かげろう
それは、歩いて追っても、走って追っても
一向に距離は縮まらず、僕の前をゆらゆらゆらゆら歩いていく。
待ってと追っても、置いてかないでと泣いても、一定の距離を保ち続ける。
ただ、逃げるときだけ追ってくる。
まだ、僕とあなたの間には壁があるようだ。
いったい何時になったらあなたの隣を歩かせてくれるのだろう。
なんとも思っていないのならば、最初から僕の前に立たないでほしいのに。
だけどもあなたは僕の前に立ち続ける。
頼んでもいないのに、僕はもう隣を歩ける大人なのに。
まるで砂漠の中の水面のようだ。
追っても探せども逃げていく。
暑い僕を嘲笑うようにゆらゆらゆらゆら。
水を求める僕を嘲笑う。
あなたを求める僕を嘲笑う。
こんなにも焦がれている僕を嘲笑う。
意地悪な意地悪な
あなたはかげろう。