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神様がくれた1年  作者: 斎田 遊矢


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第45話 杉野あかりの過去 #4“私”から“あたし“に

とんでもなくお久しぶりです。

訳あって更新までにかなり時間かけてしまいました……!

よろしくお願いします!

 次の日の朝私はいつも通りに学校の花壇のお世話をしていた。

 いつも通りの順番で花壇に水やり、最後まで水やりを終えたらもう一度最初に戻って地面をじっと観察して雑草がないか確認して……

 そう、いつも通りなんだけど、いつも通りじゃないことが1つだけある。

 それは私自身の格好。


(普段通りに学校来ちゃったけど恥ずかしすぎる……)


 昨日菊月くんに言われたアドバイスを参考に、遥香に今流行りのファッション?というか地味だった私の容姿をガラリと変えてもらった。

 まず、メガネをやめてコンタクトレンズにして髪はおろして毛先を少しだけアイロンかけて、本当は校則違反なんだけど目立たないくらいにナチュラルメイクをして、少しリップをつけて、制服を少しだけ着崩して、指には目立たない色でネイルをして、スカートの丈を上げて……

 いつもと慣れない服装でそわそわしながら花壇の作業をしていた。


「大丈夫なのかな……先生に怒られないかな……?」


 そんな不安を独り言のように呟いているといつのまにか生徒が登校する時間になっていた。


(わ、わわ……もうみんな学校に来始めてる……どうしよう……緊張する……)


 急に変化した私を見てみんなが引いていかないかすごく心配だった。

 すると、登校してきた女子2人組が私に近づいてきた。


「ねぇねぇ、そのリップちょーかわいいね!」

「どこのやつー?てか、1年生?」


 やはり、容姿のことについて質問してきたので効果絶大だと感じた。

 しかしここからが問題で、私が声をかけた瞬間にどんな反応をされるのかが1番の問題だった。

 私の予想は、声をかけた瞬間に、


「え……?藤田さん……?なんでそんな格好……?」


 という反応と、


「え〜?藤田さん〜?そんな格好してきていいんですか〜?」


 という揶揄われた反応のどっちかだと思ってる。

 でも、ここで私が変わらないと何も起きないと変わらないと思い、勇気を振り絞ってその女子2人に声をかけた。


「お、おはよう……ございます……わ、私実は藤田なんだよ〜……び、びっくりした……?」


 とてつもない弱腰で2人に喋りかけてしまった。

 でも、どう反応されるか分からない恐怖とこの格好でどう立ち振る舞いすればよければいいのやらと緊張でこんな感じの挨拶しかできなかった。

 

(な、なんて返ってくるの……?こ、怖い……!)


 2人は同時に口を開けてこう言った。


「「え、え〜〜!!ふ、藤田さん!?」」


 それはからかいでもなんでもなく純粋な驚きが返ってきた。

 しかも、よほど驚いたのか登校してる生徒たちが振り返るほどの大声だった。


「え!?本当に藤田さん!?めっちゃかわいいね!自分でやったの!?」

「ねぇ、ねぇ、このリップどこで買ったの?めっちゃかわいい〜!!」


 と2人は食い気味であたしに質問攻めをはじめた。


「え、ちょっ、ちょっとまって……」


 2人はあたしには分からない単語をいくつも重ねて目をキラキラしてあたしに問いかけていた。


「このネイルの付け方かわいい〜どうやってつけてるの〜?」

「本当に藤田さんなの!?可愛すぎるんですけど!!」

「え、ちょっ……ちょっと……」


 目をグルグルさせて困惑していると、


「はいはい、お二人さん。これ以上攻め続けちゃうと藤田先輩大噴火しちゃいますから。離れてください。」


 遥香があたしと2人の間に入って2人を引き剥がしてくれた。


「遥香ぁ〜……ありがと〜」


 急なことで内心びっくりしていたのかあたしは無意識に遥香に抱きついていた。


「も、もう!先輩!恥ずかしいから離れてください!」


 言葉は嫌そうでも内心あまり嫌そうではなさそうな遥香を見て少し嬉しかった。

 遥香と戯れあってると引き離された2人は、


「え、君1年生だよね!?あの有名の!」

「あ、おしゃれで有名なあの1年生?」

「そうだよ!絶対そう!」


 なぜかあたしから遥香にターゲットを変えた。


「え、え?わ、私ですか?」


 遥香も急なことに困惑する。


「やっぱり、かわいいって思ってたけど実際に近くで見るともっとかわいい〜!」

「うんうん!やっぱおしゃれな子って違うね!」

「そ、そんなことないですよ……」


 久々な反応で遥香も困惑してる様子だった。


「名前なんて言うの?」

「あ、青山遥香です……」

「遥香ちゃんか〜!よろしくね!」

「あ、はい……」


 このままだと質問攻めされて時間がなくなりそうだったから、


「ご、ごめんね!2人とも!遥香に色々頼みたいことあって!また今度お話ししてくれないかな?その時は私も……混ぜてね!」


 最後の混ぜてね!までは少し言い過ぎかと思ったけど相手の輪に入らないとという菊月くんの言葉を思い出して振り絞って言ってみた。


「うん、そうだよね!ごめん!私たち仕事の邪魔してたよね?」

「あ、違うの!邪魔じゃないんだよ。寧ろもっと喋りたいくらいなんだけど……ちょっとまだ忙しくって……!ごめんね……!」

「また話しかけるから。色々教えてよ。遥香ちゃんと一緒に。」


 と言って、2人は去っていった。


「藤田先輩やればできるじゃないですか!」


 と遥香に言われたが……

 内心、心臓バクバク途中から何をどう言ったのか全くもって覚えてないくらい焦りながら喋っていた。


「は、遥香……私、む……無理かも……」


 2人を見送って遥香に声をかけられてから現実に戻されたが戻った瞬間とんでもないことに恥ずかしさと全くもって自分じゃない自分に戸惑いを感じた。


「何言ってるんですか!ここからですよ!もっと自分に自信持たないとダメですよ!藤田先輩可愛いんですから!」

「え、え……?可愛い……?」

「ええ、今藤田先輩はとっても可愛いんです!自信持ってください!」

「そ、そんなこと言われても……急には無理だよ……」


 可愛いなんて今まで無縁な生活をしてきたから遥香にそう言われたこと、他の人からも今までとは違う反応を見せられてそう思ってしまう瞬間があった。


(これは遥香と菊月くんのおかげなんだよね……だから自分に自信が持てない……)


 頭の中でこう考えてしまい、自然と顔にも出ていたと思う。

 すると、遥香が


「もう、なんて顔してるんですか!うーん、どうしようかな……そうだ!ちょっと話し方変えましょうよ!」

「え?話し方?そんなの急に変えられないよ……」

「急には変えなくていいんです!まずは一人称あたしにしましょう!私だとやっぱりなんか暗い感じがするんです!あたしって言いましょ!」

「え、えぇ……あ、あたし?」

「そうですよ!それに慣れてきたら発する言葉一個一個自信持ちましょう!それだけで今までの先輩とはガラリと変わりますよ!」


 急に一人称を変えるなんて難しすぎる気がした。

 でも確かに、“私”はなんか少しだけ弱く感じる。

 “あたし”の方はたしかに親近感は湧く気がした。


「わ、分かったよ……あ、あたし……ね?」

「そうそう、その意気です!……あとは菊月先輩がこの姿見て褒めてくれれば一発なのに……!」

「え?なんか言った?」

「あ、いや!なんでもないです!というか菊月先輩は来ないんですか?」

「……そうだね……来ないね?でも、昨日のあれで忘れてるとは思えないけど……」


 昨日菊月くんにいつもどれくらいに来るのか確認しておけばよかったと思った。


「遥香悪いんだけど、これ菊月くんと半分にして一緒に配ってくれない?」


 あたしはそう言って、何枚あるか分からないポスターを遥香の両手にドンっと乗せた。


「え、うぇ〜!!何枚あるんですか!?これ!?」

「菊月くんにたくさんあった方がいいって言われたからね!何枚あるか分からない?」


 あたしはてへっと舌を出していった。


「……張り切りすぎですよ、藤田先輩……ま!先輩はこれくらい本気ってことですもんね!」


 遥香はやれやれみたいな顔してたけど、あたしの本気度は伝わってくれたらしい。

 そんな話してると、


「おぉ、藤田いつも朝ありがとうな。……って!誰だお前!」


 あたしの変貌ぶりに仰天してる葉山先生が話しかけてきた。


「あ、お、おはようございます……!せ、先生、ど、どうですか?これ……」

「……お前、それ校則違反ギリギリだぞ……まぁ、この学校そんな厳しくないとはいえ……まぁ、いっか……」


 葉山先生は頭をポリポリ掻きながら言った。

 葉山先生の内心は分かってる。

 これから生徒会長を目指すものがこんなのは許されるのかと言うのは。

 それはごもっともだ。でも、あたしにはこれくらいやらなきゃいけないんだ。


「……急に変えてきたってことは何か作戦があるんだろ?まぁ、頑張ってみろ。」

「せ、先生……!!」

「ただ許してる訳じゃないからな。そこは弁えろよ。」


 厳しい一面内容があれば許してくれる葉山先生は本当に理解があって助かった。


「あと、隣の1年も校則ギリギリだからな……って君は生まれつきだっけか?それなら仕方ないか。」

「私のこと知ってるんですか?2年の先生だから私のこと知らないと思ってた……」

「これだけ目立てば嫌でも知ってるだろ。」

「ふーん?葉山先生……でしたっけ?ちゃんと生徒のこと見てるんですね!」

「それが教師の仕事だからな。あ、あとすまん。藤田。選挙について話さないといけないことあるからこのまま中で話したい。いいか?」

「あ、はい!ごめん、遥香。これ菊月くんと半分に分けて配っておいてくれないかな?」

「えぇ〜……私2年の教室行くんですかぁ……?またさっきみたいに囲われちゃいますよ……」

「ごめんね、遥香。私いかないと行けないし……」

「ふふ、いいですよ先輩。菊月先輩に渡しておきますね!そういえば菊月先輩って何組なんですか?」

「2組だよ!よろしくね!」

「はい!先輩!」


 と言って遥香とは別れた。

 菊月くんに会えなかったのは残念だったし、朝起こった出来事をいち早く伝えて感謝を伝えたかった。

 早く菊月くんに会いたいなという思いは一旦置いておいた。

 葉山先生とのお話は生徒会長に立候補するときに紙がくしゃくしゃになるまで読み込んだ内容だった。

 でも、大事なことだからちゃんと話を聞いた。

 ここからが1番な問題だった。

 クラスに入ったときになんて言われるか分からないことだった。

 多分朝あたしを見た子たちが噂としてあたしが変わったことは伝わってるだろう。

 でも、実際にあたしが現れてどんな反応をされるか分からなかった。


(みんな、私のことなんて思うんだろう……やっぱり変だって思われちゃうかな……ううん、違うよね。私変わるって決めたんだから……!自信持って行こう!遥香にも可愛いって言われてるんだから……!……あとあたし……だった……)


 そんなこと考えながら廊下を歩いていると、やはりすれ違った生徒からは驚いた顔やあたしの顔を見てヒソヒソ話をしたりしていた。

 やはりあたしなんか……って思いながらもなんとか教室前にやって来た。

 でも、教室に入る前に立ち止まってしまった。


(いつも通り……!いつも通り……!)


 何度も何度も自分に言い聞かせながら教室の扉を開いた。

 教室の扉が開いてクラスのみんながあたしと気づいた瞬間一斉にクラス内が静まった。

 背筋が凍る感じがした。

 でも、それでも勇気を振り絞って、


「お、おはよう……!」


 と言ってみた。

 でも、反応はなかった。


(やっぱり、あたしなんかなぁ……)


 と思ったが、後ろから背中を叩かれて


「よう、おはよう藤田。すぐホールルーム始まるから

席着け。みんなもおはよう。」


 葉山先生だった。


「……葉山先生……!」


 葉山先生は何も言わずにホールルームを始めようとした。

 あたしも急いで自分の席に着いた。

 ホールルームが終わり、次の授業の準備をしていると


「ねぇねぇ!藤田さん!めちゃくちゃ可愛くなってるね!」

「なんでおしゃれしようと思ったの?」


 普段あまり喋りもしない子たちにすぐにあたしは取り囲まれた。


「え、えっと……それはね……」


 ここで昨日遥香におしゃれを教えてもらった時のことを思い出す。


「藤田先輩、多分明日すぐに話題の的にされると思います。」

「う、うん……」

「……絶対に選挙のためとか言っちゃダメですよ!」

「う、うん……それは分かってるよ……」

「もし、きっかけは?って聞かれた時は、前々から興味があったことと私の名前使っていいので私に教えてもらっておしゃれしてみたんだぐらいで言ってくださいね。」

「遥香の名前使っていいの?」

「……本当は嫌ですけど……今回は特別です!」


 という会話を前日していた。

 だから、あたしは迷わず、


「あ、あたし……!こ、こういうおしゃれ気になってて!で、めっちゃおしゃれな後輩がいてお、教えてくれたんだ!」

(やっぱり、この喋り方恥ずかしい……!!)


 朝よりかはマシになったものの、まだこの喋り方には違和感があった。

 その喋り方もあってか、あたしの変貌ぶりに一瞬空気が止まった気がした。

 けど、みんなはすぐに疑問から興味に変わって


「喋り方も変えたの!?」

「なんか前の藤田さんじゃないみたい!!」

「その後輩ちゃん今度紹介してよ!私も教えてもらいたい!」


 と、みんなの興味が殺到した。

 あたしはこの光景にとても嬉しく思った。

 違う輪に入るってこういうことなんだなってとても感慨深かった。

 今までのあたしなら絶対にやらなかったから。

 そんな盛り上がってるあたし達を横目に気に食わないと思う子達も確かにいた。


最後まで読んでいただきありがとうございました!

感想などありましたらお気軽にしていってください!

Xもやってます!→@yuuya_saida

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