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3話 決意

俺は勇気を振り絞りメイドさんの手を引く、メイドさんを城の中に押し込み、俺は隊長の前に立ちにらみつけた。


「満足か?俺を笑いものにして満足かって聞いてるんだよ」


「何のことだ。自分ができないことを他人のせいにされては困る。奴隷使いに奴隷を与えてうまく使えなかった。それだけのことだ」


俺は拳を握りしめその場を去る。

周りはまだ俺のことを笑っているようだ。


「おい、奴隷使い様もう帰っちゃうんですか?」

「奴隷使い様ぼくを奴隷にしてくれたら石をもっと遠くまで投げますよw」

「おい、やめとけコロコロしか投げれなくなるぞw」

「だ、ははっはは」


イケメンたちも俺の方を見てニヤニヤしてるのが見える。

俺は怒りをこらえながら自分の部屋に戻った。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


俺はあれからずっとベットの上で天井を眺めながら、これからどうするかを考えていた・・・。


まず城を出る。城を出てどうするのか?金はない。どうやって金を稼ぐ。ほかの町に行くか、いや、まずはこの町で稼がないと移動にも金はかかるだろう。


そもそも、何で俺はこんなに嫌われているのだろう。何かしたか?いや何もしてない。明らかにスキルのせいだ。スキル名【奴隷覚醒】のせいで俺は奴隷使い扱いだ。


当然と言えば当然か、


(我がオ-ガノス王国の勇者の仲間が奴隷使いだ。とか、魔王を倒したのが奴隷使いとか歴史に残したいかといえば残したくないであろう。剣聖が魔王を倒したとか、賢者が勇者の仲間で大いに勇者を助けたとかそんな物語の方が受けはいいに決まっている)


結局この国の勇者に俺はふさわしくないという理由で、俺はこんな扱いをされているんだろうな。


コンコン・・・扉からノックオンがする。


「・・・どうぞ」

「失礼いたします。お夕食をお持ちいたしました。」


そこには犬耳メイドさん、心なしか下を向いているように見える。まあ、あれから数時間しかたってないし当たり前か、


「さっきは、ごめんね。巻き込んじゃって」

「・・・いえ」


少しの沈黙の後、光が出て今日の夕食が出てくる。今日はパン2個である・・・。明らかに扱いが悪くなってるな。明日はパン1個かな。


「ねえ。メイドさんパン1個あげるよ」

「え?」

「今日のお詫びそれとも今日はお腹すいてないのかな?」

「・・・で、でも」

「今、俺あんまり食欲無いから代わりに食べてほしいんだよね。残したらもったいないだろ」

「・・・そ、そうですね。分かりました。」


すると、メイドさんはパンを1個手に取り光が出てパンが消える。


「・・・ありがとうございます」


メイドさんが少し微笑んだように見えた。


「所で一つ聞きたいんだけど、君はこの城の外に出たことはあるか?」

「私は数年前にこの城の外から来ました。それ以来、この城の外に出たことはありません」

「そうか、ではこの城から出たいと思ったことはあるか?」

「そうですね。いつか、この城から出て旅でもしてみたいですね。」


メイドさんはゆっくりと窓の方を見る。両手を胸の前でお祈りをする様に手を組む。沈みかけた夕日のせいか、彼女の笑顔はキラキラと輝いて見えた。


何気ない一言だった。他愛無い(たわいない)会話のつもりだった。別に引き込みたい訳じゃなかった。スキルも使うことのできない俺が抱いていい感情ではないのかもしれない。しかし、かすかな言い訳を見つけてしまった。


「そうか、いつか外にでれたらいいな」

「はい」


先ほどとは違い。ぎこちない笑顔で彼女は答える。


「では、失礼いたします」


俺は彼女に対してゆっくりと頭を落とした。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


次の日の朝、俺は目を覚ます。ゆっくりと体を起こし、足をベットから落とす。そのまま座って「ふぅー」と息を吐く、両の手のひらで顔をパンパンと叩き気合を入れる。


俺は立ち上がり扉を開ける。少し歩くと2人の兵士が居て止められる。


「おい、何をしている。」

「話がある。王様に取り次いでほしい」

「どのような要件だ」

「王様にしか言えない。一応、俺は勇者だからね。少しくらいわがままを聞いてほしいな」


2人の兵士が顔を見合わせる。1人の兵士が今のことを伝えに行った。


・・・・・・・・・


しばらくしてから兵士の一人が帰ってきた。


「では、お呼びするように言われたので着いて来てください」


俺は言われるがままに兵士の一人について行き、俺たちが鑑定をされた王の間の前に着いた。扉を開けるとそこには王と大臣たちが待っていた。


「何か用があるとのことだが・・・」


俺の方を見下ろしながら王が言う。


「はい、私はこの城出て私なりに魔王討伐の方法を模索していきたいと思います」

「ほう」王は反応する。


「私と一緒に召喚された4人の勇者はとても優秀です、彼らに私は必要ありません。私のスキルは奴隷使いなので奴隷の仲間が必要です。勇者の4人を奴隷にするわけにはいきません。」


「・・・ふむ。」王は黙って聞く


「私の能力を最大限発揮するために優秀な仲間を探す旅に出たいのです。ですので、王様には私が旅をする為の最初の助力をお願いしたく存じます」


「成程、勇者殿は魔王を討伐するために仲間探しの旅に出たいと、そして、旅をするにあたって援助が欲しいと、では聞こう。勇者殿が欲している援助とは何か?」


内容次第では行けそうか。まあ、厄介者を追い出すチャンスだし、できる事なら王国も俺に名目上まっとうな形で送りだせれば儲けものといったところか。一応勇者だし。


「はい、まずは当面生活できるだけの資金の援助を。最後に・・・私は奴隷使いですので奴隷を頂けたなら光栄に存じます」


大丈夫か?変な言い方じゃなかったか?要求しすぎじゃなかったか?いや、むしろ安いだろう。早く厄介者を追い出したいだろう。早く乗れ俺の案に、俺はさっさとこんな城おさらばしたいんだ。


「1つ聞きたいのだが奴隷が欲しいとあるが、どのような奴隷が欲しいのか?」

「はい、私の食事をいつも持ってくる。犬族の者をお願い致します」


「!?」

「犬族・・・ああ、」


(そりゃそうだろう。俺だって戦闘系の奴隷の方がいいと思う。一応、魔王を討伐しに行く名目だしな。違和感があるのは仕方がない。)


王が大臣の方を見る。大臣がコクリと頷く。


「あい分かった。勇者様の要望通りに致しましょう。我が国も魔王を倒そうたする勇者様に対する助力は惜しみませんぞ。まずはこの国でも回って奴隷の仲間でも探されるがよろしい。まあ、その間に他の勇者様が魔王を討伐してしまうかもしれませんがな。はっはっはっ」


王はとても嬉しそうに高らかに笑う。もう少し感情を隠せよ。


大人な俺は感情を隠し、


「は、はい。ご助力、感謝いたします。今後も王様の益々のご健勝とご活躍をお祈り申し上げます」


俺は歯をしっかりと噛み締めながら深々と礼をするのであった。

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