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24章 勇者召喚

あー。暑いなぁー。


学校帰り、真夏日の熱が残るアスファルトが、靴底を通して熱を伝える。

私は、てくてくと帰路についていた。


美佐(みさ)ぁ。待ってよー。

何で先に帰っちゃうのよー」


後ろから追いかけて来たのは、私と同じ高校の制服。

可愛いポニーテール。

友人の(あや)だ。


「ごめーん。綾。今日は部活じゃないんだ?」


「今日はこの暑さでしょ?だから部活は自由参加なんだってさー」


綾は陸上部でマネージャーをしていて、密かに男子からは人気がある。


男子に頼まれて、ラブレターを何度綾に渡したか。私は伝書鳩じゃないのに。


やっぱり、綾みたいに胸が大きい子の方が、男子に人気があるのかなぁ。


私は綾と自分の胸を見比べる。

うーん、ションボリするなぁ。


私の胸は……だ。あまりに小さい。

その代わり、と言ってはあまりに残酷だが、身長は高い。


170cmを超えて、綾と私が並ぶと、男女のカップルに見間違えられそうだ。


胸の栄養分を、身長に取られちゃったのかなぁ。


「ねー、美佐ぁ。聞いてるの?」


「あ、ごめん。ボーっとしてた」


「あっついもんね。そりゃ、ボーっとしちゃうよね。あ、そうだフラペチーノ食べに行こうよ。限定の」


子供のように、くるくると綾が回る。


「綾ってばー、危ないよー」


私が綾の手を(つか)もうとした瞬間。


ガッ‼ ゴツンっ‼


私は転んで頭を強打した。


ブツンっ!


何かが千切れる音。

そして暗転。


サラサラサラ…


水の流れる音?


サラサラ…


水音が聞こえなくなった。


 

……


んっ…んん。


私が目を覚ますと、真っ白な部屋の床に寝かされていた。


どれぐらい寝てたのかな?


「お、起きたか?」


私の他に、体操服の少女が居た。

ブルマ姿が(まぶ)しい。


何でブルマ?


「えっと、ここはどこ?」


私の問いに、少女が笑顔で答える。


「お前、自分の最後(・・)を覚えてないのか?」


なんか、無礼な口の利き方をする子ね。

そう思いながら、最後の記憶を思い出す。


「最後…最後…えーっと。あーーっ‼

私、転んで頭を打って…って、ココって、病院?」


「ぶーっ。残念だが違うぞ。」


さっきから何よ。この子。

何でも知ってるような振りして。

バカにしてるのかな?


「別にバカになんてしてないぞ」


え?

今何て…?

私の考えてる事が…


「分かるぞ」


…‼


「そんなに警戒するな。普段は心を読んだりしないぞ」


やっぱり。

心が読めるんだ!


「ふむ。(かしこ)いな。

理解力と適応力はあるようだ」


「で、心が読める貴女は何者なの?この状況を説明出来るんでしょ?」


「私が、この空間の支配者(ホスト)と判断し、説明を求めるとは…なるほど、本当に賢いな」


支配者(ホスト)…ね。で貴女は誰?まさか、宇宙人とか言わないわよね?」


「面白いな。残念ながら違うぞ。

私は、マリア星の神、マリだ。時間(とき)慈愛(あい)を司る神だぞ」


「マリア星?」


「お前達の世界は、地球(・・)という星なのだろう?

…私は、地球とは違う星の『神』をしている」


「神様ですって?まるで異世界転移物の設定ね」


「ふむ。話が早いな」


え?本気なの?


「あぁ、(いた)って真面目だが」


「って事は、私、死んじゃったの?」


「そうだ。今は魂から、肉体を再構成する為に、こうやってお前に『現状』を認識させているのだよ」


女神『マリ』は話続けた。


「みっともない、哀れな死に様だった。さぞかし無念だろう。

しかし、友には恵まれていたようだな。お前の友達は号泣してたぞ。あのままだと後を追いそうな勢いだったな」


…それって、(あや)の事だ。

あの子…きっと自分のせいにして、苦しんでるんじゃ…心配だ。


「ははっ‼ ほぅ。自分の事より友達の心配か?」


「当たり前でしょ。綾は繊細(せんさい)な子なんだから」


()(ほど)、気に入った。手助けしてやろう」


「綾の事、助けてくれるの?」


「助けるというか、記憶の改竄(かいざん)だ」


「記憶の改竄?」


「事故ではなく、病気で亡くなった記憶に書き()える。お前の死に関わった、全ての人間のな」


確かに、それなら綾は責任を感じなくて済む。悲しむのは変わらないが。

それでも今よりマシだ。


「お願いします」


「言っておくが、1つ貸しだからな」


そう言って、少女は両手を挙げた。


「はっ‼」


少女は掛け声を上げると両手を下げた。


何…今の。


「もう終わったぞ。見てみるか?」


部屋の天井に、映像が映る。


葬式(そうしき)の映像だ。

あれは…私の葬式だ。


家族が挨拶をしてる。

長い闘病の末、苦しまず眠るように()ったらしい。

事故で亡くなるよりは、父母にも負担が少なくなっただろう。


綾は他の友達と、号泣していた。


『病気』で急に亡くなった友人を、心から悲しんでいた。


良かった。

これで、綾が責任を感じなくて済んだ。


もう悔いはない。

でも…もうちょっと長生きしたかったな。


「おい、お前。何ちゃっかり成仏しようとしてるんだ?1つ貸しと言っただろう?」


あー。そんな事、言ってたな。

あれか、お得意のチート能力を授けて、異世界に行かされるのか?


「なんだ。分かっているようだな。

1つ頼みがある」


「まさか本気で?…ってか、私は何をやらされるの?」


「簡単だ。魔王を倒して欲しいのだよ


そ、そうきたかー。

魔王討伐(とうばつ)ねー。


「お前には、勇者になって(もら)う。

前勇者に匹敵する能力を与よう」


チート実装か。それなら楽しい異世界生活になるかもしれないな。


「お前…(かしこ)い上に、適応力凄いな」


()められてるのか、それとも(けな)されてるのか?


「誉めてるのさ、で、本題だ。

前勇者に討伐された魔王が、(すで)に転生しているらしい」


私の使命は、まだ弱いであろう魔王の転生体(うまれかわり)を、討伐する事らしい。


これを成し()げれば、世界を平和にした勇者として、英雄になれる。


「判った。やってみる」


こうして私は、マリア星に降り立った。



……


「んっ、んんっ……」


おおっ‼と歓声が上がる。


「勇者様が目覚めたぞ」


私が降り立ったのは、ガイナス。


女神マリを崇拝し、神の加護を使い巨大化した宗教国家だ。


勇者(みさ)様。神の啓示によると、魔王が再び旅に出たとの事です。時間がありません。旅の準備を整えましょう」


宗教国家ガイナスは、神の掲示に従い、次々に奇跡を起こし国を繁栄させてきた。


今回の掲示は魔王の復活と、その討伐。しかも異世界からの勇者召喚。


いわば、ガイナスが世界を救うシナリオに、民衆は熱狂した。


私は、女神マリの祝福を受けて、前勇者同程度の魔力と、剣士としての技量を与えられた。


早速、多くの魔法を契約し、ガイナス周辺の荒れ地で戦闘訓練を行った。


大袈裟な甲冑に身を包み、私は魔法を唱えた。


「フランメ!」


サッカーボール大の炎が、近くの岩を焼いた。


岩の表面が溶けてガラス状になる。これは…かなりの高温だ。


魔法攻撃力は、魔法をイメージする能力で攻撃力が上下した。


例えば炎の魔法最小「フランメ」を射つにしても、漠然と射つのではなく、酸素とガスが混ざり合い、そこに火花で着火するイメージをするだけで威力が数百倍に跳ね上がった。


地球で学んだ知識が、私をさらに強くする。


「さすが勇者様。素晴らしい攻撃力です」


お付きの兵士が称賛(しょうさん)の声を上げる。


剣士としての技量も、最初から(そな)わっていた。考えるよりも体が勝手に動く。


手練(てだ)れの兵士が、数手で根を上げた。


「勇者様は、剣士としても一流か」


「これなら復活した魔王など、一蹴出来るのでは」


兵士たちが歓声をあげる。

そんな中、(あわ)てた兵士が()け込んで来た。


「勇者様。大変です。神官達が、新たな啓示を受けました」


啓示?女神マリ様から?


「神は何と?」


私の問いに、兵士が応える。


「はっ!現在、魔王の生まれ変わりが、こちらに向かっています」


ふーん。まだ覚醒してない(よわい)魔王が、ガイナス(ココ)に向かってるのか。

都合いいな。


「よし、お前達ついてこい」


私は数人の兵士を連れて、ガイナス近辺を探索した。


ん?これは。


この先に、強力な戦闘力(ちから)を感じる。

覚えたての探知探索魔法に反応があった。


敵は複数。魔王の気配は…後方だ。


魔王め、覚醒前に配下を(そろ)えたな。

まぁ、いい。魔王の犬ごと撃ち破ってやる!


来たな。


「来るぞ。戦闘準備だ!」


地球であっけなく死んだ私が、ここで大活躍して、勇者から英雄(ヒーロー)になるんだ。


私の覚悟を見せてやる。


さぁ、来い。魔王。

この星の民は私が(まも)る!



……





最近は執筆ペースが落ちてますが、ネタ切れではありません。本当に書きたい物語への準備が始まった感じです。

プライベートは、少しずつ余裕が出来てきました。執筆活動が活発になるといいなぁ。

私事ですが、色々と生活が充実してきました。

ここ数年私生活で地獄を味わいつつ、小説を書いてましたが、どうやら長いトンネルは抜け出したみたいです。

今、私生活が辛い人。大丈夫ですよ。

必ず、活路が見えてきます。

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