表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/25

7章 勇者ゼルギウス復活!

――★前回までのあらすじ★―― 

サンドバシリスクのボスを倒し、村の平和を

護った浄は、再びメーネ村の人々から喝采を浴びる。

その夜、村長の娘"ハル"から、石にされた勇者のいる祠へと案内された。

そこでハルの前世が魔王であると告白を受ける。

既に人として生きる決意をしたハルの言葉を信じ、

浄は石となった勇者の解呪を試みた。はたして…

―――――――――――――――

 ゆ、勇者だ… 


 まばゆい光の中から現れたのは…

 甲冑(かっちゅう)を身に付けた戦士だった。


 顔は(かぶと)で見えない。


 しかし、分厚く屈強(くっきょう)そうな体躯(たいく)は、戦士の(きた)えられた肉体を感じさせた。


 「まさに戦士。まさに勇者って感じだな」


 俺がそう(つぶや)いた瞬間、勇者の甲冑がサラサラと()びて砂になり(くず)れ落ちた。


 中味は全裸。


 甲冑は完全に砂となり、兜と剣もボロボロと崩れ落ちた。


 筋骨逞(きんこつたくま)しい体が輝いた。

 

 ブラーン、ブラーン。


 おいぃぃぃ。○○○(ナニ)がブラブラしてるぞ。


 「キャアァァァ!」


 ハルの絶叫。


 ブーラブラ…


 「ギャアアアアっ!!!」


 ハルの絶叫に嫌悪感が上乗せされていく。


 とりあえず、ハルは放っておこう…


 勇者の顔は(たくま)しい肉体とは違い、長年の闘いを刻み付けたように年老(としお)いて見える。


 60代ぐらいか?


 髪は白髪()じり、(ひげ)も白い。

 しかし眼は鋭く精悍(せいかん)な顔つきだ。


 …ジロリ…


 ぁ…眼が合った。

 全裸で立ち尽くし、コチラを見ている。


 「これで隠して下さいぃぃ!」


 ハルは、真っ赤になりながら、勇者にストールを手渡した。

 俺の肩を暖めてくれたストールが…今、勇者の股間(あそこ)に…


 …もう使えないな。


 「ぁあ…ゲフン。これはこれは、レディに大変失礼致しました」


 低いが優しげな声。これが勇者の声か。

 勇者はストールを腰に巻き付けた。


 「見たところ、お二人が魔王の呪いを、解呪()いて下さったようですね。心より感謝致します」


 勇者というより、紳士(しんし)といった感じだ。物腰が柔らかい。

 マッチョな執事(バトラー)と言われたら納得してしまうかもしれない。裸執事だが…。

 勇者は続けた。


 「私、ゼルギウスと申します。魔王に不覚(ふかく)を取り、岩となっておりました」


 俺も応える。


 「はじめまして。勇者ゼルギウス。私は旅人ジョーと申します。(えん)あって貴方を解呪致(かいじゅいた)したました。以後お見知りおきを…」


 「おぉぉ。ジョー様。解呪のご恩、決して忘れません」


 続いてハルが口を開いた。


 「勇者様。()()()()()()御座います」


 お久しぶりって…

 おいおいおい。ハル何を言うつもりだ?


 「あなた様を岩にした、魔王の生まれ代わり、ハルと申します。お怒りを(しず)める為に、今すぐ私を()り捨てて下さいませ」


 …一瞬の()

 ゼルギウスの眉がピクリと動く。


 「あなたの様な人間の女性が、魔王の生まれ変わりですと?信じられませんな。()()()()()()()()。訳を話して(もら)えませんか?」


 おお?


 ゼルギウス、随分と話が分かるじゃないか。

 下を向き、完全に黙ってしまったハルの代わりに、俺が事情を説明した。


 その時、魔属語で書かれた壁画が、説明の役立った事は言うまでもない。


 …

 ……

ゼル様の登場です。

最初の登場はギャグっぽいですが、凄く紳士なイケメン爺さんなんです。

ハルは魔王時代の魔力の殆どを失っていますが、人間として生まれ変わってから得た魔力は健在です。

なので、この世界の『平均的村人レベル』の魔法は使えます。

対してゼルは、魔力枯渇状態で、魔力充填も出来ないので、ただのオッサンと化してます。

しかし、戦士としての攻撃力は健在していると推測されます。

強いぞ。このオッサン。


ちなみに、現実世界では、病院を退院してバイト先の面接に行った日の夜にこの話を書きました。

今見ると、短い章でビックリでやんス。面接は超緊張してました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ