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助っ人は最強

 俺はリーリアと共に家を出た。

 当然、今向かっている場所は本部だ。

 色々と考えたのだが、本部を調べてくれていると言っていたがやはり気がかりだ。

 今の俺には情報が何一つないのだ。


「エレイン様、本部の方へと向かわれるのですね」

「ああ、知っておかなければいけないことがあるからな」

「わかりました」


 リーリアは俺の判断に忠実に従ってくれる。そのあたりのことは信頼している。

 とは言っても彼女はなんでもできる万能人ではない。

 できることとできないことがあるはずなのだ。


「アレイシアの家に聖騎士団の人たちが来たということは気がかりだ」

「はい。私もそのことが気になっていました」


 彼女も同じようなことを考えていたようだ。


 それからしばらく走っていると聖騎士団本部へと辿り着いた。

 本部の外まで聞こえてくる剣撃の音はその激しさを物語っている。

 おそらくは中でミリシアたちが戦っているのだろう。


「今でしたら警備もいないみたいですね」


 警備の人も総動員してミリシアたちを倒そうとしているようだ。

 しかし、ここにいる聖騎士団全員で取り囲んだとしても、彼女ら三人を無力化することは不可能だろう。

 それよりも俺にはするべきことがある。団長室に向かうことだ。


「ミリシアたちは大丈夫そうだ。俺たちはこのまま団長室に向かうとするか」

「はい」


 俺はそういうと団長室へとまっすぐに走った。

 ほとんど警備している人がいないようで簡単に本部の中に入ることができた。

 ただ、違和感があるのは本部に入ってすぐ目に入るブラド団長の肖像画がないことだ。

 思った通り聖騎士団内部で何か起きていることは間違いないようだ。


「変、ですね」

「そうだな。先を急ごうか」

「はい」


 彼女の指摘通り、団長の肖像画以外にもいくつか細かく変わっているところがある。

 小さなところでは所々に点在していた聖騎士団の紋章がなくなっているというところだ。

 紋章を変えるということは組織として根本的に変革を起こそうとしているのを見て取れる。

 あとは匂いが違うような気がするのだが、そのことについては今のところ理由がわからない。

 そして、団長室へと入ると机や本棚、金庫までもが何もかも無くなっておりただの空き部屋となっている。

 確かに札を見れば団長室と書いてあるのだが、その中身は何もないのであった。


「聖騎士団の中で一体何が起きたのでしょうか?」

「わからないが、ここで何か戦闘があったのは確かだな」


 床を見てみるといくつかタイルが剥がれているところがある。

 この剥がれ具合だと鎧の靴で地面を蹴った時にできたもののようだ。

 そして、扉の部分には剣で斬り込まれた痕が残っている。


「そのようですね。ですが一体どうしてそのようなことが起きてしまったのでしょうか」


 彼女はそう言いながら扉に刻み込まれた傷痕を触りながら話を続ける。


「聖騎士団の統制はかなり強固なものです。こうした反乱を起こすことは容易なことではない、だとすればほとんど全員が団長に対して裏切りを働いたことになります」


 確かに彼女の言う通りで、団長への忠誠がなくなったからこそこのようなことが起きたのだろう。

 だが、それはそう簡単に起こり得ることではない。

 何か裏があるに違いない。


「そうだろうな。とりあえず、ミリシアたちを助けに行くとするか」


 どういったことが聖騎士団で起こったのかは知りようがないが、詳細な情報を手に入れているであろう彼女らと会えば何かわかるだろう。


「はい」

「リーリアは俺たちの退路を確保してくれるか?」

「わかりました」


 そうして、俺たちは団長室から出ると二手に分かれたのであった。


   ◆◆◆


 私、ミリシアは聖騎士団と戦っていた。

 私の他にアレクとレイもいる。

 彼らと一緒であれば、私たちが負けることなどそうそうない。

 とは言ってもかなりの数で囲まれている以上、簡単に突破することはできない。

 レイの本気の一撃で斬り開くことも容易ではないだろうが、それでは死人が出てしまうことだろう。

 死人や重傷者を出さないように立ち回りながら、ここから脱出するのは相当難しいのだ。

 何かこの包囲網を突破できる策がないかと考えてみるが、数的不利を覆すほどの策を考えれていないのだ。

 外からの刺激がなければ、厳しいのかもしれない。


 そう考えた瞬間、空気が震えた。

 強い衝撃波だろうか。それが聖騎士団の包囲網に歪みを生じさせたのであった。


「なんだっ」


 目の前の聖騎士団が慌てている。

 かなり混乱しているようだ。


「なんだろう?」

「この感じ、エレインかな」


 アレクは私の質問に答えてくれた。

 もし彼が来てくれたのであれば、嬉しいことだ。

 それだけではない。彼のおかげで包囲網に歪みが生じた。そこを突けば少しでも突破するきっかけにはなるだろう。


「レイ、あそこに穴を開けれないかな?」

「へっ、ちょうど手薄になってんな」

「くれぐれも手加減は忘れずに、ね?」

「おうよっ」


 彼はそういうと地面を蹴った。

 砂塵が舞い上がり、高速で走り始めた彼はすぐに集団へと突撃した。

 その勢いを殺さないように足を止めずに次々に団員たちを吹き飛ばしている。


「これなら簡単に突破できるね」

「そうだね。僕たちも向かおうか」


 そう言って彼はすぐ横にいた団員を義肢の腕で薙ぎ払うとすぐに走り出した。

 私もそれに続いて走り込む。

 レイのおかげで完全に前線が崩壊してしまった聖騎士団を突破するのは簡単であった。

 そして、包囲網を抜けるとすぐに気配を感じた。

 強い気配、これはエレインに違いない。


「エレインっ!」


 私は思わず声に出してしまった。

 すると、横にいたアレクやレイもすぐに反応してくれた。


「やはり来たな」

「うん。そうみたいだね」


 しかし、後ろから団員たちが迫ってきている。

 抜けれたとはいえ、ゆっくりはできないだろう。


「ふっ!」


 すると、私たちに向けてエレインは剣を振るった。


「えっ!」


 私たちのすぐ横の空気が震えた瞬間、すぐ後ろを走ってきていた団員たちが吹き飛ばされた。


「やるなっ。さすがエレインだぜ」


 レイは感心している。

 確かにまだ剣の間合いに入っていないにも関わらず、相手を吹き飛ばしたのはすごいことだ。

 あの聖剣の能力なのだろうか。その辺りのことも後で詳しく聞きたいところだ。


 そして何よりも会えて本当に嬉しい。

こんにちは、結坂有です。


エレインが助っ人として現れたおかげで聖騎士団の包囲網を突破することができたミリシアたちですが、今後どういった展開になるのでしょうか。

まだまだ戦闘は終わらないようで、これからも面白くなりそうです。


それでは次回もお楽しみに。



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