変わってしまった日常
更新遅れてしまいました!
申し訳ございません。
エルラトラム聖騎士団本部団長室で俺、ブラドはアーレイクと対峙していた。
もちろん話があるということで、彼はここに来ているのだが一体何を話すのだろうか。
特に俺は彼に話すことなどないと思っているからな。
そして、話に邪魔になるであろうミリシアやユウナもエレインの元へと向かった。
話をする条件は揃っている。
「そろそろ話してもいいんじゃないのか?」
「話、か?」
「俺に話があるからここに来たのでは?」
以前、彼と出会ったときは流石の俺でも少しは動揺してしまった。
まぁそこまで仲がいいというわけではないからな。
「確かに話はあるな」
そう言って彼は俺の目の前の椅子に堂々と座って足を組み始めた。
それに倣うように俺も椅子に座った。
「話というほどでもないのだがな。議会をどうするんだって話だ」
「そういうことか。確かに議長が死んだ以上、議会は機能しないな」
いや、議会が機能しないのは確かかもしれないが、副議長が代行すれば普段通りのことは可能ではある。
それに完全に議会を壊滅できたのかと言われれば俺も疑問ではあるのだ。
議長は目の前で死んだ、しかし他の連中はまだ生きている。
「今、こう考えているだろう。議会はまだ崩れていないと」
「ああ、違うのか?」
「半分正解だな。確かに議長を殺した程度では議会は崩れない。ただ、それが言えるのは他の議員が生き残っている状況の話だ」
彼が言ったということは、彼が議会を壊滅させたというのだろうか。
確かに俺が議会の関連組織を仲間に付け始めた時点で彼らは混乱していた。それに便乗して崩壊させるなど簡単なことだ。
「つまりは殺したということか?」
「俺はお前とは違う。全員を政治犯として投獄させたということだ」
「どうやって?」
彼らが不正をしているのは明らかだ。
ただそれを証明することは難しいのだ。
「あんたらが裁判所を味方につけた時点で一気に捕まえることができたってことだ」
「……つまりは便乗したということか?」
だが、俺が裁判所を味方につけたのはつい一日ほど前のことだ。
そんなすぐに議員を捕まえることなどできるのだろうか。
「まぁそう言ったところだな。俺も色々と情報を持っていたわけだし、犯罪をしているのは確実だったからな」
証明は簡単だったということか。
裁判所は中立な立場で物事を考える機関だ。
しかし、議会がそれをねじ伏せていたわけだ。
ただ、今回は俺たちが議会の考えている最悪な計画を暴露したことで全ての公的機関が寝返ったと言ったところだろう。
そのおかげでアーレイクも動きやすくはなったのかもしれないが。
「……ここには報告しに来たということか?」
「それだけではない。今後の議会について話そうと思ってな」
「議会?」
「ああ、お前は議長になる気はあるのか?」
「……」
アーレイクから思ってもいなかった言葉が聞こえて来た。
確かに議長になれば、聖騎士団の活動をもっと増やすことができるだろう。
そして、俺ならもっとうまくこの国を発展させることができる。
聖騎士団をうまく使えば対外政策も改善していくだろうしな。
「議長になる気がなければ、俺がなろうかと思っている」
「それは困るな。あんたが議長になった時こそ何をするのかわからない」
「だろ?」
俺は思わずため息を吐いてしまった。
というのも、アーレイクは俺を議長にさせたいがためにここまで足を運んできたみたいだしな。
「わかった。俺が議長をやる。だが聖騎士団の団長も続ける。それでもいいのか?」
「しばらくはそれでもいいだろう。すぐに団長の立場を譲ることはできなさそうだしな」
今の聖騎士団には副団長がまだいない。
だから俺が団長の職をすぐには降りることができないということだ。
とはいえ、それがずっとできるというわけでもないからな。
「まぁエレインが卒業するまでは団長と議長の立場でやらせてもらう。議長の方はアーレイクに任せることが多そうだがな」
「別に構わん」
俺がそういうと彼はすぐに頷いて承諾してくれた。
俺には彼が一体どんなことを考えているのかはわからない。
しかし、それでもこの国を発展させようとしているのは明らかだ。俺に対しても悪いところは悪いと反論してくるわけだからな。
ただ、少し不気味なのが彼がエレインを意識しているという点だ。
「あんたにとってエレインはなんなんだ?」
「ただの養子だ」
「養子、それだけだとしても実子みたいな扱いはなかなかない」
「俺は金には困っていないからな。別に有り余った金をうまく消費してくれるのならありがたいことだ」
まぁアーレイクには資金で困ることなどないわけだからな。
そう考えれば一人や二人ぐらい生活させることなど簡単なことなのかもしれない。
「では、俺が議長を引き受ける形で話を進めようか」
「ああ、そうだな」
それからは議会の方向性などについて話し合うことにした。
エルラトラムを発展させるというのは俺と同じようで、その話については円滑に進んだのであった。
◆◆◆
ミリシアとユウナと久しぶりに出会った俺、エレインはみんなで夕食を食べていた。
「うーん、美味しい!」
ユウナがそう美味しそうにスープを飲んでいる。
確かにリーリアの作るスープは極上のそれに等しい。
飲むだけで一日の疲れが癒されるようなそんな代物だ。
「ええ、美味しいわね」
続けてミリシアもそう呟くように口を開いた。
「それほどでもありませんよ」
「ううん、あまり物を使ってここまで作れるのってすごいわ」
どうやらミリシアは料理をしたことがあるのだろうか。
彼女が急に泊まると言い出した時はどうなるかと思ったが、あまり物でリーリアが作ってくれた。
「リーリアの作る料理は美味しいからな」
「そう、ですかね」
俺がそういうと彼女は少し照れ臭そうに頬を染めた。
そんな表情をするのは俺からしたら少し意外だった。
「あ、それにしてもエレイン」
すると、ミリシアが俺の方を向いて声をかけて来た。
「なんだ?」
「学院は楽しいの?」
「剣術学院のことか。どうしてそんなことを聞く?」
「強過ぎるからあんな学院のこと、楽しいのかなって思って」
ミリシアはずっと俺のことを監視して日頃から思っていたことを聞いて来た。
確かに試合に関してはぬるいものだと考えている。ただ、剣術の歴史などはあの地下施設では教えてもらっていないからな。
その点では楽しいと思っている。
それにいろんな人との交流は非常に興味深いものでもある。
いろんな性格があり、いろんな教えのもとで剣を振っている。それを見ているだけで楽しいものだ。
「学院の存在は学ぶというより、人との交流が主体だ。いろんな剣術に触れて自分も成長できるからな」
「ってことは、やっぱり楽しいってことね」
「まぁそういうことだな」
試合を通して人と交流するのは非常に楽しい。
自分にとっても何かの発展につながるかもしれないからな。
「今度、見学してみたいですね」
「そうね。実際にどう言った場所なのか気になるわ」
ユウナとミリシアはそう言って興味深そうに俺の話を聞いていた。
彼女らも孤独に地下施設で訓練を続けて来た。
その訓練の中で人と交流することなどほとんどなかったからな。
昨日の自分を超えるためだけにずっと過ごしてきた。
それから俺は学院のことについて話を続けるのであった。
こんにちは、結坂有です。
団長が議会のトップになることでエルラトラムは少し良くなることでしょう。
そして、国として発展していくといいですね。
さらにエレインとミリシア、ユウナは久しぶりに会話することになり、これからの関係についても気になるところですね。
それでは次回も楽しみに。
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