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未知なる種族とは

 マナの興味に十数分付き合うことになったが、昼過ぎには家に帰ることができた。二人の考えていることを聞くことができたのはよかったと言えるだろう。今後、どのようにして解決していくかがはっきりしたからな。

 二人の問題はどうにかなるとして、一番問題なのが魔族に関してだ。

 エルラトラムも現状ではかなり厳しい状況ではあるものの、解決への糸口が見えてきている。しかし、それは国内やその周辺だけであって世界規模では大したことではない。世界の大半を牛耳っている魔族にこれからどう立ち向かっていくかが、一番の問題だと言えるだろう。

 まぁそのことに関してはこの戦いが終わるまでは深く考えないほうがいいかもしれない。目の前の問題すらまだ解決できていないのに先の問題に目を向けるのは愚行だからな


「エレイン様、昼食の準備をしますね」


 そう言って家に帰るとすぐにリーリアが昼食を作りに奥の厨房へと向かっていった。

 メイドとして彼女は俺の世話をしてくれているのだが、彼女自身どう思っているのだろうか。嫌なら任務が終わったと同時にメイドとして志願することはないはずだ。何らかの理由があってメイドと言う立場であり続けたいと思っているのだろう。

 最初は違和感のないように俺の護衛をするために始めたメイドと言う職業は今となっては本職のようになってしまっている。


「リーリア」

「……なんでしょうか」

「このままメイドとして生活していくのは嫌じゃないのか?」

「嫌ではございません。こうしてエレイン様のそばにずっといれるのですから」

「それならメイドでなくても良いのではないか」

「いいえ、メイドだからいいのです。ご友人だけでなく、恋人と言った関係も憧れはありましたが、こうして身のお世話をすることができるのはメイドだけの特権ですから」


 確かに友人と言った関係なら俺のことを深く世話をするのは不自然か。それに恋愛関係であったとしても不自然な点はいくつか出てくることだろう。ただ、恋愛に関しては人ぞれぞれと言う話も聞く。どういった関係性であってもいいと思うのだがな。

 どちらにしろ、彼女は俺のメイドであることに誇りを持っているらしいからな。無理に言及する必要もないか。


「……それに、エレイン様が他の人を好きになったとしてもメイドとしてずっとそばに入れるからでもあります。願うならば、私だけでいてほしいのです」

「それは……」

「できないのはわかっています。ですから、誰にも譲ることのできないエレイン様専用メイドで居続けたいのです」


 たとえ、俺がリーリアを恋愛対象として見ていないとしてもメイドとしてずっとそばにいたいと思っているようだ。一度はメイドを拒絶するように誘導した事もあったが、それはどうやら意味がなかったようだ。

 すでに俺は彼女にとって特別な存在であり、俺にとっても特別な存在になりつつある。


「俺専用か」

「はい。エレイン様がもしルクラリズさんと恋人関係になったとしても私はずっとそばにいれます」

「な、なんで私なの?」

「相手はどうであれ、メイドなら問題ないということか」

「そうです。しかし、ルクラリズさんと恋仲になるのは些か問題があると思います」


 すると、リーリアがそのようなことを小さくつぶやくように言った。


「何が問題なのよ」

「ルクラリズさんは人として生きていますが、本質としては魔族です。魔族と人間、大丈夫なのでしょうか」


 確かにリーリアの言うとおりだ。

 見た目は限りなく人間、いや人間そのものに見えるが、本質は間違いなく魔族だ。そんな異種間での恋愛は果たして成立するのだろうか。

 今までのことを踏まえて、ルクラリズは俺のことを好意的に思っているそうだが、それは無視しても問題ないのだろうか。


「結局のところ、心の持ちようなのでしょ? 恋愛なんてしたこともないからわからないけれど、本人同士がそれで幸せならいいと思うわ」

「そうなのかもしれませんね」

「……私が言えた立場じゃないかもしれないけれど」

「なるほど、だとして魔族と人間の間に生まれる子どもはどういった存在になるのだろうな」

「なっ」


 俺がそう言うとルクラリズは顔を赤くして俺の方をまっすぐに見つめた。

 それにつられてかリーリアも次第に表情が赤くなっていく。確かにさっきの発言は気まずかっただろうな。

 発言を撤回し、謝罪するべきか。


「すまない。今のは……」

「魔族と人間の子、どうなんだろう……」

「やはり異形の存在になるのでしょうか」

「それはないと思うわ。魔族の見た目は子どもにも引き継がれるから人型にはなると思うわ」

「でしたら、魔族の力を引き継いだ人間、ということになるのでしょうか」

「それに関してはわからないわ。確認するしか……」


 いろいろと発言が盛り上がってしまった。

 元を作ってしまった俺が言うのも何だが、これ以上はさすがに止めるべきだろうな。

 このままの流れでは俺とルクラリズが子どもを作る事になってしまいそうだ。


「それはだめです」

「……だめ、よね」


 すると、俺が入るまでもなく彼女たちで会話を打ち切ったようだ。


「エレイン様の子どもは……」

「リーリア?」

「な、なんでもありません。昼食の準備に向かいますね」


 そう言ってリーリアは若干動揺しながらも厨房の方へと歩いていった。


「……もう、エレインが変なこと言うからだよ?」

「俺は何も言っていないのだが」

「子どもとか言うから」

「それは謝罪しよう」


 ふんっ鼻を鳴らしたルクラリズは腕を組んでゆっくりと椅子に座った。

 ただ、それにしても魔族と人間の間に本当に子どもが生まれるのだとすればそれは少し気になるな。

 魔の力を持った人間、マナと同じような存在になるのかもしれないが、自然に作られたというわけではない。

 自然交配で作られた魔の力を持った人間か。

 もしもの話だったが、今まで存在していなかったということもないだろう。長い歴史を考えれば、一度ぐらいそのような事例があったとして不思議はないか。

 まぁこれ以上考えるのも無駄だ。気になることではあるものの、そこまで重要というわけでもないのだからな。

こんにちは、結坂有です。


今回は少し奇妙な会話となりましたね。

魔族と人間の子、もしそんな存在がいるとしたら……


それでは次回もお楽しみに……



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