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嬉しい誤算、そして後悔

更新が遅れてしまい申し訳ございません。

次は午前中に投稿できるように頑張ります!

 精霊の泉から出てきたセシルはどうやら契約が成功したような表情をしていた。


「その様子だと契約には成功したようだな」

「ええ、エレインのおかげよ」


 俺は特に何もしていないのだがな。ここでただ応援していただけだ。

 まぁ俺のおかげだというのなら何か彼女の中でプラスとなったのならよかった。


「何があったかわからないが、よかった」

「それに二本とも契約できたのはよかったわ。面倒なことにならずにね」

「なるほどな」


 すると、セシルは二本の聖剣を触りながらそう言った。

 彼女にとってその二本の聖剣はただの剣という存在だけではないのだろう。何が特別なのかは推測でしかないが、父の形見のような存在なのかもしれない。


「今日は色々とありがと。契約のこともだけど、学院でのあの騒ぎは私だけでは止められなかったかもしれないし」

「別に気にすることはない。俺も教えてもらったことがあるからな」


 そう、あの騒ぎのおかげで俺は彼らのことについて知ることができた。

 フェレントバーン流剣術、派生はあまり多くはないがその中でも四大派生剣術と呼ばれる彼らには少しばかり興味がある。

 もちろん本家の流派も知りたいのではあるのだが、今はもうなくなってしまっているそうだからな。

 本家を知るのは難しいのかもしれない。


「教えたって言っても今後授業で出てくることだし、それに少し調べたらわかると思うわ」

「それでも教えてくれたのには変わりない。助かった」

「……それならいいんだけど」


 すると、セシルは顔を赤くして顔を背けた。

 そうやって改めて感謝を述べられると恥ずかしいものなのだろうか。

 まぁ彼女のことも含めて今後知っていく必要があるからな。

 俺はここの国に来てまだ一年と半年だ。

 知らないことの方が多い。

 そんなことを考えていると、外から足音が聞こえてきた。


「エレイン様、どうかしましたか?」


 横に立っているリーリアは俺の様子を見てそう聞いてきた。


「敵意はないか……」


 俺がそういうと後ろから大きな鞄を持った鉄仮面の女性が走ってきた。


「っ! ……」


 鉄仮面の彼女は俺を見つけると息を飲む声を出した。


「こんなところに来てどうした?」

「……」


 やはり喋れないのだろうか。

 あの鉄仮面が口を塞いでいるのか、それともただの人見知りなのか。どちらにしても話ができないのなら聞くだけ無駄なのかもしれないな。


「エレイン様、警戒を」

「あの鞄を持っていては剣も抜くことはできないだろう。それに敵意もないからな」

「……ですが」


 俺はそんなリーリアを横目に彼女に近づくことにした。

 セシルはリーリアに倣って警戒態勢をとっているが、本気で剣を抜こうなどと考えてはいないようだ。


「重そうな荷物だ。何が入っている?」

「!!」


 すると、鞄を俺から遠ざけて背中を見せた。

 戦闘する意思もない、ということだろう。

 これ以上は関わって欲しくないということなのかもしれない。


「まぁ話したくないのなら構わない。リーリア、セシル、行こうか」

「はい」「ええ」


 そんな鉄仮面の彼女のすぐ横を通り過ぎて俺たちは精霊の泉から出ることにした。




 精霊の泉から出て、商店街の近くまでくるとセシルは後ろから声をかけてきた。


「さっきの人って誰なの?」

「ああ、聖騎士団本部に行った時に出会った人だ」

「……それだけでリーリアがあんなに警戒態勢を取るのはどういうことよ」

「色々と複雑な事情があるのですよ。セシル」


 すると、リーリアはそう言って彼女の質問を回避した。

 まぁセシルにはそこまで知られてはいけないことだと思うからな。これ以上は聞かれると俺が困る。


「そう、複雑なら仕方ないわね。あなたたちフラドレッド家は議会とか聖騎士団とか色々とややこしそうだし」


 確かにアレイシアから聞いている限りでも俺のせいで議会や聖騎士団とは厄介な関係になっているようだからな。

 そのためにアレイシアや現当主であるアーレイクに負担をかけていることは間違いない。


「できればセシルもあまり話を大きくして欲しくないんだ」

「そう、エレインがそういうのなら私は何もしないわ」


 俺はこれ以上追及してこないように彼女にそう言った。

 彼女はどうやら納得したのか、これ以上はそのことについて話をしてこなくなった。


 それからセシルは自分の寮へと戻っていった。

 どうやらお風呂の件については明日から始めるそうだ。

 これに関しては後でなんとか断るとして、問題はアレイシアだ。

 セシルに対してあまりいい関係ではないようだからな。その点についてまた後で話す必要があるだろうな。

 そんなことを考えながら俺は自分の家へと戻ることにした。


   ◆◆◆


 精霊の泉までなんとか走ってこれた私だけど、思いがけないことが起きていまだに心臓が暴れている。

 やばい、鉄仮面で表情は見られていないけど自分の精神状態が制御不能になるのはやはり恋なのだろうか。

 生憎、私にはそのようなことがわからない。

 あのような施設にいてはそう言ったことを知る機会などないのだから。


 でも今はそんなことに思考を巡らせている場合ではない。

 いち早くこの資料を精霊族にも知らせないといけない。


「お疲れ様です」

「っ!」


 急に背後に現れたのは水色の髪に銀色の目をした精霊であった。

 敵意は感じられないから危ない精霊ではないようだ。


「驚かせてしまいましたね。私はクロノス、精霊族の族長を務めています」

「……」

「その仮面をつけていると喋れないのですよね。ですがここまで資料を運んできてくれてありがとうございます」


 そう言ってクロノスは礼儀正しく頭を下げた。


「議会の考えていることは私たちも把握しています。議会は今や崩壊の道を歩んでいるようです。あなたはエレインの味方でいてください」


 すると、彼女は姿を消した。

 もちろん、私は施設の時からずっとエレインの味方だ。

 はっきり言って議会には崩壊して欲しいのだけれど、この国の治安を維持しているのは彼らだ。

 崩壊されてしまうと非常に困るのも確かだ。

 だから崩壊はさせない、でもエレインに危害を加えるような存在にもさせない。

 いい具合に変革を起こして、私たちの住みやすい国にすることが私の最終目標なのだから。


 それにしても、私は彼にこの想いをはっきりと言える日が来るのだろうか。

 いや、そんなことよりもこの鞄、持ってきたものの意味はなかったのかもしれない。

 クロノスはこの計画のことを知っていた。わざわざここに資料を持ってくる必要はなかったということだ。

 果たして、意味のある行動だったのか、ふとそんなことが脳裏を過ぎったのであった。

こんにちは、結坂有です。


セシルは無事に契約を結ぶことができました。

そして、ミリシアはエレインと出会ってしまい動揺してしまているようですね。

そんな彼女の反応はどこか初々しいですね。

今後の彼女とエレインとの関係も気になるところです。


アンケートのご協力、ありがとうございました!

リーリアとユレイナが同率となりました。

彼女たちを主体とした幕間も近いうちに投稿しますので、お楽しみに!


Twitterではここで紹介しない情報や告知やアンケート機能を使った企画も考えていますので、フォローしてくれると助かります。

Twitter→@YuisakaYu

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