~プロローグ~
【何処にでもある、ただ平凡な物語】
ふと、上を見上げたことはあるだろうか?
なんの変鉄もない、見慣れた町の帰り道。
いつもはまっすぐ帰る道を、なんとなく遠回りして歩いてみる。
すると、新しい物語が見えてきたりするかもしれない。
それこそ、夕日を雲や川が反射して幻想的な絵画を作っていたり、はたまた、何にも邪魔されずに光輝く星空が伺えたり。
それに涙さえする者もいるようだ。
特に女性は男性よりも色の識別能力が高く、個人差はあれどとても感動するらしい。
……私は今、上を向いている。
満点の星空に、控えめに主張している三日月がとても綺麗だ。
天の川というのだったか?私の目はいい方だが、ここまではっきりと見えたのは初めてだと思う。
普通の人ならば、感動の言葉位なら出たかもしれない。
……私は上を向いている。
正確には、大の字に寝転がって仰向けになっている。天然の土のベットに。
時おり吹く風が、草木の揺れる音と梟の鳴き声を運んでくる。
少し顔を起こしてグルリと周りを見渡すが、360°全て同じ風景にしか見えない。
空はこんなにも鮮やかで美しいのに、何故大地は全く代わり映えがないのだろうか……。
ゴテッと力なく、再び頭を大地に委ねる。ちょっと痛かった。
……私は上を向いている。
うっすらと涙を浮かべながら。
だがこの涙は感動とか、そういう類いのものではない。
「………お風呂入りたい」
誰にも聞こえることのない女性の声が、空へと吸い込まれていった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
初めまして。影打と申します。
異世界物が流行っているこのご時世ですが、
正直私はチートとかハーレムとかっていうのはどうも苦手でしてね…。
思うがままに筆を走らせていたら、こんな作品が出来ました。
いずれに作品目も公開しますので、よければそちらの方も何卒……。
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