21章 その頃、地球衛星軌道上では
はぁー。暇だなぁ。ヒルデは今頃どうしてるのだろう。
少し前まで、同僚として一緒に地球を監視していたのに。アイツが牛に紛れ込んでからヒルデとも離れて仕事する事になってしまった。
アイツ…確か浄とか言ってたな。
地球監察官のルナは、母星にある本部の指示で、異常なまでに肉体を強化した男の名を思い出していた。
人間ごときの名を覚えているなんて、私も変わったな。
と言うより、浄の第一印象が余りに異質に感じたからだ。理由は解らない。ただ、浄が恐ろしく強い魂を持っているように思えた。
今頃、チートな能力を駆使して、惑星マリアで無双しまくってるかもしれない。
そうだ、今度、ヒルデに惑星間通信を使って、あの男の事を聞いてみよう。
ビーっ‼ビーっ‼
突然の警告音。母星からの緊急連絡だ。
「はい。コチラは第67部隊、地球監察官ルナです」
「コチラは…263…防衛……だ。今から緊急性を…する…非常…を…だ」
「すみません、ノイズが多くて聞き取れません、もう少しゆっくりお願いします」
「第47…危険…が…我々に…撃を…てきた。…は
甚大な……を受け、壊滅的……で…直ちに……を…る」
聞こえる単語は僅かだが、かなりの緊急性を感じられる。こんな時は、慌てたら駄目だ。
「再度発信をお願いします」
「ザー……」
駄目だ。もう、ノイズしか聞こえない
どうする?
そうだ、ヒルデに通信してみよう。
「ザー…」
駄目だ。ヒルデの監視船とも連絡が取れなくなっていた。
「肝心な時に連絡が取れないなんて、ヒルデは何してるのよ」
『ルナ様、これは非常事態と推察されます。まず母星と連絡が取れる場所まで移動する事を推奨致します』
「分かった」
自力型AIのアドバイスに従い、本船を通信がクリアに行える星域まで移動させる事にする。
ソフィア、ヒルデとの通信は繋がり次第、コチラに回して。
『はい。畏まりました』
最悪の事態となっても、中間連絡ポイントまで行けば、大型母船があるから、母星とは連絡が取れる筈。
「只今を持って、地球監視の任務を一時放棄する。まずはR22中間連絡ポイントに急行する」
『直ちにR22中間連絡ポイントへ向かいます』
一体…何が起こっているのだろう。
こうして、地球から監視船が離れていった。
…
……
マリア星衛星軌道上
おかしい。
ヒルデは何度も通信を試みたが、地球監察官のルナと連絡が取れなくなってしまった。
定期連絡の予定では無いが、何か気になるな。
でも、心配する程の事は無いだろう。
今回の通信障害は恐らく、通信環境が劣悪なのが関係している。
宇宙放射線嵐が地球との間に発生してるようだ。
しょうがない。今はこのままマリア星の監視を続け、その間に通信アクセスポイントを増設すべきだろう。
『ヒルデ様、地球に近い場所にアクセスポイントを設置致しますか?』
「うん。そうしよう。イライザ、済まないが通信衛星の発射を頼む」
『畏まりました』
この場所は、母星と連絡が取れない位置だからな。せめてルナと連絡が取れるようにしておかないと。
まぁ、放って置いても、ルナとは連絡取れるだろうが、一応策は打っておこう。
…
……




