【百合短編】ふたりはプロティア
現代の街角に、普通の双子がおりました
普通に仲が良かったので
毎朝5時に起きて
毎朝同じご飯と味噌汁を食って
毎朝同じシャツを着て
毎朝同じ色の歯ブラシを使い
毎朝同じキスをして
毎朝同じ胸をドッキングしていました
「私たち、大人になったら結婚する」
「結婚式の準備はできているわ」
ところが時々胸がモヤモヤするのです
「何か違う……」
「そうね。何かが違うわ」
「何が違うのかな」
「それはもちろん、私たちがあまりに対称的なことが違和感の原因よ。世間のカップルはお互い違う人間だもの」
「そっかー」
と言いながら、恋人つなぎをして
にぎにぎして
柔らかな手の感触を堪能していました。
〜〜〜〜〜〜〜〜
ある日、怪獣が街を破壊していました。
ゴジ◯みたいなデカブツが
住宅を踏み壊しながら
破壊光線を発射して
街を焼き払っていました。
「逃げよう!」
「助けなきゃ」
「え?」
「え?」
この時初めて意見が割れました。
初めての対立に、思考停止する双子
そこに怪獣のはかいこうせん!
きゅうしょに あたった!
「きゃあああああ」
「きゃあああああ」
双子は吹っ飛んだ。
ガレキの上、血まみれの双子
「よくも私たちのイチャイチャライフを」
「よくも私たちの日常世界を」
「よくも」
「よくも」
「「ぶっ飛ばす!」」
双子は、ぎゅっと手を握りしめて
「へんっっっしんっっっトウ!」
「へんっっっしんっっっトウ!」
✨✨✨✨✨✨✨✨
トゥルルルルルル♪
キラーン!
んちゃんちゃ
んちゃんちゃ
(変身シーンの爽快なBGM)
トゥルルルルルル、ペカーン、腕
トゥルルルルルル、ペカーン、足
トゥルルルルルル、ペカーン、リボン
ペンペンペン、カァーン!
「荒ぶる嵐の精霊、ティアアクア」
「荒ぶる吹雪の精霊、ティアスノウ」
「「ふたりはプロティア!」」
✨✨✨✨✨✨✨✨
怪獣「なにっ、プロティアだと!」
アクア「タァー!」
スノウ「えーい!」
アクアのタックル!
ドゴォ!
怪獣「ぐわああああ」
スノウのともえなげ
きゅうしょに あたった!
怪獣「ほぎゃあああ」
怪獣は仰向けに倒された
手足を投げ出して
腹部をピクピク震わせている
アクア「行くよ」
スノウ「ええ」
2人は本能的に手を繋いだ
するとプロティアのマッスルパワーが
竜巻となる!
アクア「アクアブルー!」
スノウ「スノウホワイト!」
ディキシー
「「プロティア、シックスビルドアップシャイニング」」
ピカーン
2人は巨大化して輝いた
怪獣の10倍の身長となり
足の指1つでプチンと潰せそうな
……暴力ッッッ!!!!!
「「ふみつけ!」」
ボカァァァァァン
街は完全崩壊した
ついでに怪獣も潰れた
「「ビクトリー!」」
✨✨✨✨✨✨✨✨
キラキラリン!
魔法少女特有の
バトル終了で街が修復される現象
平和が訪れた
〜〜〜〜〜〜〜〜
その後、アクアとスノウは有名人になった
アクアはミステリアスな水の巫女として
スノウは冷酷無慈悲な雪の女王として
街の人々から信仰されてしまった
2人は怪獣をぶっ潰す日々を過ごすうちに
自分たちがそっくり双子だったことを忘れ
百合カップルらしくなりましたとさ。
めでたし めでたし