性格最悪なガキ
男の前に子供とそれを追っている人間たちが現れた。
「助けて!!!そこにいる屑っぽいお兄さん!!!なにも悪くない僕が悪い大人に追われているんだ!!!」
・・・言いぐさがダメさ加減を醸し出している。もう言い分に無理がある。
「せめて僕のために肉壁になってよ!!!」
・・・囮とすら言ってない。必ず命を落とす肉壁って言われた。
「このクソガキが!!こんな森の中まで逃げてきやがってどれだけ苦労したと・・・ってこんなところに人がいるものなんだな。そいつを渡せ。渡せば命だけは助けてやる。」
こいつも不遜な言い方だな。状況から見れば俺は明らかに不審人物だろう。
そんな相手にどうしてそんなに上から・・・あ、だからか。関わりたくないオーラをビシビシ感じる。とりあえず強気でってことかな?
「お前ら終わったな!!!こいつは僕の手足となる最強の道具だ!!!僕を守るためなら肉壁になることもいとわない!!!」
・・・完全に巻き込む気で来てやがる。そしてどうしても肉壁にしたいらしい。
悪意がものすごいなこいつ。
「お前みたいなやつにそんな人間がつくか!!!」
完全に同意。
「うるさい!!!僕はやんごとなき青き血が流れているフィリップ・ラクシャリ・ランゼ様だぞ!!!それぐらいの下僕はごまんといる!!!」
・・・マジか。驚愕の事実。この世界貴族がいた。
「没落した王族だろ?反乱されてもうお前ひとりだろ?」
こんなんだったら反乱されて当然。
「おい、お前!!!黙ってないで、僕の道具として有象無象を蹴散らしてよ!!!そして最後は肉壁として僕の前で命を落としてよ!!!」
どうしても最後は肉壁か!!!肉壁こだわり強すぎない?
そしてやっぱり死ねといわれていた!
「なんか生きているかどうかもわからないやつだな。もういい。このクソガキぶち殺して引きずっていこうぜ?」
当然だな。
・・・・しかし、どんなになっても、やっぱり俺は俺だな。目の前で子供が殺されるのを見る趣味はない。どうでもいいと思う心とは違って動いてしまった・・・