12章 ポスパの街にて
――★前回までのあらすじ★――
旅立った浄一行は、盗賊に襲われる馬車を発見。
全身を黒い軽甲冑と黒仮面を身につけ、バイクに跨り
赤いマフラーを靡かせつつ、盗賊団を華麗に撃退した。
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数時間後、馬車はポスパの街へと着いた。
メーネ村とは比べ物にならない大きな街だ。
「そこの馬車。止まれぇ!積み荷を確認させてもらうぞ」
町を警備する門番に停められた。
「丁度いい。盗賊らを引き渡そう」
門番である衛兵に事情を説明し、盗賊たちを引き渡す。同時に姉弟の保護と、遺体の埋葬を依頼した。
衛兵は、盗賊達の身分証を見て驚く。
「コイツら、商人専門の護衛隊らしい。まさか、護衛した商人を襲っていたのか?」
「それが真実なら、かなり悪質だな」
商人達を殺して、金銭・商品は横取り、死体を隠せば任務完了か。最悪な奴らだ。
姉弟が証人だ。奴らは厳しく罰せられるだろう。
「一応、偽りがないか確認させてもらうぞ」
俺を凝視したまま呪文を唱えると、門番の眼が青く光る。
「うむ。偽りはないようだ。ご苦労だったな。後はコチラで処理する」
どうやら、嘘発見器のような呪文らしい。便利そうだ。
後やるべき事は…と。
俺は盗賊達に話し掛けた。
「嘘は言わずに正直に話せよ。さもなければ黒い戦士が、再び現れるぞ」
圧倒的な力に蹂躙される恐怖は、奴らに心的外傷となって深く刻み込まれた筈だ。
盗賊達は、ブンブンと頭を縦に振った。これなら素直に全てを話すだろう。
今回の一件だけでも、確実に奴隷階級落ちらしいので、もう二度と悪さは出来ない。
まぁ、それ以前に、盗賊が出来るような体には戻れないだろう。
「奴隷落ちだと、報奨金と買い取り料が出るな。この人数だと、かなりの額になるがどうするかね?」
話しぶりからすると、かなり高額そうだな。でも俺達が貰うのは筋違いだ。
「報奨金は、あの姉弟の物です」
衛兵に俺は応えた。
姉弟は、これから孤児院に行くらしい。その資金にして貰えるよう、衛兵に頼んだ。
「そうか。分かった。約束する。あの姉弟に報奨金は渡そう」
衛兵は、にこやかに笑った。
「で、報奨金を受け取らなかった、人の良いアンタらは、この街に滞在か?」
報奨金を被害者に全額渡す奴は、あまり居ないのだろうな。
「あぁ。旅の疲れを取りたい。暫く滞在したいのだが…」
衛兵はすぐさま手続きを完了させた。
「短期滞在の許可書だ。今回の活躍に免じて、滞在料は無料でいいぞ」
話のわかる衛兵で助かった。
「この先に馬の絵が描かれた宿屋がある。安くてサービスがいいから、そこに泊まるといい」
ありがたい。宿は決まりだな。
「有力な情報に感謝だ。あと、この馬車と馬、あの姉弟の物だから処分を任せるよ」
盗賊達の馬と、商人の馬車を衛兵に預けた。
「分かった。姉弟にどうするか聞いて処分しておこう。俺にもあの年ぐらいの子供が居るからな、ちゃんと面倒みるから安心していいぞ」
本当にいい奴だな。
姉弟が駆け寄って来た。
「戦士様。本当にありがとうございました」
姉が健気に礼の言葉を述べた。
「いや、気にしないでいい。それより、強く生きろよ」
「はい!」
力強い姉弟の返事。きっと、どんな困難に遭っても、二人で力を合わせて生きていくだろう。
「それじゃあな。元気で」
俺達は、宿屋へ向かった。
…
……
それにしても大きいな。街の大きさは直径2キロ程か?
『浄様。正解です。この街は直径2.2Kmの円形です。この僅かな土地におよそ7000人が生活しております』
ふむ。やはりかなり発展した街のようだな。
市場や商店も多く並び、旅の装備も整えやすいだろう。
馬のマークの宿屋が現れた。見張り付きの馬車保管庫まである立派な宿だ。
問題は宿賃だ。ハルとゼルだけでも泊まってもらうか?
「ジョー様。お気になさらずに…」
ハルが、そう言って、布袋から3人分の宿泊費を出してくれた。申し訳無い。
「しかし、少し稼いだほうがいいな」
俺の言葉に、ゼルが反応する。
「それなら、ギルドに行くのが宜しいかと思います」
異世界で稼ぐといえば…やっぱりギルドか。
この世界の場合、普通のギルドと違うかもしれない。油断は禁物だ。
「分かった。ゼル。ギルドへ行こう」
「畏まりました」
馬車を置き、俺はゼルと近くのギルドへ向かう。
短期で金を稼がねば。
…
……
助けた姉弟とはここでお別れです。しかしこの姉弟とは、いずれ再会しそうな予感がしますねぇ。
あと、ダっさい名前の盗賊団ですか、コイツらに関係した問題も起こりそうな予感がビンビンします。




