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恐ろしい聖剣

 翌朝、何事もなく日が昇る。

 帝国は一体どうなったのだろうか。

 聖騎士団が向かった後、特に続報はなかった。全滅は免れたのかそれとも最悪な結末になっているのか。

 それを知る術は今のところない。

 そんなことを考えていると、部屋からフィレスが起きてきた。


「……おはよう。朝は早いのね」

「いつもならこれぐらいの時間に起きるんだがな」


 時計を指差すとちょうど六時を過ぎた頃だ。

 地下施設では日光を模した窓がいくつかあり、時間によって明るさが変わっていた。

 そのため地下から出た後でもすぐに順応することができた。


「訓練でもないのに?」

「俺にとっては毎日が訓練だったからな。特に変わりはねぇよ」

「大変な日々だったのね」


 そう言って彼女はキッチンの方へと向かって冷蔵庫を開けた。

 朝食を作るのだろうか。

 そういえば、地下施設では料理などを学ぶことはなかった。

 施設内にキッチンがあったのだが、食材がなかったために実際に料理をすることはなかった。

 なんのための場所だったのかは今考えても不明だ。


「そういえば食べられないものとかある?」

「基本的にはなんでも食べれるぜ」


 冷蔵庫の中からいろんな食材を取り出してくるフィレスは「ふんふん」と鼻歌まじりに話しかけてきた。

 まぁエレベーターから送られてくる食材は日々いろんな料理を送ってきてくれていたおかげで、特に好き嫌いなどはない。


「そうなのね。じゃ、昨日の残り物で何か作ってあげる」

「楽しそうだな」


 今までクールな印象だったのが料理するとなった途端に楽しそうな雰囲気に変わった。

 どうやら彼女は料理が好きなようだ。

 俺は料理をしたことがないからどう言った楽しみ方があるのかはわからない。

 だが、彼女を見ているととても楽しいもののように思えてきた。


 それから彼女は鼻歌まじりにフライパンで野菜などを炒めていった。

 そして完成したのが、野菜炒めと体を温めるスープだ。

 スープに関しては昨日の残りだそうだが、温め直しても美味しいようだ。

 どうやら布団をかぶらずに寝ていた俺のために用意してくれたのだろう。


「簡単な野菜炒めだけど大丈夫?」

「別になんでもいい」


 そう言って机に出された料理を見てみる。

 見たところ焦げている様子もなければ、生っぽい感じもない。

 それに匂いも美味しそうだ。


「女性の手料理って珍しい?」

「そうでもねぇよ。こうして目の前で作ってもらったことがなかっただけだ」

「なるほどね」


 別に女に作ってもらおうが、男に作ってもらおうが関係ない。料理が美味しければ誰でもいいのだがな。

 いや、そうではないのかもしれない。

 作っている人が違うと料理の味が変わることだってあるかもしれないな。


「食べてみて」


 そう言われて俺は野菜炒めを口に運ぶ。

 程よく香辛料などが聞いているのか、口に入れると香ばしい香りが広がる。

 そして、野菜本来の味も崩れることなく調和している。


「美味しいかな?」

「美味しいな。地下施設で食べたものしか比較できないが……」

「口に合うようでよかった」


 そう言って一安心した彼女はスープをゆっくりと飲み始めた。

 しばらく食を進めていると彼女が「あっ」と何かに気付いたかのように声をあげた。


「どうしたんだ?」

「男の子だからもう少し多い方が良かった?」

「いや、これだけでも十分だ」

「遠慮しなくていいのに。ちょっと待っててね」


 すると、彼女はまた冷蔵庫の方へと向かった。

 一体いくつ作ってくれるつもりなのだろうか。


 それから三つほど異なる野菜炒めを作ってくれた彼女だが、それでも冷蔵庫の中身が残っていた。

 まぁ備蓄があるのはいいことだ。


「それで、今日はどうしましょうか」

「どうするって、俺は帝国の情報を知りたいところだ」


 もちろん、あれから一晩経ったのだ。何かしらの情報があるに決まっているだろう。

 ただ、それでも不確かなことばかりなのだがな。


「そうね。まだ朝の新聞はまだ来てないし……一緒に取りにいく?」

「そんなことができるのか?」

「ええ、配達される前に取りに行くのよ。今日は平日でもないわけだし」


 確かにカレンダーを見てみると休日だ。

 この時間帯ならまだ配達はされていないのだろう。


「とりあえず、取りに行ってくるか」

「ええ、私もいくわ」


 そう言ってフィレスも付いてくる。と言っても彼女がいないとどこで受け取るのかわからないからな。


「あと、新聞を取ったら聖剣の試練を受けてみましょ」


 そんな話もしていたな。

 この大剣も魔族との戦いでほとんで刃が削れてしまっている。

 支給品ということでそこまで耐久性は良くないだろうな。


「そういえば、どう言った聖剣なんだ? 聖剣って言うほどだから何か能力でもあるのか?」

「えっと、確か家に残っている聖剣の能力は”超過”だったわね。かなりの曲者だと聞いているわ」


 ”超過” その名前だけ聞くと確かにやばそうな感じはするな。

 限度を超えるという意味だ。具体的にどのような能力なのか気になるところだ。


「強そうな能力だな」

「強そうも何も、自分の力以上の力が発生するのよ? まともに扱えるなんてあなた以外いないと思うけれど?」

「へっ、そうかよ」


 聞いてみれば確かにそうかもだろうな。

 まぁどんなものかは知らねぇけど、期待するだけしてみるか。

 初めての聖剣だし、少しは本気で手に入れることにしよう。エレインたちが生きていれば、俺が真っ先に助けてやるつもりだからな。

こんにちは、結坂有です。


レイが手に入れる聖剣の能力が判明しました。またしても強力そうな名前ですね。

そして、それが今後どのような力を発揮するのでしょうか。気になるところです。

さらに帝国のその後の状況も詳しくわかってくることになりそうです。


それでは次回もお楽しみに。



評価やブクマもしてくれると嬉しいです。

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