬ前……?」
セオさんはまだ30歳半ばで若い、死ぬ前……と本人は言ったけどどういうことなのだろうか??
「セオさんは不治の病を患っているのです。回復魔法も薬もなにも効果はなく、少しずつ体が石化していき、最終的に体全体が石になって亡くなってしまう病です」
「回復魔法でも治らない病ですか??」
「ええ。そこでリヴィ、彼に貴女の回復魔法を施していただけませんか??」
どうして私の回復魔法なのだろう??だって私よりもラン様のほうがスキルも上なのだから私がやっても意味がないのでは??
でもラン様が真剣な表情でお願いしてきたのでとりあえず回復魔法を施してみることにした。
「”癒しの光よ……”」
私がセオさんに回復魔法を施す。
すると星屑のように小さく輝く光の粒がセオさんの石化している手に染み込むように入っていく。
すると、石化していた手がみるみるうちに石の色から人の健康的な血色のいい色になってそれはセオさんの体全体に行き渡る。
光が収まると、セオさんは恐る恐るずっと動かなかった体の部分を動かす。
「動く……石化が治った……!!」
信じられないとズボンの裾を上げてみるとそこには健康的な普通の人間の足になっていた。
ラン様はセオさんの体の状態を確かめる。
「やはり……セオさんの不治の病は治りました。リヴィ貴女のお陰で」
「あ、ありがとうございます!!リヴィリカ様のお陰で妻や幼い子供を置いて逝かずにすみました……本当にありがとうございます!!」
「どうして治ったの??私はただの回復魔法をしたのに」
ラン様はネイサンさんに「セオさんを一度お医者様に見せてからご自宅に送り届けてください。」と言うと2人は退室していった。
「おい、ランフェル殿どういうことだ。」
「恐らくリヴィは、自分に回復魔法を受け入れない代わりに、どんな怪我や病も治せる上級回復魔法が使えるのではないでしょうか」
「リヴィ、本当なのか??」
「うん……前に軽い怪我をしてしまって自分で治そうと回復魔法を掛けたんだけどまったく治らなかったの」
クロアにも誰にも相談してなかったのですごい驚かせてしまった。
でも自分以外の人は治せるし、特に気にしていなかった。
「こんなこと以前旅をしていた時はなかったぞ。普通に自分の怪我も回復魔法で治してたし。一体いつの間に……」
「……わからない」
私はどうしてこの力を授かったんだろう??
それともラン様と同じように女神様から強制的に頂いた力??
考え込むと、うっすらと頭の中に映像が流れる。
”私の願いを聞いて頂けませんか??……どんな怪我や病を治す回復魔法を習得したいのです”
”……いいでしょう。貴女の為に特別に上級回復魔法を授けます……その代わりに貴女は自分からも他者からも癒しの加護は受けることが出来なくなります。いいですね??”
少し険しいお顔の女神様に頷くと、私は目を開けていられないほどの眩しい光に包まれた。
「リヴィ!!リヴィ大丈夫か??どうしたんだ??」
「すみません、混乱させてしまいましたね。」
気が付くとクロアとラン様が心配そうに私に声を掛けていた。
さっきの映像は私の失っていた過去なのだろうか……。
でも、あの時上級回復魔法を得たのにどうしてクロアは重傷で発見されたんだろう。
辻褄が合わないことがまだまだ沢山あって私の頭の中は混乱していた……。
今日中にもう1話投稿できるかどうか・・・
私も忘れていましたが、もう一つの目的忘れてる・・・巡礼地まだいってないじゃん・・・!!




