世界の創造、そして降臨
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遥か昔、宇宙が産声をあげるよりも前、そこは無限に広がる「無」で満たされていた。その虚空の中に「彼」はいた。「彼」の目前には、泡粒のような宇宙が幾つも浮かんでいた。
「……物理法則はこんな感じか。あとは幾つかその複製を作って……この世界には進化が早く進むようにして……あぁ、魔力を満たした世界も作っておくか……」
それぞれの宇宙が「彼」の手を離れた後自ずから成長する、そのときのための法則を「彼」はひたすら作り続けた。その世界が滅びの道に向かわぬよう、成長を続けられるよう、数多の法則を作り出した。
それから幾星霜を経て、「彼」の手により最後の宇宙に法則が付けられた。と同時に、その幾つもの宇宙は皆一斉に大爆発を起こし、それぞれが違う成長を始めた。
ある宇宙には無数の星々が、またある宇宙には一つの巨大な平面が生まれた。全てが幻でできた宇宙、時間軸が自在に進んだり戻ったりする宇宙、破壊のエネルギーのみで作られた宇宙も生まれた。
ある宇宙では、生まれながらにして自我を持つ「彼」に似たような存在が生まれた。また別の宇宙は、そのエネルギーにより自壊を起こし、小さな結晶となってしまった。またある宇宙では、光り輝く星が沢山生まれ、その周りを回る星たちが生まれ、その中の一つでは生命すら誕生した。
そんなこんなで何百億年が過ぎ、宇宙が皆安定し始めた頃になって「彼」はつぶやいた。
「あ〜、暇……」
「彼」は退屈が嫌いだった。それ故に数々の宇宙を作り、それを見物することで退屈を紛らわそうとしたのだが……
「やっぱり外から見てるだけじゃぁ面白くないなぁ……よし! これからはそれぞれの宇宙に、ランダムで生まれてみることにしよっか。せっかくだから人間の姿で、ね」
といったわけで、全宇宙の始祖神「ノア」は人間界に降り立ったのだ。