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星屑の聖女  作者: 夜桜 メル
第一章
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第十四話 暖かな手



 どんなに歩いても暗い船内から出られなくなり、窓を開けようとしたが固く閉ざされていてうんともすんともいわず、傷んで今にも壊れそうな壁をエリオットさんがぶち抜いてもその先の風景は暗い同じような室内が続いていた。

 目印として歩いてきたところに分かりやすく壁に大きな傷をつけたが、その傷がある壁には2度とたどり着くことが出来なかった。


 「参りましたね……さて、どうしたものでしょう」

 「完全に万策つきましたね」


 小さな部屋でもう一度状況を整理する。

 出来ることは全て試したが何も変わらない……ということは確かだ。


 「微かに死者たちの声も聞こえるのですが、余りにも小さな声で聞き取れず……」

 「そっか、ラン様は死者の声が聞ける力を持っていらっしゃるんですよね」

 「ええ、そうですよ。私の天使のような容姿に惚れ込んだ女神様から授かった自慢の力です」

 「ランフェル様ー、自分で天使って言わないでくださーい」


 ラン様はこんな状況でもまだ心に余裕があるようだ……キラキラと輝く笑顔で言うラン様がとても眩しい……。

 でもそんな軽口を聞いたエリオットさんは少しげっそりしている。



 「いっそのこと燃やしちゃいます??」

 「そうですね、エリオット。でも控えめにお願いしますね。」

 


 エリオットさんが服の胸ポケットからライターを取り出し燃えやすそうな、壁に貼られたボロボロの布に近づけると、火は布に燃え移った……がすぐに火は消えて布も燃えた形跡は無くなっていた。

 


 「燃やすのもダメですか……」

 「本当にこれからどうしましょうね……っ!!」



 3人で途方に暮れていえると、船が大きく揺れ始める。

 バランスを崩して倒れそうになると、隣にいたラン様が私の腰に腕を回し支えてくれた。



 「一体何が起こって、うわっ!!」

 「エリオットさん!!」



 エリオットさんが近くの壁に手を着こうとした時、そこはドアだったため手を着いた拍子にドアが開きその勢いで隣の部屋へと倒れ込んでいってしまった。

 しばらくして揺れは収まり、先ほどとは打って変わって周りはまた静寂に包まれる。


 「怪我はしていませんか??」

 「ありがとうございます、ラン様。それよりエリオットさんが……」



 私と同じような体格のラン様だが私を支える腕はとても力強かった。

 お礼を言ってラン様から離れると、エリオットさんが倒れ込んだ部屋のドアを開いてみる。



 「あれ??ラン様、エリオットさんがいません!!」

 「おやおや、仕方ない子ですねエリオットは。」



 ドアの向こうにはエリオットさんの姿は無く暗闇だけが広がっている。

 こうして3人から2人に減ってしまった。



 「まさか、ここまで面倒事だったとは。貴女はステラエーンでお留守番してもらえばよかったですね……巻き込んでしまい申し訳ありません」

 「そんな……謝らないでください。それに私ちょっと海賊船がどんなものか見たかったんです」

 「そう言ってもらえるとありがたいです。……ねぇ、リヴィお願いがあります」

 「なんでしょうか……?」



 不安と恐怖で震えている両手を固く握りしめているとラン様が私の顔を覗き込んで言った。

 何だろう……?と思っていると白くて綺麗な手を差し出してくる。


 「さすがの私も少し恐ろしくなってきました……よろしければ手を繋いでくれませんか??」

 「……はい。よろこんで」


 きっとラン様は恐怖心なんてないだろう。

 私はひたすら恐怖心を押し殺していたが、エリオットさんもいなくなり恐怖心はより私の心を蝕んだ。

 私はラン様の手に手を重ねると、包み込むように握ってくれた。

 

 「リヴィの手はとても暖かいですね。最近は私も冷え性が悪化して困ったものです」

 「ふふふ、ラン様の手はひんやりとしていて気持ちいいです」



 ラン様の心遣いに私は握ったラン様の手の心地よさと、心の中が暖かくなるような感覚がした。

 しばらく経ってもエリオットさんや他の誰かがやってくる気配がなかったので私達は再び船内を探索することにした。

 相変わらずどこまでも続く通路は暗闇に包まれていたが、私を蝕んていた恐怖心はほとんどなくなっていた。

 


 

 「……リヴィ、待ってください」

 「どうしました??」

 「この部屋の中から何か話し声のようなものが」

 「……??私には何も聞こえませんが」



 ラン様はいきなり立ち止まり、人差し指を口の前に立てて静かにするようにジェスチャーすると、話し声が聞こえるという部屋のドアを少しだけ開ける。

 ラン様と一緒に少しだけ開いた隙間から部屋の中を覗き込むと、ひときわ輝く円形の鏡が空中に浮かんでいた。



 「あれは一体……??」

 「ふむ、あの鏡がこの事態の元凶かもしれませんね。入ってみましょう。」



 ラン様がドアをゆっくり開けると私と手を繋いだままその鏡に近づく。

 するとその鏡は強く光りだした。

 眩しくて思わず目を瞑ってしまったがすぐその強い光は収まった。

 目を恐る恐る開けてみると、鏡は消えて代わりにステラエーンの道中で見た夢の中で現れた赤茶色の長い髪を一つに縛った青年がそこにいた……。



ラン様のターンです。

サブタイトルはおじいちゃんと一緒、・・・かな?

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