第十六話 鏡の欠片の行方
クロアの壊れっぷりを目の当たりにした私達はほんの少し無視して先に進もうと思ったが、踏みとどまってクロアとマークスさんと合流することが出来た。
なんでも徐々に隊員達とはぐれていき、最終的にクロアとマークスさんの2人だけになってしまったようだ。
脱出することも出来ず、唯一の救いはこの船内は時間が止まっていて、空腹などを感じなかったので餓死する心配もなく大人しく救助がくるのを待っていたらしい。
「リヴィ、怪我していないか??そこの白い悪魔になにか吹き込まれたりしたか??」
「悪魔とは私の事を言っているのですか??殴りますよ」
「クロアそんなこと言わないで。私、ラン様にすごい助けられたんだから」
心配そうな顔をしているクロアに笑いかけて落ち着かせる。
すると、クロアの目線は私とラン様が繋いでいる手のところで止まった。
「ランフェル殿、リヴィは俺が面倒を見ます。だからその手を放してください」
「それはなりません。クロアは騎士なのですから前衛で体を張っていただかないと……リヴィの事は後方支援の私に任せなさい」
「そうだよクロア、私と手繋いだら私まで前方にでないとだから余計危ないし私が足手まといになっちゃう」
「はいはい。隊長、わがまま言わないでランフェル様にリヴィリカ様をお願いしましょう」
そう言われて悔しそうなクロアをマークスさんが宥める。
マークスさんは落ち着いて今どういう状況なのかを私達に聞いてきた。
「……つまり、その鏡の神様の欠片を探している最中だったと。それを見つければ俺達は解放されるんですね」
「ええ、その欠片を探して船長室を目指しているところです。2人とも着いてきてください。」
「了解しました」
するとクロアとマークスが廊下に一足先に出ていく。
ドアの近くの壁に背を預け、腕を組んで会話を聞いていたスフカ様は私とラン様を見た。
「……やはり、彼らにはスフカ様のお姿は見えないのですね。」
「”ああ、女神の加護を受けていないあいつらには我は見えないようだな。……さて急ぐぞ”」
私達が廊下を出るとクロアとマークスさんの間をスフカ様が通り過ぎていく。
2人にはその姿は見えていないので私が2人に順路を伝えてた。
すると他の部屋とは違う大きなドアにたどり着いた……ここが船長室のようだ。
「嫌な気配がするな……。なにかいた場合は俺が攻撃に専念する」
「了解。では俺はリヴィリカ様とランフェル様を守るのを優先させます」
「頼むぞ。……ランフェル殿もいざという時はリヴィのことを守ってください」
「ええ、任せてください。リヴィの聖魔法も上達しましたしこのメンバーなら怖いものなしです」
「はい!!特訓の成果を発揮させますね」
作戦会議を終えてみんなで頷いてから、クロアが大きなドアをゆっくりと開けて中を確認する。
ゆっくりと室内に入っていくので私達もそれに続いて入る。
「ねぇ、あれって……」
「ああ、そこにいるのが船長だろうな」
私達が見ている方向には豪華な椅子に座って大きな帽子をかぶりボロボロな服を着ている骸骨がいた。
そのボロボロの服の胸ポケットからはきらりと輝くものが見えた。……あれが探している鏡の欠片のようだ。
「すぐ見つかってよかった!!これで帰れるね」
「……いや、そう簡単にはいかないようです」
私が船長に近づこうと一歩を踏み出すと、ラン様が私の手を引っ張って後ろに庇った。
すると船長さんが動き始めた……死んでるのに!?
クロアとマークスさんも剣を鞘から抜いて構える。
その直後、船長さんは持っていた銃を天井に向かって撃った。
すると周りの壁からにじみ出るように黒い影が出てきて、それは同じように白骨化した船員の服をしたアンデットに私達は囲まれていた。
「おや、私達を歓迎してくれるようですよ」
「はぁ、これは骨が折れそうだ……行くぞ!!」
クロアが真っすぐ船長さんに攻撃をしようとするが船員に邪魔をされてなかなか進めないようだ。
船長さんにたどり着くには船員をどうにかしなければ。
「リヴィ、ランフェル殿!!援護を頼む!!」
「はい!!”力の加護を……”」
「まったく、お年寄りをこき使って……”浄化の光よ……”」
クロアの身体が光ると先ほどとは比べ物にならない一撃で船員をなぎ倒していく。
そんなクロアの勢いを止めようと数十体の船員が襲い掛かるが、その地面からラン様の聖魔法の光が船員達を跡形もなく消滅させた。
祈りに集中して私達は無防備だが、マークスさんが近づいてきた船員をすぐに薙ぎ払ってくれる。
船員は全て片付けることが出来て、残るは船長だけらしい。
クロアが好機と切り込むがダメージは少ししか与えられていないようだ。
するとこちらに向かって銃を連射してきた。
流れ弾がラン様に向って行くのを見て私は思わずラン様を突き飛ばす……そのままラン様も巻き込んで地面に倒れ込んだ。
「ラン様!!お怪我はありませんか!?」
「ええ……リヴィのお陰で助かりました。ありがとうございます」
「よかった。っ!!」
押し倒してしまったラン様の上から急いでどいて怪我がないかを確認すると、どうやらラン様は怪我一つしていないようだ。
安心したのもつかの間、代わりに私の左腕からは赤い血が流れていた。
ちゃんと文章になっているか不安になっている私です。
クロアとずっと一緒にいたマークスさんのストレス値が気になりますが、ようやく解放されたようです・・・。
海賊船編も終盤になります。
ちなみに、リヴィリカは回復魔法系は大得意です。ラン様は回復魔法と攻撃系聖魔法も得意なお方です。




