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最強の帰還

 着替えを済ませて部屋を出た。

 部屋を出てすぐ横にはリーリアが立っていた。


「エレイン様、相変わらずよくお似合いです」


 服はトーレスが作ってくれたものをまだ着ることができた。

 というものの、この服は所有者の体に合わせて変形するよう作られているようだ。どうやら天界での素材は人間の常識を逸脱しているのだろう。


「よくわからないが服のサイズが合うように作られていたみたいでな」

「そう見たいですね。身長も大きくなったみたいですし」

「あまり実感はないが……」

「エレインっ」


 そんなことを話していると廊下の奥からカインが駆けつけてきた。


「どうした?」

「ほ、本当にエレインよね!」

「ああ、そうだが?」

「背も高くなって体も変わったからびっくりしたって……」


 彼女はそういった目を丸くしていった。

 正直、そこまで変化があったようには感じていない。


「そんなに変わったか?」

「エレイン様、実感はないかもしれませんがかなり変化があると思います」


 二人がそういうのなら見た目が大きく変わったのかもしれないな。

 鏡で見た時は身長が少し大きくなったのと筋肉が少し発達していたぐらいだ。

 確かに体格が少し変わると雰囲気も変わるのだろうか。


「なんかさ、オーラが違うよね」

「オーラ?」

「そうですね。たくましくなったと言いますか……」


 すると、カインが目を細めてリーリアの方を向いた。


「かっこよくなった、でしょ?」

「……はい」


 少し顔を赤くしたリーリアは俺から目を逸らした。恥ずかしくなったのだろうか。

 まぁ彼女の感情はよくわからないことがあるからな。


 しばらく廊下を歩いていると中庭に剣神トレドゲーテがいた。

 どうやら彼は剣を振り続けていた。


「エレインか。ここに連れてきて二時間ぐらいだと思うが、ずいぶんと成長したものだな」

「……剣神もそう思うのか」

「俺が連れ戻した時はまだ小さかったと思うが?」

「そう言われても俺には実感がないから答えようもない」


 身長が高くなった以外だと、ほんの少し体がか軽くなった程度だからな。特に大きく変わったという実感がない。

 体が大きくなったと同時に筋力も同時に成長しているようだからな。


「まぁいい。魔族は全滅させることはできなかったが、大多数は倒した」

「これからは残党狩りを楽しむって感じか」

「しばらくはそうするつもりだ」


 廊下の窓で外を見た時、壁が壊れていなかったからな。おそらくはこの城の周りにいた魔族を倒した程度で天界全土を一掃したわけではないということらしい。

 まぁ今すぐ全ての魔族を倒す必要はないからな。


「それで、俺はいつ下界に戻れるんだ」

「そのことか。確かにお前にはお前の世界があるからな。すぐにでも戻してやってもいい」

「エレイン様、本当に戻られるのですね」

「やるべきことはもうないからな」

「エレインって仕事好きだったり?」


 カインは細い目で俺を見つめてくる。

 仕事好きなのかどうかはわからないが、やるべきことが下界にあるからな。それを終わらせずにはいられない。


「エレイン様はただ人類の助けになりたいだけだと思いますよ」


 そうリーリアが俺の考えを代弁してくれる。

 確かに彼女は俺の考えていることをよく理解してくれているのは確かだ。


「まぁ理由はなんでもいいが、お前たちは人間だ。いつまでも天界にいられるとこちらとて不都合だからな」


 すると、剣神は腕を大きく振り上げると光の球体を作り出した。


「下界でも頑張ってくれ」

「一ついいか?」

「なんだ?」


 俺は邪神との戦いで疑問に思っていたことを質問することにした。もちろん、その質問に彼が答えるとは限らないが、それでも聞く価値はあるだろう。


「邪神ヒューハデリックとは知り合いだったのか?」

「……遠い過去の友人だ。まぁお前たちが気にすることはない」

「なるほどな」


 それ以上詳しい内容は教えてくれなかったが、ある程度は推測できる。

 俺は目を閉じて下界へと転移されるのを待つことにした。

 横に立っているリーリアは不思議そうな表情で俺を見つめてくる。


「エレイン様、どうかなさったのですか?」

「疑問に思っていたが、案外大した問題でもないと思ってな」

「そうですか」

「具体的にどういうことなの?」

「カインさん、質問ばかりではだめですよ」


 彼女がそういうとカインは一瞬だけムッとした表情をした。


「天界で応援している」


 剣神がそういうと光の球体が俺たちを包み込む。


   ◆◆◆


 私、セシルは小さき盾と共闘し魔族を掃討していた。魔族の背後には聖騎士団の本隊、そして私たちが攻撃を始めて魔族の勢いは次第に弱まっていった。数で言えば魔族はまだ圧倒的に多いのだが、前後二方向からの攻撃に魔族の大勢は一気に崩れていった。

 このまま攻撃を続けていれば全滅は可能なことだろう。


「セシルっ」


 すると、前の方からミリシアが走ってきた。


「どうしたの?」

「生徒を連れて戻った方がいいわ」

「どういうこと?」

「前方で少し問題が起こってね」


 どういうことなのかはわからないが、ミリシアは若干ながら息を切らしながらそういった。


「問題?」


 私がそう聞き返すとアレクもレイも戻ってきた。


「っんだよ! あいつらはよ!」


 その言葉でかなりイラついていることは事実なようだ。


「僕たちも少し前に出過ぎたってことだね」

「でも、このまま攻撃すれば魔族は全滅、そうではないの?」

「もちろんそうよ。こちらの勢力は魔族を圧倒しているわ」


 数では負けているものの優位なのは私たちの方にあるということのようだ。

 それならこのまま続けていれば全く問題ないわけなのだが、どうして撤退しなければいけないのだろう。


「……あまり言いたくはないけれど、聖騎士団がここを防いだということにしたいんだ」

「どういうことよ。ここは私たちが全力で守ったわ」


 聖騎士団が来て優位に戦えているのは小さき盾が大型のゴーレム型などを大量に倒してくれたおかげだからだ。

 それに彼ら聖騎士団が来るまでの時間を稼いだのもここの兵士のおかげであって、聖騎士団が全て対処したわけではない。


「僕たち小さき盾はあくまで盾、目立ってはいけないんだ」

「納得いかないわね」


 そんなことを考えていると朝日が登り始めた。


「一晩中戦い続けてたってのによっ!」


 そうレイが地面を蹴り上げた。


 ズゥボン!


 朝日の光が地面を照らすと同時に轟音が鳴り響き、奥の方で暴れていた魔族が一瞬にして消し去っていった。


「っ! なんなの?」

「何が起きているの……」


 よくわからない状況だが、その強烈な光は私たちの視界を真っ白にした。

 そして、その光が収まると三人の人間が奥の方で立っていた。


「え?」

「エレイン様、ここはエルラトラムの外ですよね」

「そうだな」


 光が晴れたその先にいたのはエレインたちであった。

こんにちは、結坂有です。


なんとエレインが下界へと戻ってきました。

これから彼がどういった活躍をするのか気になるところですね。

それでは次回もお楽しみに。


評価やブクマもしてくれると嬉しいです。

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