10章 その頃マリア衛星軌道上では
――★前回までのあらすじ★――
メーネ村から暖かく送り出され、旅立った"浄"、"ハル"
"ゼル"の3人とAI"イリス"。この先何が待ち受けるのか?
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時間は数日巻き戻る。
「ふぁぁぁー」
ヒルデは大きな欠伸をした。
今日のファッションは、紺ブルマと体操着だ。
浄の脳内から情報を得た『少女ファッション』がヒルデのマイブームになっていた。
「さて。浄は何をしてるのかなぁ」
壁に浮かび上がったモニターに、監視対象の様子が映る。
衛星軌道上からの高度監視システム万物の眼は、あらゆる地上の情報を検索可能であり、一部の能力は、監視対象にも情報として共有される。
さらに観測者が睡眠中でも、後で映像もダイジェストで見ることが出来る優れものだ。
勿論、監視対象に異常が発生すれば、叩き起こされるが…。
ダイジェストを見ると、惑星マリアに降りて、バイクで走り出した後だった。
「んふふふふ。私のキスを忘れられないようだな。そーか。初めてだったかー。うふふふ」
それにしても、驚いたのは浄が知的エージェントに『イリス』と名付けた事だ。
「知っていて名付けたとは思えないが…偶然なのか?」
まぁ、いい。浄は私を、良く驚かす奴だからな。
ヒルダは上機嫌で現在の状況に切り替える。
「おほー。バイクに乗って村に着く前に、バシリスクに襲われたかー。どれどれ、浄はどうするのかなぁ」
ワクワクワクワク。
魔法を放とうとする浄。
「ええい。違うだろー。魔法契約してないのにー。AIは何してる。うううー。むきぃー」
浄が、バシリスクの火球を弾く。
「おっ!」
立て続けに火球を弾き続ける。その動きは…
「カンフーマスターかっ!!」
素手で次々にバシリスクを倒していく。
「やば、想像以上に…か、カッコいい…」
気がつけば、頬を赤らめて画面に見入っていた。
…
……
それからヒルデは、精力的に監視を続けた。
村を急襲したバシリスクを撃退する時は、ピョンピョン飛び跳ねて応援してしまった。
「浄、凄いぞ。ボクサーまでは予想していたが、メジャーリーガーとは。まるで、大口径で撃ち抜いたようだな。うぉっ!何だアレは!!!ウォーターカッター!?」
ニコニコとヒルデは上機嫌だ。
「まさに私の大好きな、ヒーロー誕生だな」
そして、魔王の生まれ変わりと岩から復活した元勇者。
「次々に面白い奴が現れるな。浄。君はもう独りぼっちじゃないぞ」
ヒルデは思った。
まるで本物の勇者のように、世界を救い続けたら…
本当にこの星が変わっていくかもしれない。
普段、星への介入を許されないヒルデにとって、自由に介入していく浄が羨ましくもある。
しかし…
浄の周りに人が集まるのはいいが、ハルが浄と仲良さげなのは、モヤモヤする。
うーーーーー。モヤモヤするぞーーーー!!!
「浄と仲良くなったのは…私が最初だぞ…」
何だろう。この気持ち…
「イライザ!私のモヤモヤする気持ちは何だ?」
『ヒルデ様。それは、人間の感情に近いかもしれません』
普段はOFFにしている、ヒルデ専用知的エージェントが答えた。
「何だ。それは?」
『嫉妬と呼ばれる感情です』
「嫉妬…私が?『卵』と呼ばれる"人間"と同じ感情を持っただと?」
どうやら浄は、私に未知の感情を植え付けたらしい。
もし本当なら、驚きだ。
…
……
番外編。久しぶりのヒルデ回。
衛星軌道上で、浄の様子を見張ってる(鑑賞してる?)彼女は、既に浄の大ファンと化してます。
現実世界
バイト休日。纏めておいた本作のデータをアップしました。
まだバイトに全然慣れてません。片目の視力が低いので、バイトに若干の問題が。
とにかくがんばりましゅ。




