...取り敢えず半殺しにするわ。
目が覚めると、俺は暗い闇の中に立っていた。
「あれ? 宿で寝ていた筈だけど...」
「やぁ! また会えたね!」
「おわっ!!」
後ろから急に話しかけられ、驚いた。
「なんだ、お前かよ...」
「そうだよ!」
なんか元気そうだった。
「...取り敢えず半殺しにするわ」
「えぇ!? 何で!? 私が何かしたかい?」
「何すっとぼけた事言ってんだよ! 記憶力なさすぎだろ!」
「なはは、冗談冗談」
いちいち癪に障る野郎だな、と思いつつ、何故ここにまた呼んだのかを聞く。
「いや、異変の起きている場所を特定出来たから呼んだんだけど...聞かないかい?」
「聞くに決まってんだろ!」
「オーケーオーケー、場所は『魔王城』」
「何だって!? 『魔王城』!?」
「...から南へ10キロ行った先の無人の城」
...俺の興奮を返して欲しい。
「どうしたんだい? 落ち込んじゃって?」
「何でもねぇよ。...じゃあそこに行ったらいいんだな?」
「まぁそうだね。ヨロシク!」
「ああ、それより、俺はお前に聞きたい事があるんだけど」
「ん? なんだい?」
「俺が転移する前に、お前は俺に特別な力があるって言ったけど...どんな力なんだ?」
「はぁ? 君は何言ってるんだ? もう持ってるじゃないか」
「え?」
「本当に分からないのかい? エリカくんの事じゃないか」
「えぇ!? あいつの事だったのかよ!」
「僕には未来を見通す力があるからね、君がエリカくんと逢うのは分かったいた。でも他人に未来を教えることは出来ない。だからあんな言い方がをしたんだ」
「なるほど。...次の質問だが、スキルってのはお前からもらう以外にどうやって得るんだ?」
「それは条件を達成すれば、誰でも得られるよ」
「条件?」
「そう、例えば簡単な回復魔法で...そうだな...『ヒール』辺りを教えてあげるよ」
「よろしく頼む」
「うん、まずは僕が手を切ったとする」
そう言うと、神の手から血が出た。
「この僕の傷を治したいって思ってみて」
「...全く思わないが?」
「ちょっとちょっと! 君は鬼かい?」
「仕方ねぇな...治したい治したい」
「投げやりだねぇ...でもそれでもう習得済みの筈だよ」
「早いわ! ...本当かよ?」
俺はステータス欄を見ると、
スキル・・・ NEW!『ヒール』、レアリティE、
本当に習得してた。
「『ヒール』は治したい気持ちと、運が10以上で習得可能なんだよ」
「なるほどねぇ...他にも教えろよ」
「バカかい? 君は。 何でそんな面倒な事しないといけないんだい?」
「ちっ、何だよケチ」
「...と、前までは突っぱねてたんだが、僕は君が好きだから一つ、忠告と、事の大きさを知ってもらうためにもう一つスキルを渡すよ」
「なんだ、くれるんじゃん」
「...君は近いうちに大きな決断をする。どんなものかは教えられないが、君は選択を間違えるととてつもなく後悔する事になる」
「それは本当か?」
「ああ、だからその選択肢を二つに絞れるスキルを渡すよ」
そう言って、神の手が俺の頭へ伸び、軽く何回か叩いた。
「これで君は『選択肢(運命)』を習得したはずだ...本当に間違えるなよ...」
「・・・」
重い空気が流れた。
取り敢えず話題を変えてみた。
「ああ。それより俺は今、冒険者ギルドの登録をしているんだが」
「ふーん。だから?」
「そのまま登録してから、向かってもいいのか?」
「別に構わないよ、好きにしな」
「言い方が腹立つな...」
「え? だってどうでも良いんだもの」
「あっそ、じゃあ俺を宿屋に戻してくれ」
「帰った後、面白い事が待っているよ」
「はぁ? 何だよそれ」
「行けばわかるさ。では出口はあちらで~す」
そういって、俺の後ろを指差す。
振り返ると、確かに出口があった。...あったのだが、
「遠すぎんだろぉぉ!!」
四角く、光が漏れているドアは、ほぼ霞んで見えた。
「だっはっはっは! うけるー」
「うけねぇよ! さっさとこっちに出口を引き寄せろよ!」
「へいへい...」
そう言って、神は瞬時に出口を引き寄せた。
「じゃあな。クソ野郎」
「私達の業界では誉め言葉です!」
「キモいんだよ!!」
「あははは!」
やはり、最後までうざい野郎だった。
「...ふわぁ~あ」
俺は、窓から差し込む朝日を浴び目が覚めた。
少し脱力感がある気がするが、
「...特になんとも...」
無いな、と言おうとして横を見るとエリカが寝ていた。
「...何でこいつは俺の横で寝てるんだよ」
取り敢えず、起こさないようにエリカを見つつ布団を少し捲って外に出た。
...今、エリカが服着てなかった気がするのは気のせいだろうか。
まぁどうでも良いと思い、俺は着替えようとして服に手をかける...筈だった。
「あれ、俺何でハダカなんだ??」
エリカも裸だった事を思い出す。
「......もしかして」
布団を即座に捲る。するとそこには...、
「おいおいおいおい!! おいいぃぃ!!! 夢か? 夢だろ!? 夢であってくれぇぇぇ!!!」
...決定的な証拠が俺の目の前にあった。
「うるさいわねぇ...どうしたの? ダーリン?」
「お前何やってくれちゃってんのぉぉ!! お、お前ぇぇぇ!!!」
「ん? 夫婦の営み?」
「誰が!! いつ!? お前と夫婦になったんだよぉぉおい!」
「好きよ! ダーリン!」
「話を聞けよ!!」
うぅ...まさか俺の意識が無いうちに喪失するだなんて...。
涙が、止まらなかった。
読んでいただきありがとうございます。




