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星屑の聖女  作者: 夜桜 メル
第一章
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第一話 記憶喪失



 ふと目を覚ます。

 なんだか長い夢を見ていた気がする、だけどなんの夢を見ていたのかぼーっと考えていたら少しだけあやふやに覚えていた夢も5回ほど瞬きをしたら全て忘れてしまって今は何も考えられない。



 自分の名前も、寝る前は何をしていたのかも……全て思い出せない。

 見えるのは星空のような絵が描かれた豪華な天井と手触りのいい寝具。

 体を動かそうとしたが、石のように固まっていて動かせそうにない。

 声だって出せない。喉の奥が乾いていて声を発せられなかった。



 「リヴィリカ様!!お目覚めになったのですか!?」

 「??」


 人を呼ぼうにも声は出ない、体は動かない……どうしたものか、と困っていたらドアを開く音が聞こえてそこからメイドが入ってきて目を開けている私を見てとても驚いているようだ。


 「大変……!!今国王陛下をお呼びいたします!!いやでもその前にお医者様??えっとえっと……!」


 相当混乱しているのか、メイドは一人で頭を抱えてグルグルとその場を回り始めた。

 ……どっちでもいいから呼んできて。と心の中で思っていたら後から遅れて違うメイドもやってきてその人も私が目覚めているのに驚いた様子だったが、すぐに平常心を取り戻し医者と他にもいろんな人を呼ぶように伝えたらしい。



 「ちょっとアンナ!!なに壊れた人形みたいな動きをしているの!!」

 「も、申し訳ありません!!でもリヴィリカ様がお目覚めになるなんてびっくりして……。」

 「急いでお湯とタオルを持ってきなさい!!すぐに国王陛下がいらっしゃるわ。その前にリヴィリカ様のご支度をするわよ。」

 

 するとメイドは走って部屋を出て行った。

 その姿にため息をついたメイド服を着た初老の女性は私に近づき、ゆっくりと私の体を起こしてくれた。

 背中にふわふわのクッションを置いてくれて、水差しから水を注ぎ私にゆっくりと飲ませてくれた。


 「おはようございます、リヴィリカ様。お目覚めになり安心いたしました。すぐにお医者様もいらっしゃいますので。」

 「ん……ありがとう。喉カラカラだったの。」


 水を飲んでやっとちゃんとした声が出た。

 ドアがノックされて5~6人のメイドが入ってくると、初老のメイドがテキパキと指示をだして暖かい濡れタオルで体を拭かれ、いい匂いのボディークリームを塗られる。

 髪の毛もブラシで梳いてもらい着心地のいい白いワンピースを着せてもらう。

 筋肉が弱っていて、一人では立てないのでメイドに手を貸してもらってやっと立てる状態だ。


 されるがままになっていると、全ての支度が終わり、そのタイミングで白衣を着た医者がやって来たので診察をしてもらう。

 

 「ふむ、特に異常はありませんね。筋肉の衰えがあるので少しずつリハビリをしていくのが良いかと。」

 「ありがとうございました。ふぅ、安心しましたわ」


 医者が診察道具を鞄にしまいながら言う。

 初老のメイドもそれを聞いて胸を撫で下ろす。すると医者が退室するのとすれ違いで赤いマントをなびかせ赤茶色の髪、琥珀色の瞳をした青年が慌てたように入ってきた。


 「国王陛下!!リヴィリカ様が……!!」

 「リヴィリカ!!やっと目覚めたんだな!!本当に心配したんだぞ!!」

 「……あなただれ。」

 「……え??」


 国王と呼ばれた両肩を掴まれ、少し涙目になっている青年をじっと見る。

 相手は私を知っているようだけど私からすると全然知らない人だった。


 「そして私はだれだっけ……なにも思い出せない。」

 「名前も思い出せないのか??自分がどれだけすごい事を成し遂げたのかも??」

 「私なにかしたの?」


 国王はふらふらとして近くの椅子に力が抜けたように座った。

 なにかをぶつぶつ呟いてからすっと顔を上げて私の目を見る。


 「本当になにも覚えていないのか?世界を救ったのに?」

 「なにも覚えていないわ……。」


 


  国王はゆっくりと丁寧に私の過去について話してくれた。


 数十年前から人に害をなす魔物が多くなり、その根源の魔王を倒す旅に私と5人で旅に出たらしい。

 4人の騎士や弓使いと、聖女として選ばれた私は1年前に魔王を倒したのだが5人中3人の行方が分らなくなり私はすぐに発見されたがずっと眠ったままでもう1人は最後の戦闘で酷い怪我をしたらしいが今はすっかり良くなり騎士としてこの国の騎士団にいるらしい。


 「私が聖女なの??信じられない」

 「これが世界を救った代償なのか……行方不明の3人の手がかりを聞けると思っていたのだが」

 「3人の行方がわからない??」


 

 すると頭の中に映像が流れてくる、私と、その前に4人の姿。

 黒くて大きな何かを見つめて、これが最後の闘い。

 一斉に3人が攻撃を仕掛ける、残った1人は私を庇うように立っている。

 力を分け与えるように私は祈る。すると辺りが光に包まれる……そこだけ思い出すことが出来た。


 それ以上考えようとすると頭に激痛が走る。

 そのまま私は、国王やメイドが私を呼ぶ声を聞いて意識をなくした。

 



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