9章 旅立ち
――★前回までのあらすじ★――
元魔王ハルと元勇者ゼルギウスは和解し、
浄は、自分の正体を二人に告白。
受け入れたゼルとハルと共に、旅に出ることを決意する
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村長や村人達は、俺達の急な旅立ちに、驚いていた。
「ジョー様、お連れの従者が来たからといって、そんな急いで旅立たなくても…」
村長は、ゼルを後から来た従者と思ってるようだ。
「ここでの俺の役目は終わったからね。他にも困ってる人々がいるだろう?」
俺は旅をしながら、人々を助けていこうと決めていた。
ハルの決意が、俺にも伝染したらしい。勇者ほどでは無いが、俺の有り余る力を人々の役に立てたかった。
「そうですか…勇しゃ…ゲフン。ジョー様は、やはり世界を救いに旅立つのですな。この村から…」
村長の言葉を聞き、他の村人達が囁く。
「やはり伝説の通りだ」
「復活した勇者様が、この村から旅立って、いずれ世界を救うんだ」
「この村は、勇者復活の村として栄えるぞ」
色々勘違いしてるが、まぁ…放っておこう。
「お父さん。私もジョー様とご一緒します」
ハルの言葉に村長が驚く。
「な、何言ってるんだ?ハル。ジョー様とご一緒しても、邪魔になるだけじゃないか」
父親としては心配だよなぁ。
「いや、俺からもお願いします。彼女は旅に必要です」
俺は、言葉は少ないが真剣にハルが必要だと伝えた。
「わかりました。ジョー様が、そこまで仰るなら連れて行って下さい。ただし…」
村長の目がカッと見開かれた。
「ハルを護ってやって下さい。どうか無事で、私と無事に再会できるよう、お願い致します。邪魔になるようでしたら、いつでもこの村に返して頂いて構いません」
本当に心配なんだな、父親らしい暖かい愛情を感じた。
「わかりました。必ず再び逢えるよう、全力でお護り致します」
この約束は絶対だ。何があろうとハルを護る。
…
……
「これを使って下さい」
村長の家を出ると、馬車が用意してあり馬が2頭繋がっていた。
古びた馬車だが、この村の財政から考えれば、馬車も馬もかなり高価なものだ。
「いいんですか?」
この村はそんなに裕福じゃないのに、馬車を頂くなんて…
村長が笑う。
「はははっ。いいんですよ。バシリスクの儲けで新しい馬車が買えます。古い馬車で申し訳ないですが、使って下さい」
「しかし…」
「ジョー様がこの村に来なかったら、馬もバシリスクに喰われていたでしょう。私達村人の総意なんですよ。ジョー様のお役に立ちたいんです」
そこまで…
これ以上断るのは、かえって失礼だな。
「…そうですか。それじゃあ有り難く頂きます」
馬車には食料と飼葉、水、使い古されたナイフや短剣、防具まで用意してあった。
収納を開けると、旅に出る最低限の生活物資まで積んである。
急いで準備してくれたのだろう。心から有難かった。
馬車内にバイクを載せロープで固定する。
これで準備OKだ。
「ハル。馬車と馬の世話を頼むぞ」
「はい。お父さん」
さらに村長は、布袋をハルに手渡す。
「ハル、必要な時に使いなさい」
そして、村長は俺の方に向く。
「ジョー様。これは、娘に渡すモノなので、お気になさらずに」
カチャカチャとした金属音。
おそらく金銭だろう。
俺が受け取らないから、ハルに手渡したようだ。
俺が文無しと見抜いていたのだろう。
「お気遣い…有難うございます」
村長は、笑顔で応えた。
「どうかご無事で…勇者ジョー様」
ここで勇者では無いと…言えないか…村人たちの希望だもんな。
「それでは、行ってまいります」
俺は挨拶を済ませると、馬車に乗り込んだ。
…
……
ハルは御者台に乗り、村人達に手を振る。
村人たちは見えなくなるまで手を振り続けていた。
ガタガタガタ…
馬車が揺れる。
どんどんメーネ村から離れていく。
…
「ジョー様。ハル殿。そんな寂しそうな顔をしないで下さい」
ゼルの言葉で、自分が寂しそうな顔をしていた事に気がついた。
短い時だったが、あの村がホームのような気がしていたのかもしれない。
『浄様。今、寂しい顔をしてはいけません。きっとハルの方が辛い筈ですよ』
そうだな。イリスの言う通りだ。
俺は何甘い事を考えていたんだろう。
ハルは父や故郷から離れるんだ。俺より遥かに寂しいに決まっている。
俺がハルを元気付けなきゃな。
俺は今にも泣きそうなハルに話し掛けた。
「ハル。今度この村に帰る時は、土産話をたくさん持って帰ろうな」
その言葉を聞き、ハルは無言で頷いた。
肩は小刻みに震えている。
今は、そっとしておこう。
…
……
ついに、村から旅立ちます。三人+脳内一人+衛星軌道上に一人。計五人の運命はいかに。
感想やご意見頂けると嬉しいッス。
現実世界
薬局にバイトに行き始めました。まだ全然分からない事だらけです。
でも、バイトじゃなく就職が見つかりそうなので、短期になりそうです。
本当は、シナリオやゲーム制作で食べていきたいんですけどねぇ。
誰か、声かけてくだちゃい。




